平成18年2月13日
ご列席の皆様、
本日、第3回アジア不拡散協議が皆様のご出席を得てここに開催されることを、大変喜ばしく思います。この協議に出席するため来日頂いた皆様を心から歓迎申し上げます。
ご列席の皆様、
ASTOP(エーストップ)という名前で知られるこの協議は、2003年11月に立ち上げられた後、本日の協議で3回目を迎えることになります。この協議の目的は、現在の国際社会において、大量破壊兵器、ミサイル、そしてそれらの関連物資や技術の拡散が国際の平和と安全の観点から極めて深刻な懸念事項となっている中で、アジアにおける不拡散への取り組みの強化に貢献することであります。この目的を達成するためには、不拡散問題に精通した政策担当者が、専門的立場から忌憚のない意見交換をすることが必要であると考えており、この観点から、多忙の中、本国より来日された方々の参加を特に歓迎いたします。
ご列席の皆様、
第2回ASTOP以降、不拡散分野において、いくつかの注目すべき動きがあります。例えば、昨年7月ビエンチャンで行われたASEAN地域フォーラムでは、大量破壊兵器や運搬手段の拡散が「深刻な安全保障上の挑戦」であり、特にこれらがテロリストの手に渡る可能性が「最も危険な挑戦」と明確に位置付けられました。これはアジアにおける不拡散問題の重要性に対する認識が近年確実に高まっていることを示すものと考えます。
また、北朝鮮の核問題については、昨年9月の第4回六者会合において、北朝鮮による「すべての核兵器と既存の核計画の放棄」を謳った共同声明が採択されました。現在では、その実施の具体的方途が課題となっていますが、残念ながら次回の会合の日程は、現時点では決まっておりません。先週、北京にて行われた日朝包括並行協議の中の、核、ミサイル等の安全保障に関する協議においても、遺憾ながら北朝鮮からは何ら前向きな動きは示されませんでした。
イランの核問題については、今月4日のIAEA特別理事会決議において、多数の支持を得て、国連安保理への報告も含めた国際社会の明確なメッセージが出されるなど、重要な動きが見られました。私自身も、先月末、ロンドンにおいてモッタキ・イラン外務大臣と会談し、イランが累次のIAEA理事会決議を履行し、国際社会全体との信頼関係を築くことが重要であることを直接強く申し入れましたが、今後も国際社会がこのような外交的働きかけを継続することが重要であると考えます。
日本は、日本のみならず、アジア全体の安全保障政策の重要な柱の一つとして不拡散政策を重視しています。大量破壊兵器等の拡散を効果的に防止するためには、あらゆる側面において各国が対策を強化し、「拡散者」に対してつけ入るすきを与えないという強いシグナルを送る必要があると考えます。アジアにおいて不拡散体制が強化されることにより、地域の一層の安全と繁栄がもたらされ、さらには、世界の安全保障環境の改善にもつながると確信しています。参加各国による自由闊達な意見交換を通じて、本日の協議が、アジアにおける不拡散体制の強化に向けた重要なステップとなることを祈念し、私の挨拶と致します。
ご静聴ありがとうございました。