談話

平成26年8月30日

1 我が国は,最近,イエメンで情勢が不安定化し緊張が高まっている現状を強く懸念しています。

2 我が国は,イエメンの全ての当事者がイエメン国民の利益を優先して一致団結し,武力を背景とした圧力に訴えることなく,国民対話の成果を着実に実施していくことを強く求めます。この観点から,8月29日に発出された国連安全保障理事会議長声明を支持します。

3 我が国は,アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領(Abdurabboh Mansur Hadi, President)のもとで対話を通して新しいイエメンの建設を目指すイエメン国民の努力を今後とも積極的に支援していきます。

(参考1)最近のイエメン情勢

(1)反体制勢力ホーシー派は,政府に対し燃料補助金廃止の撤回等の要求を掲げ,8月中旬から,武装して首都サヌアへのアクセス道路上と一部の市内にキャンプを設営し,座り込みを開始。
(2)これに対し,サヌア市内でホーシー派を非難する大規模な大統領支持のデモが行われる一方,治安当局はホーシー派に対する警戒態勢を強化。
(3)8月22日から25日まで,政府とホーシー派の間で交渉が行われるも,交渉は決裂。ホーシー派は,武力を背景に政府に対する圧力を一層強める構えを見せており,緊張が高まっている。

(参考2)国連安全保障理事会議長声明要旨(ニューヨーク時間8月29日発出)

(1)イエメンの治安情勢の悪化に重大な懸念を表明。
(2)ホーシー派に対し,(ア)アムラーン県から兵力を引上げ,同地域をイエメン政府の管理下に戻すこと,(イ)ジャウフ県におけるイエメン政府に対する武力による敵対行為を停止すること,(ウ)首都サヌア市郊外及び市内に建てたキャンプと検問所を撤去することを求める。
(3)アラビア半島のアルカーイダ(AQAP)による攻撃を非難する。

(参考3)イエメンにおける国民対話

(1)2011年2月以降,イエメンでは政治が混乱,武力衝突が発生していた。
(2)これを受け,国民各層の様々な意見を集約した新憲法の起草,新憲法下での大統領・国会議員選挙の実施といった政権移行プロセスの一環として,2013年3月18日から本年1月25日まで,国民対話が開催された。国民対話では,ハーディー大統領(国民対話議長),与野党,ホーシー派(シーア派の教条主義グループ),南部運動,若者,女性,市民社会等の代表(総議席数:565名)が9つの部会に分かれ新憲法案の骨格を協議。
(3)2014年1月21日,国民対話最終全体会合にて,連邦制の導入を含む国民対話文書が採択・承認された。


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