演説

逢沢外務副大臣演説

国際連合開発資金ハイレベル対話:閣僚級ラウンド・テーブル「国内資金の動員」における逢沢副大臣ステートメント(仮訳)

平成17年6月28日
於:ニューヨーク
(英語版はこちら)

 議長、

 モンテレイ合意は、ODAのみならず、貿易、投資、国内資金を含めた幅広い開発資金の動員の重要性を謳っています。また、我が国が先週東京において開催し、私も参加した「保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラム」においても、保健MDGs達成のためには、ODAの量の拡大・効果向上のみならず、国内資金を持続可能な方法で動員することが何よりも重要であることについて合意が見られました。そして、ある参加国からは、そのためには強い「政治的な意思」の存在が決定的に重要だったと指摘しました。このように、開発には、途上国が真の自助努力に取り組み、経済成長を促進しうるような経済・社会政策を強化していくという包括的な取り組みが重要であります。このことは、我が国自身の経験に照らしても明らかです。今日は、その中でも、農業開発、南南協力、資本逃避と頭脳流出の問題に絞って発言します。

 議長、

 農業・農村開発は、ミレニアム開発目標の特に目標1(貧困、飢餓の半減)を達成するために主要な役割を果たしています。途上国における農村人口の約7割が貧困層といわれる中、「緑の革命」を通じた主要作物の生産増強は農村部の飢餓の解消に貢献します。また、農産物の増産が軌道に乗れば、農村市場や農村道路等のインフラ整備を通じ都市部へ農産物を販売することもできますし、農業を機軸とした地場産業振興支援を合わせて行うことで、貧困層の所得向上に結びつけることもできます。こうした観点から、我が国は、アフリカ開発銀行とともに、5年間で最大12億ドルに及ぶイニシアティブをとりまとめ、農業を含む民間セクター開発支援を強化するほか、学校や保健サービス等、農民や地域の開発ニーズに合わせた村づくりを支援する「アフリカン・ビレッジ・イニシアティブ」を展開しています。

 わが国は、国際的開発目標の達成に貢献する新たなパートナーシップである南南協力を重視しています。南南協力は、途上国における人づくりや近年増加傾向にある途上国間貿易の促進に貢献するものであり、貿易・投資を通じて利用可能となる途上国の国内資金は、自らの持続的な成長の上で決定的に重要です。「アジア・アフリカ開発大学ネットワーク」構想は、アジア・アフリカ双方における人的資源の強化と社会経済開発に資する能力強化の観点から有益と考えます。」

 MDGsに直接関連する分野でも南南協力は進んでいます。例えば、2001年、我が国はASEAN諸国との間で感染症予防ネットワークを立ち上げましたが、各国の経験と知識に基づき、エイズ対策はタイ、マラリア対策はフィリピンをそれぞれ拠点として支援することで、効果的な感染症対策が進んでいます。

 議長、

 真の自助努力の観点からは、資本逃避と頭脳流出の対策こそが重要です。例えばサブ・サハラ・アフリカでは資本逃避の方が対外債務より大きく、発展を阻害している現実があります。東アジアでは、ODAによるインフラ整備と地元政府の産業政策がうまくかみ合い、直接投資や貿易を通じて資本逃避を防ぐことができました。こうした取組が、例えばアフリカにおいても行われることが重要と考えます。

 最後に、小泉総理が、新しい「保健と開発イニシアティブ」のもと、アフリカの人々を主たる対象に、今後5年間で50億ドルを目途とする包括的な協力を行う旨表明したことを、皆様にお知らせできることをうれしく思います。

 ありがとうございました。

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