外務大臣談話
ミャンマー国軍の少数民族武装勢力に対するミャンマー北東部における軍事行動の全面停止の宣言について
(外務大臣談話)
1 12月21日(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国国軍司令官は,2018年12月21日から2019年4月30日までの間,ミャンマー北東部において,少数民族武装勢力に対する国軍による軍事行動を全面停止することを宣言しました。この宣言は,ミャンマーの少数民族和平の進展に向けた前向きな動きであり,日本政府として心より歓迎します。
2 日本政府は,笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表を中心に,ミャンマー政府・国軍及び少数民族武装勢力の双方に対し,停戦の実現を強く働きかけてきました。
3 ミャンマーにおける和平と国民和解の実現は,インド太平洋地域の平和と安定のために極めて重要です。日本政府は,今般の国軍による軍事行動の全面停止により,戦闘が停止され,ミャンマー全国における恒久的な停戦と和平につながることを強く期待します。また,戦闘の停止により,現地への人道アクセスが速やかに確保され,人道状況が改善されることを期待します。
4 また,日本政府は,停戦が既に実現しているカレン州,モン州等において,紛争の影響を受けた住民の生活向上と帰還民の再定住のため,日本財団等の日本のNGOと連携し,住居,学校,医療施設等のインフラ整備,農業技術支援,住居電化等の復興開発支援を実施してきました。今後,より多くの人々が和平の果実を実感できるよう,引き続き支援を着実に実施していきます。
[参考1]12月21日付ミャンマー国軍司令官室発表の要旨
ミャンマー国軍は,北部軍管区,北東部軍管区,東部軍管区,中東部軍管区及び三角地帯軍管区(注:カチン州,シャン州及びカヤー州に該当)において,全国規模の停戦合意(NCA)に未署名の少数民族武装勢力全てとの戦闘停止のため,各組織と協議することが必要だと考える。
同国軍として,協議を実施するため,2018年12月21日から2019年4月30日まで,上記の地域において,全ての軍事行動を停止する。
[参考2]ミャンマー少数民族和平の現状
ミャンマー政府は,2011年8月以来,国内和平達成のため,少数民族武装勢力と和平交渉を実施。2018年2月までに,カレン民族同盟(KNU),新モン州党(NMSP)等の10の少数民族武装勢力が署名し,ミャンマー南東部においては停戦が実現している。しかし,ミャンマー北東部を中心に,カチン独立軍(KIA)等の武装勢力との間で衝突が頻発していた。その結果,10万人以上の国内避難民が発生している。