演説

逢沢外務副大臣演説

「南アジア地震被害コミュニティ支援大臣級会合」
逢沢外務副大臣ステートメント

平成17年10月26日
(英語版はこちら)

アナン国連事務総長、
ムハンマド・ミヤン・スムロ・パキスタン上院議長、
マクドゥーム・クスロ・バクティヤール・パキスタン外務担当国務大臣、
各国政府及び国際機関の代表者の皆様、

1.はじめに、今回のパキスタン等大地震で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災者の方々にお見舞い申し上げます。また、地震発生直後から、被災地で懸命に援助活動を続けているパキスタン政府関係者の方々、各国政府・NGOの援助関係者の方々に対し、心から敬意を表します。

2.我が国自身、ちょうど10年前の阪神淡路大震災では、6千人以上の尊い命が奪われました。また、昨年、新潟で大地震が発生し、大きな被害を残しました。このような自然災害に何度も見舞われた我が国は、今回の被害に特別な同情の念を禁じ得ません。

3.パキスタンは冬が近づく中、何百万人もの人々が家を失い救援を求めています。パキスタン政府は、ムシャラフ大統領自身が国民の団結を呼びかけ、軍を動員して緊急人道支援のための懸命に努力されています。道路等インフラの破壊や地方政府の機能麻痺といった困難に直面していることは明らかです。こうした状況において私たちは、連帯の精神に立って、今般被災された方々の救援と被災地の復旧・復興に全力を尽くすことが求められています。

4.我が国は、震災直後より、必要な支援を提供する努力を惜しまない方針を表明し、具体的な行動を持ってこれを示してきました。即ち、人的貢献、援助物資の提供、資金協力の3分野で迅速に支援を実施してきています。

(1)人的面では、地震発生当日、国際緊急援助隊救助チーム及び医療チームの派遣を決定するとともに、現地のニーズを踏まえ、先週には医療チーム第2次隊を派遣したところです。さらに、政府の資金支援を受けた日本のNGOが被災地に迅速に展開し、緊急人道支援活動を実施しています。

(2)物資面では、現地で最も必要とされている毛布、テント等2500万円相当の緊急援助物資を提供しました。

(3)資金面では、緊急のニーズに対応するため最大2,000万ドルの無償支援の供与を決定しました。そのうち、1,200万ドルをパキスタン政府に供与し、また、800万ドルを国連統一緊急アピールに応えるべく、関係国連・国際機関に対し拠出することといたしました。

5.国際社会が対処すべき、当面の課題は、道路が破壊され、陸路での輸送が困難な中、家を失った被災民に対して、如何に住居、安全な水、食糧、医療等を届けるかです。我が国としては、この問題に対応するため以下の三つを実施しています。第一に1200万ドルの2国間支援の中でテント、毛布、インフラ修復のための重機、水や医療品を提供すべく、既に調達作業を行っています。第二に、800万ドルの国際機関への拠出については、被災民救援に緊急に必要とされる物資、輸送手段等の提供を行うため、WFP(世界食糧計画)、UNICEF(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、IOM(国際移住機関)の5機関に対して拠出を決定いたしました。第三にパキスタン政府の要望に応え、陸上自衛隊のヘリ計6機及び隊員100名以上を派遣し、救援物資をイスラマバードから被災地に輸送しております。

6.こうした日本の支援を含め国際社会の支援が効果的・効率的に実施されることは極めて重要であり、各国・国際機関の間の援助協調に国連が一層中心的な役割を果たすことを期待します。既に、現地では国連のイニシアティブで、パキスタン政府、ドナー諸国、NGO、国際機関の調整会合が連日行われており、こうした現地の調整を更に奨励していくことが重要です。

7.今後は、上述の緊急支援に加え、新たに中長期的な復興を見据えた支援が重要となってきます。我が国としては、中長期の復旧・復興については、現地における具体的ニーズを踏まえつつ、円借款の供与も含め我が国としてできるだけ支援する方針で、そのために既にJICA、JBICの調査団を派遣しているところです。

8.今回の災害では、未曾有の惨禍に対し、世界各国の政府や人々が迅速かつ強力な連帯の手を差し伸べています。我が国も、我が国自身の過去の災害の際に世界中から温かい支援を頂き災害の苦しみを乗り越え、復興に向けて立ち上がることが出来たことから、今回の災害に対して最大限の支援を行っています。今回の会合を通じ、国際社会の共感と連帯が一層強化され、自然災害に対する備えが充実され、将来への希望へとつながることを強く願っています。

ありがとうございました。

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