平成18年10月25日
国連大学ハンス・ファン・ヒンケル学長、
ご来場の皆様、
おはようございます。
外務大臣政務官の関口昌一と申します。本日は、2006年国連デー記念フォーラム「国連加盟50周年」の開催に当たり、日本政府を代表して、一言ご挨拶を申し上げます。
本年は我が国と国連との関係を語る上で記念すべき年です。50年前の1956年といえば、私はまだ物心ついて間もない幼子でしたが、この年の12月、我が国は国民的な悲願であった国際連合への加盟を果たしました。サンフランシスコ平和条約の発効から4年、第二次世界大戦が終了して11年、1933年の国際連盟脱退からは23年もの年月が流れていましたが、これだけの長い時間を経ての国連加盟は、我が国が戦争の惨禍を乗り越え、国際社会に真に復帰したことを象徴する出来事となりました。
加盟から50年、我が国は一貫して国連を重視し、国連を通じて世界の平和と繁栄に貢献してまいりました。唯一の被爆国として軍縮や大量破壊兵器の不拡散の重要性を訴えてきたのをはじめ、平和憲法の下で、国連平和維持活動に積極的に貢献し、地域紛争の解決にも尽力してきました。また、世界の開発と繁栄に向けても、「人間の安全保障」の考え方の下、資金的、人的な面も含め様々な形で貢献を行ってまいりました。こうした実績は、今日の国際社会において我が国が占める確固たる地位の礎となるものであり、我々の強く誇りとするところであります。
現在、激しく変動する国際社会の動きに対応し、新たな問題に効果的かつ効率的に対処するため、国連改革の必要性が強く叫ばれています。本年、平和構築委員会や人権理事会の設立といった歓迎すべき動きがありました。他方、安全保障理事会の改革は引き続き残された課題となっています。アナン事務総長も累次述べているように、安保理改革なくして国連改革は完成しないのです。国連創設以来殆ど変化していない安保理の構成を、21世紀の現実を反映し、国際社会からの要請に応えられるものへと変革することは、国際社会の喫緊の課題であります。
本年、我が国は安保理非常任理事国として特に大きな成果をあげました。中でも、北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験の実施発表という挑戦的行為に対し、国際社会としての断固たる意思を迅速に集約し、表明するために主導的役割を果たしました。このような主体的な対応は、ひとえに安保理の一員であったことにより可能となったものであり、多くの国民の皆さんが、我が国が安保理に議席を有していることの重要性について、認識を新たにされたのではないかと思います。改革は決してたやすい挑戦ではありませんが、我が国は国際社会の平和と繁栄により大きな責任を果たしていくために、引き続き安保理常任理事国入りを目指し、国連改革を一層推進していく考えです。
国連加盟から半世紀、我が国のこれまでの歩みを振り返り、今後の我が国と国連との関係の在り方を考えるのに相応しい節目の時期です。本日、ここ国連大学に、私の前任として外務大臣政務官を務められ、平和構築をはじめとする諸問題についても造詣の深い先生をはじめ、多くの著名な先生方が一同に会され、「国連加盟50周年」をテーマに意見を交わされることは、誠に時宜を得たものです。言うまでもなく、国連大学は、日本政府がここ東京に誘致したものであり、1975年の設立以来30年以上にわたり、国連システムにおける「シンクタンク」として、地球規模の諸課題に対する解決の方途を模索する上で多大な貢献をされてきました。また、日本政府との共同による学術活動等も数多く実施しています。その意味で、我が国と国連との関係を議論するのにはまたとない場所です。そのような意味からも、私としては、本日のフォーラムの成果に大いに期待するものであります。
国連加盟50周年という節目にあって、今後とも世界の平和と繁栄の実現に向け、国連を通じた協力を推し進め、国際社会においてより積極的にリーダーシップを発揮していくとの我が国の決意について改めて申し上げるとともに、本日のフォーラムの成功を祈念いたしまして、私の挨拶とさせて頂きます。
有り難うございました。