外務報道官談話

平成30年7月3日

1 我が国は,ニカラグア共和国において衝突や暴力事件が継続し,多くの死傷者が発生していることを深く憂慮します。犠牲者の御遺族に対し哀悼の意を表するとともに,負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

2 我が国は,暴力行為の即時停止を呼びかけるとともに,6月5日(現地時間),米州機構(OAS)定例総会において「ニカラグア国民の支援のための宣言」がコンセンサスで採択されたことに留意し,その着実な実施を強く支持します。また我が国は,ニカラグア政府が米州人権委員会(IACHR)による特別フォローアップ機構(MESENI)及び独立専門家グループ(GIEI)の派遣,並びに国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の現地調査を受け入れたことを歓迎し,その円滑な任務遂行のための全ての関係者の協力を期待します。

3 我が国は,民主主義の諸原則に則った対話と協議が重要であると考えており,司教会議の仲介の下で行われている国民対話を通じて関連する諸問題が解決されることを強く期待します。

[参考1]
(1)4月18日(以下,現地時間),ニカラグア社会保障庁(INSS)による社会保険法改正令公布(大統領令)が,憲法上の手続を経ていないとして企業団体や年金受給者が反発,大学生中心の抗議デモがマナグア市を中心に各地で発生し,治安警察の投入等により多数の死傷者が発生する暴動に発展。

(2)4月22日,社会保険法改正令が取り消され,事態は一旦沈静化したものの,5月中旬以降,反政府派の大学生への弾圧を機に暴動が再燃。抗議活動や暴力事件は依然として収束せず,NGO等によれば,累計死者数は少なくとも285名。

(3)米州人権委員会(IACHR)や国連人権高等弁務官事務所等国際機関は,6月24日以降,それぞれニカラグアに専門家チームの派遣を開始。7月2日,IACHRの独立専門家グループ(GIEI)が現地入りし調査を開始した。

[参考2]司教会議
 司教会議は,法王庁が任命する司教から成る機関。ニカラグアにはカトリックが浸透しており,同会議は社会的発言力を持つ。今次暴動において,オルテガ大統領は,企業団体他市民側から国民対話を提案された際,司教会議が仲介役となることを条件に国民対話を受け入れた経緯がある。


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