平成18年11月18日
(英文はこちら)
カルザイ大統領
シン首相
共同議長
ご列席の皆様
はじめに、2005年12月にカブールで開催された第1回会合に引き続き、今次会合が開催されたことを歓迎するとともに、開催に向けたインド政府のイニシアティブ及びアフガニスタン政府の意欲を高く評価します。
今回の会合は、アフガニスタンが統治機構プロセスの終了、新政権誕生という国造りの節目を迎える一方、治安の悪化や麻薬生産量の急増等の困難な課題に依然直面する中で開催されるものです。この地域全体としてこれら課題を如何に克服するかを議論するとともに、アフガニスタンがこの地域との共存・協力を積極的に実現しようとの意欲を示す中、我が国を含む国際社会がこれを後押しするという意味で絶好のタイミングであると考えます。
私は、この会議の後、アフガニスタンに日本国総理特使として訪問し、アフガニスタン政府要人とこれらの諸課題克服のための方策につきさらに議論を深める予定です。
ご列席の皆様
南アジアと中央アジアの十字路に位置するアフガニスタンの安定と復興は、この地域全体の安定と発展のための「鍵」です。我が国は、アフガニスタンをテロと麻薬の温床にしないとの決意の下、2002年1月にアフガニスタン復興支援国際会議を開催するとともに、同国に対して、DDRとDIAGを中心とする治安改善、地方総合開発、人材育成等総額11億ドルに上る支援をこれまでに行ってきました。また、国際社会による「テロとの闘い」への取組の一環として、海上自衛隊によりインド洋における海上阻止活動を引き続き支援していくこととしています。我が国はじめ国際社会によるこのような支援の結果、アフガニスタンでアフガニスタン・コンパクトの実現に向け、「アフガニスタン国家開発戦略(ANDS)」に代表される長期的視野に基づく開発が行われるようになったことは感銘深いものがあります。
アフガニスタンのこうした復興は、アフガニスタン一国のみならず、地域全体に利益をもたらします。この機会に、我が国として、アフガニスタンと近隣諸国との地域協力を通じて地域全体が一体として発展していくことの重要性を改めて申し上げるとともに、その主役はアフガニスタンであり、また、今日この場におられる近隣諸国であることを強調したいと思います。我が国はアフガニスタン及び近隣諸国「自身」による地域協力を通じた発展への熱意が示される限り、今後も支援の努力を惜しまない考えです。
ご列席の皆様
広域的な地域協力を重視する見地から、我が国は、本年6月に東京で開催した「中央アジア+日本」対話第2回外相会合に、アフガニスタンを初めてゲストとして招聘し、本会合の共同議長でもあるスパンタ外相に出席頂きました。
また、我が国は当初より、また、昨年12月のカブール宣言及びアフガニスタン・コンパクトの内容も踏まえ、以下の具体的なプロジェクトを通じ、地域協力を後押ししてきています。
例えば、アフガニスタンと諸外国間の人・物の円滑な流れを確保するために、我が国はリングロード建設やカブール国際空港ターミナル建設を支援しています。リングロードについては、我が国はKK(カブール-カンダハール間)道路に引き続き、KH(カンダハール-ヘラート)についても、早期に我が国担当区間を完成させるべく努力しているところです。また、カブール国際空港ターミナル建設については、今般、アフガニスタン訪問の際、起工式への出席を予定しており、我が国は本件事業に対して今後3年間の予定で支援を実施していく考えです。
また、リングロードから中央アジア及び南アジアに向けて物流を確保することがアフガニスタンに地域の十字路としての本来の役割を取り戻させると共に、同国の復興を地域全体の発展につなげていくために重要であるとの観点から、マザリシャリフからウズベキスタンに向かう道路、タジキスタン国内においてアフガニスタンに向かう道路、カンダハールからパキスタン国境に向かう道路といった周辺諸国をつなぐ道路建設のほか、マザリシャリフからバーミヤンへ通じる南北横断道路建設や、ペシャワールからカラチへ通じるハイウェイの建設も支援してきています。今後も地域全体の道路網整備・空港整備に貢献していく考えです。
物流の円滑化と平行して麻薬対策、テロ対策の観点から、人・物の流れを適正に管理することが重要です。我が国はこれまでに麻薬対策に約1,150万ドルの支援や税関分野の人材育成を行っているほか、今後はアフガニスタン・タジキスタン国境における国境管理能力を強化するために積極的に支援していく考えです。
更に、我が国は、アフガニスタン国家開発戦略における農業・農村開発ワーキング・グループのフォーカル・ポイントを担っており、同国の農業インフラ改善や人材育成等に努めています。将来的にはアフガニスタン国内外との物流システムの確立を視野に入れ、現在支援を実施しています。
ご列席の皆様
アフガニスタンが抱える諸課題は、アフガニスタン政府、近隣諸国及び国際社会が共に解決していくべき問題であり、この地域による協力の真価が試されているとも言えます。どうかこの会議を成功させ、国際社会に対し、地域協力のあり方の模範を示そうではありませんか。我が国としても、皆様の熱意、努力に対する支援を惜しみません。ご静聴ありがとうございました。