外務報道官談話
タイにおける新憲法草案に係る国民投票について(外務報道官談話)
1 我が国は,タイにおいて,新憲法草案等の是非を問う国民投票が特段の混乱なく平穏裡に実施されたことを歓迎します。
2 本日,正式に国民投票の結果が発表されましたが,我が国は,国民投票によって承認された新憲法の下で,下院選挙を含むタイの民政復帰に向けたプロセスが円滑に進み,引き続き同国が地域の安定と発展に貢献することを期待します。
3 また,我が国は,引き続きタイの民政復帰に向けた取組に協力していくとともに,邦人の安全や日本企業の円滑な活動を確保するため,必要な措置を講じていく考えです。
(参考)
(1)国民投票の結果
10日15時30分(日本時間17時30分),タイ中央選挙管理委員会は,7日に行われた国民投票結果について,設問1及び2の結果を正式に発表した(投票率 59.4%)。
ア | 設問1「新憲法草案の採択」 | : | 賛成 61.35%,反対 38.65% |
イ | 設問2「首相選出に上院も関与」 | : | 賛成 58.07%,反対 41.93% |
(2)国民投票の経緯
昨年5月,軍事クーデターが発生し,憲法(2007年憲法)が停止。翌月に施行された暫定憲法に基づいて組織された憲法起草委員会により新憲法草案が起草された(15年9月,草案が一旦破棄されたところ,今次国民投票で諮られたのは,新たに組織された憲法起草委員会が起草したもの)。
(3)新憲法の特徴
ア 首相が下院議員であるべきことが明記されておらず,実質的に非議員も就任が可能。
イ 施行後5年間,上院が官選議員(定数250)により構成。
ウ 非常事態の認定及び判断を,憲法裁判所長官が招集する合議体(国会議長,首相等)に委任。
エ 新政権発足まで,2014年のクーデターを主導した,国家平和秩序維持評議会(NCPO)が存続し,これまで同様の完全な権限を行使。
(4)今後の予定
新憲法は国王の裁可を経て発効。憲法付属選挙関連法が整備され,来年半ば以降に下院選挙が実施され,同年末までに民政復帰の見込み。