演説

塩崎外務副大臣演説

鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合
プレッジング・セッションにおける塩崎副大臣ステートメント(仮訳)

平成18年1月18日
(英語版はこちら)

 議長閣下、各国及び国際機関の代表並びにご列席の皆様、

 先に述べたように、鳥及び新型インフルエンザは国際社会全体で対処しなければならない課題であるとの認識の下、日本政府は、その発生の危険性が最も高く、支援を必要としているアジア諸国を中心として、本年3月末までに総額約1.35億ドルの支援を実施することを表明しました。その具体的内容は、次のとおりです。

(早期封じ込めのための抗インフルエンザ・ウイルス薬、関連物資の供与)

 第一に、アジアにおける鳥及び新型インフルエンザの発生に対処するため、抗インフルエンザ・ウイルス薬50万人分の備蓄を支援し、インフルエンザ検査キット、防疫服それぞれ70万人分等を供与します。このために、ASEAN統合のための日本の貢献のうち約4680万ドルを活用します。

(「新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議」の開催等)

 これに関連して、WHOの監視能力の向上、WHOが備蓄する抗ウイルス薬の供給システムの構築等のために、WHOを通じて約200万ドルの支援を実施することとしています。抗ウィルス薬の国際備蓄の活用を含め、新型インフルエンザの早期封じ込めに必要な措置等を検討するため、我が国は去る1月12~13日、東京でWHOとの共催により、アジア諸国、関係国際機関及び主なドナー諸国等が参加する専門家会合を開きましたが、これもWHOへの我が国拠出金の一部が活用されたものです。会合では、早期封じ込めを成功させるためにアジア諸国、WHO、ドナー諸国がそれぞれ取るべき措置が明らかにされ、各国が今後取るべき行動の方向性を示しました。

(住民啓発等)

 第二に、我が国は、国連児童基金(UNICEF)及び世界保健機関(WHO)との協力の下、アジアにおける新型インフルエンザの防止とその流行に備え、地方における啓発活動及びハイリスク・グループ等へのインフルエンザ・ワクチン接種を実施するため、約4910万ドルの支援を実施します。

(家禽対策)

 第三に、鳥インフルエンザに関し、鳥の間での感染が深刻化しているアジア地域において、我が国の鳥インフルエンザの制圧経験を活かし、実効性のある緊急支援を行います。具体的には、家禽を対象とした各国の獣医行政、通報体制、防疫対策の強化・向上等を支援するために、国際獣疫事務局(OIE)及び国連食糧農業機関(FAO)を通じて、約1930万ドルの支援を実施します。

(共同研究の促進)

 第四に、我が国の感染症研究拠点大学である東京大学、北海道大学、大阪大学及び長崎大学がベトナム、タイ及び中国の研究所と連携し、各国に共同研究拠点を構築します。これらの国内外の拠点における新興・再興感染症に関する共同研究の促進と各国の人材育成のために、23億円を支出しています。

(キャパシティ・ビルディング)

 第五に、アジア諸国における研究者、医療関係者、動物衛生専門家、保健担当行政官等の人材育成のために、向こう3年間で、鳥インフルエンザ対策に資する研修を毎年100人以上に対して実施します。また、専門家派遣等の実施も検討します。更に、新型インフルエンザ発生の可能性が高い開発途上国に対し、検査施設を含む必要機材を供与します。

 以上が、小泉総理が表明した1.35億ドルの我が国支援策の具体的内容です。

(世銀、ADBの信託基金による支援)

 その他、今回新たに発表する支援として、我が国が世界銀行及びアジア開発銀行に設けた信託基金を通じて、約2000万ドルを目途として、開発途上国による鳥及び新型インフルエンザに関する国家戦略の立案・実施を支援することを目的とする両銀行のプロジェクトの形成・実施に必要な費用を迅速かつ柔軟に供与していきます。

 我が国は、鳥インフルエンザの拡散を抑制し、新型インフルエンザが出現した場合に早期に封じ込めるために、包括的な支援を行うこととしています。同様の努力を行う各国、機関とも緊密に連携することによって、我が国の支援が最大限の効果を上げることを期待しています。

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