演説

河井外務大臣政務官演説

「G8グローバル・パートナーシップに関する東京セミナー」における河井外務大臣政務官の開会挨拶

2005年6月7日
於:赤坂プリンスホテル

 まず初めに、世界各地からお越し頂いた皆様をあたたかく歓迎致します。
本日、「G8グローバル・パートナーシップに関する東京セミナー」が、日露非核化協力委員会と米戦略国際問題研究所の共催により、開催されることを歓迎いたします。私は外務省において軍縮、不拡散、科学を所管しておりますので、本セミナーの開会に当たって、日本政府を代表して、一言ご挨拶申し上げます。

G8GPの紹介

 ご列席の皆様

 G8グローバル・パートナーシップは、2002年、カナダのカナナスキスにおける先進8ケ国サミットにおいて発足しました。この取り組みは、不拡散、軍縮、テロ対策、及び環境を含む原子力安全という分野に関連するプロジェクトを、G8各国が協力して実施することを目的として始まりました。その後、この新しい国際協力の試みは、幾つかの困難を克服しつつ、着実に成果をあげ、また、G8以外にも参加国を得ることがてきました。この極東においても、日露協力による最初の原子力潜水艦の解体が昨年成功裏に終了しています。

G8GPの意義

 私は、広島の出身です。一人の政治家である前に、日本国民として、また、広島市民の一人として核の問題には強い関心を持ち続けてきました。非核兵器国である日本が、グローバル・パートナーシップの新しい枠組みを通じて、広い意味での核兵力の削減に貢献できることに、私は大きな意義を見い出します。

 また、かつて東西両陣営に分かれて対峙していた国々が、共々に手を携えて冷戦の負の遺産を解消しようとするこの事業は、冷戦後の新たな国際協力の可能性を象徴的に示すものと言えましょう。

 グローバル・パートナーシップは、厳格な法的約束ごとではなく、一定の方針に従って行われるいわば緩やかな協力の手法です。このため、グローバル・パートナーシップのこの手法は、広汎な国や分野で適用が可能です。その意味でも、将来的に大きな可能性を秘めた枠組みと言えましょう。

本日のセミナーの意義

 さて、この新たな取り組みを成功させるためには、その重要性に見合った多くの資金と参加各国による積極的な取り組みが不可欠です。政府がこのような課題に持続的に取り組むことができるためには、市民社会における支持が必要です。本日のセミナーの目的の一つは、グローバル・パートナーシップに関する市民社会の理解を促進することにあります。この観点からは、G8グローバル・パートナーシップの前身である協調的脅威削減プロジェクトの生みの親でもあり、現在も市民社会の側から積極的に活動を続けておられるサム・ナン米国連邦上院議員の参加を得ることができたことを歓迎します。

 日本でも、本件には国会の関心が高く、極東ロシアにおける退役原潜解体事業を推進するために日露非核化協力推進議員連盟が結成されています。原潜解体は日露協力の象徴的な事業であり、小泉総理により「希望の星」と命名されました。この名前は、極東ロシアの原潜解体事業の現場であるズヴェズダ造船所の「ズヴェズダ」がロシア語で「星」を意味することから、このように命名されたものです。ですから、日本の議連は通称「希望の星」議連と呼ばれています。

 本日のセミナーのもう一つの重要な目的は、極東地域におけるこの案件について国際社会の関心を高めることにあります。極東ロシアには、約30隻の退役原潜が繋留されていますが、原潜解体協力の実績があるのは米国と我が国のみであり、北西ロシアと比べて、解体が遅れているのが現状です。本日のセミナーには、欧州からの参加者が数多くお見え頂いています。是非、北西ロシアにおける経験をこの私たちと共有させて頂きたいと思います。その一方、極東ロシアにおいても希望の光が輝き始めています。昨年、オーストラリアと韓国が、G8グローバル・パートナーシップへの参加を決定したことを歓迎します。そして、その中でも、昨年、オーストラリアが、日露非核化協力委員会に資金を拠出したことを高く評価します。

 さて、G8グローバル・パートナーシップを進める上で、ロシアの役割と責任が極めて大切であることは言うまでもありません。本日は、ロシアにおいて、原潜解体や核解体を統括しておられるアンティポフ・ロシア連邦原子力局副長官をはじめとして、モスクワとウラジオストクの双方から、ロシアの関係者が多数出席されています。本日は、ロシア政府の考え方、現地の状況について有意義なお話が伺えることを期待します。私も、7月中旬にズヴェズダ造船所を訪問し、現地で実際にこの目で原潜解体の進捗状況を視察したいと考えています。

結語

 カナナスキス・サミットから3年が経とうとする今、グローバル・パートナーシップの過程を加速するためには、まだ解決すべき問題が多く残っております。「希望の星」の光が、平和と繁栄の到来を待ち望んでいる多くの国とその国民の上に本当にしっかり照らされることを心から祈念するとともに、本日のセミナーが大きな成果を上げることを期待して最初のご挨拶とします。

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