
伊藤外務大臣政務官演説
伊藤政務官のイスラエル・パレスチナ自治区訪問(8月2~3日)
プレスステートメント
平成18年8月3日
- 今回は、1月に選挙監視で来訪して以来、2度目のイスラエル及びパレスチナ自治区訪問である。7月の小泉総理訪問のフォローアップとして、イスラエル、パレスチナ双方の関係者と情勢の急激な変化を踏まえた率直な意見交換を行う目的で来訪した。昨2日、リヴニ・イスラエル外務大臣やアルキドワ・パレスチナ前外務庁長官やラフィーク・フセイニ大統領首席補佐官とお会いして、現下のイスラエル・レバノン情勢、及びパレスチナ情勢等について実りある会談を行うことができた。
(イスラエル・レバノン情勢)
- 日本政府は、ヒズボラとの戦闘の結果、レバノンにおける人道状況が急激に悪化していること、また、イスラエル北部全域に対するロケット攻撃による被害が拡大していることを深刻に憂慮している。今次事態の解決のためにヒズボラは先ずイスラエル兵士の解放とイスラエルへのロケット攻撃を停止しなければならない。同時に、イスラエルもレバノンの民間人と民間施設へ被害が拡大しないよう行動すべきであり、国際社会としてこれを強く働きかけていく必要がある。この観点から、イスラエル軍の空爆により、7月25日には4人の国連要員が死亡し、また、30日には子供を含む多数の民間レバノン人が死亡するという事件が発生したことを極めて遺憾と考えており、今回イスラエル政府に対しても改めて最大限の自制を求めた。また、日本政府としては、即時の停戦のみならず、より長期的には永続的な停戦及び国際安定化部隊の展開を含む包括的和平の達成が重要との立場であり、こうした立場をイスラエル政府に説明した。
- 犠牲者と被害の拡大に伴い、レバノンをはじめとするアラブ・イスラム世界において、「憎しみのサイクル」が勢いを得、中長期的に過激主義の傾向を助長し、中東和平プロセスに悪影響が及ぶことを懸念している。イスラエル政府に対しては、このような大局的観点に立って利害の得失を見極め、本問題への賢明な対処を強く要望した。
(パレスチナ問題)
- 先月(7月)、小泉総理は中東を訪問して、2国家解決に基づくイスラエルとの共存路線を堅持するアッバース大統領を積極的に支持していく旨確認するとともに、イスラエルとパレスチナとの共存共栄の実現に向けた努力の一環として日本政府が、イスラエル政府、パレスチナ暫定自治政府、ヨルダン政府と協力しつつ「平和と繁栄の回廊」創設に向けイニシアティヴをとる旨表明した。今回の訪問では、現下の困難な情勢にも拘わらず、イスラエル政府とパレスチナの双方が本構想に引き続き前向きな考えを有していることを確認した。