外務大臣談話

令和5年11月3日
  1. 11月2日、ロシアにおいて、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准撤回に関する法律が公布され、発効しました。
  2. 1996年に採択されたCTBTについて、ロシアは2000年に批准し、これまで核実験禁止という規範にコミットする姿勢を示し続けてきました。この間、国際社会においては、CTBT署名・批准国が着実に増加してきました。こうした歴史は、核軍縮・不拡散体制にとって大きな意義があります。厳しい国際情勢の中、CTBTの発効促進・普遍化を進めることはますます重要になっています。
  3. そのような中、CTBTの発効要件国であり、かつ署名・批准国の中で最大の核兵器国であるロシアがCTBTの批准撤回を決定したことは、国際社会の長年の努力に逆行するものです。我が国としては、今般のロシアの決定を非難するとともに、ロシアが、CTBTが規定する核実験禁止の規範性を引き続き尊重しつつ、国際的な監視体制の維持・強化や核軍縮・不拡散体制に対するコミットを示し続けることを求めます。
  4. 我が国は、唯一の戦争被爆国として、CTBTの早期発効・普遍化を含む現実的かつ実践的な取組を通じ、「核兵器のない世界」の実現に向けて、引き続き国際社会と共に粘り強く取り組んでいきます。
(参考)包括的核実験禁止条約(CTBT)
  1. 宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる場所における核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止。国際監視制度、協議及び説明、現地査察並びに信頼醸成措置からなる検証制度を設けることとなっている。
  2. CTBTは1996年9月に署名開放されたが、発効には発効要件国(44か国)すべての批准が必要とされ、現在まで未発効。発効要件国のうち、米国、中国、エジプト、イスラエル及びイランは署名済み・未批准。インド、パキスタン及び北朝鮮は未署名・未批准。現在、署名国は187か国。批准国は178か国(ロシアを含めた場合。)。

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