平成18年11月8日
開会スピーチを行う関口政務官
参加者との記念撮影
議長、各国代表の皆様、ご列席の皆様
「アジア諸国における核セキュリティ強化のための国際会議」の開会にあたり、日本政府を代表して皆様に歓迎の挨拶を申し上げるとともに、今回の重要なセミナーの議長を務める内藤核物質管理センター専務理事に対して敬意を表したいと思います。
議長、
近年、原子力エネルギーの果たす役割が改めて見直され、国際的に原子力の平和利用推進の機運が高まっています。他方、原子力エネルギーの利用は、その性質に鑑みれば、核不拡散、原子力安全、核セキュリティに十分配慮して推進することが不可欠です。
10月9日、北朝鮮は核実験の実施を発表しました。北朝鮮のこのような行動は、我が国のみならず、東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり、断じて容認することはできません。国際社会は、北朝鮮に対し、すべての核兵器と既存の核計画の放棄などを求める国連安保理決議1718を誠実に履行するよう、強いメッセージを引き続き発信していかなければなりません。また、我々が国際社会の一員としてNPT体制を維持、強化していくべき必要性は、いくら強調してもしすぎるものではありません。
核不拡散と共に、原子力の平和利用を確保する上で大きな課題となっているのが核セキュリティです。核テロ対策は、9・11事件以降、国際社会全体が対処しなければならない新しく重要な問題の一つとなっております。
核セキュリティのための措置は、近年、核テロ防止条約や核物質防護条約の改正の採択を通じて大きく進展しています。最近でも、米露大統領が提唱した「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ」の第1回会合がモロッコで開催されるなど、核テロ対策に対する国際的な関心は大きく高まっています。しかしながら、未だなすべきことは多く、私たちは、IAEAを中心とした核セキュリティ強化のための国際的な取組を、一層強化しなければなりません。
我が国は、IAEAの核セキュリティ基金に拠出を行っており、アジアにおける核セキュリティ向上のためのプロジェクトを実施しています。このセミナーも、核セキュリティ基金への我が国拠出によって実施されるものです。これらの取組みは、核テロを防止するとの日本の政治的コミットメントの表明であり、唯一の被爆国として原子力の平和利用を推進したいとの我が国の決意の表れでもあります。
議長、
今回のセミナーは、核セキュリティに関する包括的なものであり、共催者であるIAEAとプレゼンテーターを務めてくださる専門家の方々に心より謝意を表します。核セキュリティの強化は、不拡散、原子力安全とともに「原子力ルネッサンス」に当たってアジア諸国が全力で取り組むべき課題です。各国代表の皆様が、このセミナーにおいて忌憚の無い意見交換を行い、核セキュリティの強化の重要性を再認識し、これにより、各国での強化策が一層進展することを祈念して、私の開会の挨拶とさせて頂きます。