演説

伊藤外務大臣政務官演説

伊藤信太郎外務大臣政務官(Vice-Minister for Foreign Affairs)による
「中東・北アフリカ地域の労働運動国際シンポジウム」開会挨拶

平成18年9月6日

(写真)京王プラザホテルで開催された本件シンポジウムの開会に際し、歓迎の挨拶を行う伊藤政務官

京王プラザホテルで開催された本件シンポジウムの開会に際し、
歓迎の挨拶を行う伊藤政務官


 中東・北アフリカ地域の労働組合代表の皆様、並びにご臨席の皆様、

 本日、中東・北アフリカ地域より労働組合指導者の方々をお招きして、国際シンポジウムが開催されるにあたりまして、日本の中東・アフリカ外交を担う者としまして、ひとことご挨拶を申し上げます。

 今日、中東地域は大きな変化を遂げようとしています。昨今、中東発のニュースは国際的な一大関心の的となっておりますが、中東の変化は、日々の政治情勢だけにとどまりません。中東では、民主化への政治改革、経済発展などを通じて、人々の生活と社会のあり方が、根底から大きく変わろうとしています。私自身、今年の夏、中東を訪問しまして、各国の実情を直接見聞きし、その感を強くしました。

 この急激な社会の改革と経済の発展は、労働運動の観点からも取り組みが必要であります。政府はもとより、労働団体、NGO等がそれぞれの立場から一緒に問題解決に取り組んでいかなければなりません。例えば、増大する青年人口をいかに雇用に結びつけるべきか、或いは伝統と経済発展を社会制度の中でどのように調和させるべきかという問題は、将来において中東社会が発展と繁栄を享受するうえで是非とも克服しなければならない重要課題です。

 日本政府は、このような観点から、2004年からG8の一員として「未来フォーラム(Forum for the Future)」の作業において、中東地域の若者の雇用創出に努めてきております。日本は、中東地域の民主化と改革には、各国の自主性(ownership)と多様性(diversity)が尊重されるべきとの立場から、本年までの2年間に教育・識字分野で10万人、職業訓練分野で1万人が裨益する支援を前倒しで実施しました。その一環として、昨年9月にはヨルダンと共同で、「職業訓練ワークショップ」を開催し、中東各国からの参加を得て大きな成功を収めました。

 本日は、各国の労働界を代表するお立場から、各国の労働事情を披露しあい、労働運動が果たしうる役割について、有意義な話し合いがおこなわれることを希望します。

 また、この場には、イスラエルとパレスチナから双方の労働組合の代表が参加しておられます。イスラエルとパレスチナとの和平は世界の悲願であり、私達日本人も和平支援のために「オール・ジャパン」で取り組んでいかなければなりません。本日のシンポジウムを通じて、労働組合の立場から平和の構築に向けてどのように建設的な役割を果たして行くことができるのかについても、貴重なご意見を伺うことができるものと期待しております。

 最後になりますが、日本はアジアにあって、常に改革と発展の道を模索してまいりました。各国から参加しておられます労働運動の代表者の方々が、このプログラムを通じて、中東の国々が抱える労働問題に対して日本の豊富な労働運動の経験から良い解決の糸口が見つかり、更なる積極的交流のきっかけが生まれるものと確信しております。

 本日の国際シンポジウムの成功を期待しつつ、私の挨拶とさせていただきます。