演説

塩崎外務副大臣演説

「パキスタン等大地震に対する復旧・復興支援国会合」
塩崎外務副大臣 ステートメント

平成17年11月19日
(英語版はこちら)

ムシャラフ大統領、
アジーズ首相、
アナン国連事務総長
各国政府及び国際機関の代表者の皆様、

  1. パキスタン等大地震で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。また、地震発生直後から、懸命に援助活動を続けているパキスタン政府、各国政府、国連・国際機関、NGOの関係者の方々に対し、心から敬意を表します。
  2. 我が国自身、10年前の阪神淡路大震災では、多くの尊い命が奪われ、また、昨年の新潟地震でも大きな被害を受けました。自然災害に何度も見舞われてきた我が国としては、今回の被害に特別な同情と連帯の意識を持っております。
  3. このような特別な想いから、そして、パキスタンの長年の友好国として、我が国は、震災直後より、政府及び民間双方において最大限の支援と協力を行ってきました。政府は、国際緊急援助隊の救助チームと医療チームに加え、陸上自衛隊のヘリ計6機及び隊員100名以上を派遣しました。また、2,500万円相当の物資支援と計2,000万ドルの無償支援を実施しました。
  4. これら政府による取組に加え、日本の政治レベル、民間部門も行動を起こしています。

    (1)我が国の多くのNGOが地震発生翌日から現地入りし、緊急人道支援活動を継続的に実施してきています。政府は、NGOの活動を支援するため、ジャパン・プラット・フォーム(JPF)を通じて約4.4億円を供与してきています。政府としては、今後とも我が国のNGOとの連携を強め、これらNGOの緊急人道支援活動を積極的に支援してまいります。

    (2)民間企業及び一般市民から、既に10億円の義捐金が日本赤十字に寄せられており、これは、パキスタン国内の国際赤十字の活動に活用されています。

    (3)また、在京パキスタン大使館には、これまでに、1億3000万円の現金や毛布、テント等多くの援助物資が寄せられています。

    (4)最後に私が属する与党も、チャーター便でパキスタンを訪問し、テント、毛布、防寒具等約20トンをパキスタンに直接届けました。

  5. こうした政府・民間が一体となった日本の具体的行動は、両国の友情が、政府レベルにとどまらず国民と国民の絆となっていることの現れであります。
  6. また、我が国は、官民の支援を北西辺境州のバタグラム周辺地域に集中し、同地域において、我が国の国際緊急援助隊の救援チーム、医療チーム、自衛隊部隊、NGO、パキスタン政府や国際機関が連携し、必要な支援を必要な人々に届けるために、きめの細かい支援を実施しています。国際緊急援助の一つのモデルとして御紹介したいと思います。
  7. しかし、今次地震の被害は甚大であり、これまでの緊急支援に加え、徹底的に破壊された道路、橋、病院、学校等のインフラや住居の再建、保健・衛生状態の改善など生活基盤の回復が急務の課題となっています。また、被災された女性や子供など社会的弱者への配慮も重要な点です。さらに、山間部では、冬が近づく中、依然多くの人が支援を必要としています。このような困難な状況を回復するには、引き続き、パキスタン政府、国際社会が一致団結して努力していく必要があります。
  8. 我が国は、これらのニーズを踏まえ、復旧・復興支援について、以下の追加的な支援を表明致します。

    (1)緊急な復興のための資金需要に対応すべく、パキスタン政府に対する円借款による1億ドルの支援を、この場で表明します。

    (2)また、復興支援の一環として、世界銀行及びアジア開発銀行からの要請を踏まえ、両機関に我が国が設置している信託基金を活用して、各機関5百万ドル、合計1千万ドルの支援を行うことを表明します。

    (3)更に今後、世銀・ADB、JBIC等による合同ニーズアセスメント及びJICAによる調査結果を踏まえ、インフラ整備などについて円借款や無償資金協力を活用し復興支援に協力していく考えです。対象地域は、特に被害が甚大であったムザファラバード等カシミール地方に加え、バタグラムを含む被災地域にも配慮し、現地のニーズ、実施体制を把握し、支援の具体的内容を検討していきます。その際、速やかに再建事業に着手できるよう、冬期でも調査可能な地域でインフラ再建のための迅速な開発調査の実施も検討していきます。

    (4)先にも述べましたように、我が国はこれまで多くの地震災害を経験してきたために、地震対策の知見や経験が豊富です。このような経験により蓄積された技術をパキスタンのために役立たせるべく、耐震住宅建設等の防災技術向上のため、専門家を派遣する用意があります。

  9. 今後、我が国を含む国際社会からの支援が効果的に復興に活用されるため、パキスタン政府が、引き続き、ドナーと緊密に連携していくこと、財政を規律をもって効果的に運用していくこと、マクロ経済の安定を確保する措置を講ずることが重要と考えます。
  10. 国交樹立以来、我が国政府及び国民は、常にパキスタン政府及び国民と共にありました。今回の地震においても、困難な状況を自ら克服しようと努力するパキスタンの皆様に勇気と希望をお届けできるよう、今後とも我が国は官・民双方の力と知恵を絞り、全力で支援していく所存です。

ありがとうございました。

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