演説

関口外務大臣政務官演説

関口政務官の日本・スペイン・シンポジウム開会式でのスピーチ

平成18年10月9日

 日本国外務省を代表して、第9回日本・スペイン・シンポジウムの開催に際し、ご挨拶させていただきます。

 9月26日に安倍新政権が発足した直後のこのタイミングで、外務大臣政務官としてスペインを訪問する機会に恵まれ、このシンポジウムでご挨拶申し上げることを心からうれしく思っております。あらためて、本件開催に尽力された両国の関係者各位に御礼申し上げます。

 まず最初に、この機会に、新たに発足した我が国新政権について簡単に触れさせていただきます。

 今回発足した安倍政権は、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自立の精神を大事にする、世界に開かれた「美しい国、日本」をつくることを基本方針としております。

 具体的には、スペインと同様、日本でも少子高齢化が進んでおりますが、この人口減少の局面でも経済成長を可能とするため、イノベーションの力とオープンな姿勢により経済に新たな活力を取り入れていくこと、また、財政再建と行政改革を断行していくこと、社会保障制度の一体的な改革を進め、少子化対策を総力をあげて推進していくこと、豊かな人間性と創造性を備えた人材の育成に向け、教育の再生をはかっていくことを主要な課題としております。

 外交については、地域や世界のために日本は何をすべきか、世界は何を目指すべきかということを主張する外交を展開してまいりたいと考えております。具体的には「世界とアジアのための日米同盟」をより明確にし、アジアの強固な連帯のために積極的に貢献する外交を進めていきます。まさしく今日まで、安倍新総理が中国及び韓国を訪問していますが、両国は我が国にとって大事な隣国であり、首脳同士が胸襟を開いて話し合いの機会を持つことは、未来志向の信頼関係の強化に繋がることであり、アジア地域や国際社会全体にとって極めて有意義であると考えて実施することとしたものです。

 国際社会には依然として数多くの課題があります。北朝鮮は、当地時間で本日未明、核実験を行った旨を発表しました。これが事実とすれば、北朝鮮の行動は、我が国のみならず北東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であります。拉致問題を含め、北朝鮮への対応には国際的連携が不可欠であり、スペインとも緊密に協力していきたいと考えています。また、イラク復興支援やテロの防止・根絶のために、国際社会と協力して取り組んでいきます。国連については、今日の現状にあった組織に変えていくため、安保理常任理事国入りを目指していきます。

 こうした施策を展開するに当たって、世界第8位のGDPを誇り、国連においても第8位の分担金を負担し、アフガニスタンやレバノン等の国際的課題に積極的に貢献しているスペインと関係強化を図ることは極めて重要です。

 我が国とスペインは、450年以上もの交流の歴史があり、人権、民主主義、法の支配といった基本的価値観を共有するパートナーとして、共に21世紀を歩んでいます。先のASEM首脳会合の際に行われた小泉前総理とサパテロ首相との会談では、二国間関係を強化していくことについて意見の一致をみました。今後予定されるサパテロ首相の訪日の機会も活かし、一層貴国と緊密な関係を構築していきたいと考えています。

 我が国とスペインは、様々な分野で活発な交流が続けられています。在日スペイン企業は約30社、在スペイン日本企業は約150社にのぼります。2005年には、日本からスペインに約18万人、スペインから日本へ2.6万人に訪問者がありました。このような各層での活発な交流が、様々な形で結実し、まさに両国間の友好関係の基盤を積み上げています。

 今回のシンポジウムでは、対日投資、対スペイン投資といった経済分野、日・スペインにおける都市の役割といった行政分野及び文化交流などの分野について活発な議論が行われます。有意義かつ建設的な知的交流の成果を踏まえて、相互理解が一層深まり、更なる二国間関係の強化につながることを期待しております。

 最後に、日本の政界で重責を担っておられ、極めてご多忙の中、今回は座長代理として、本シンポジウムにも多大な貢献をされ、安倍新政権誕生に中心的役割を果たされた平井たくや衆議院議員及び、スペイン側座長としてご尽力頂いたガリーゲス博士に敬意を表したいと思います。また、シンポジウムご出席の各位、本シンポジウム開催に向け多大なるご尽力を賜ったスペイン政府、マドリード市、カサ・アシア関係者を始めとする皆様のご協力に感謝の意を申し上げるとともに、このシンポジウムが成功裡に進みますことを祈念し、挨拶に代えさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

(ムーチャス・グラシアス(Muchas Gracias))

このページのトップへ戻る
政務官演説平成18年演説目次へ戻る