談話・コメント

外務大臣談話

北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射に関する国連安全保障理事会の議長声明発出について

平成24年4月16日

  1. 4月16日(月曜日)深夜(現地時間同日午前),国連安全保障理事会が,13日(金曜日)の北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射を強く非難する議長声明を発出したことを,日本政府は歓迎します。
  2. この議長声明において,安保理は,「人工衛星」と称しても発射は深刻な決議違反であると明記し,発射は地域の安全保障上の重大な懸念をもたらしたとして遺憾とし,これ以上弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も実施しないこと等を要求し,これまでの安保理決議に基づく措置の着実な実施のために安保理制裁委員会に期限付きで具体的な作業を指示しています。また,北朝鮮に対し,弾道ミサイル技術を使用した発射,核実験又はいかなる挑発もこれ以上行わないことを含むこれまでの関連安保理決議の義務を直ちにかつ完全に遵守することを要求し,北朝鮮による更なる発射又は核実験の場合に安保理がこれに応じて行動をとる決意を明確に表明しています。この議長声明は,2009年4月のミサイル発射の際に発出した議長声明よりも強いメッセージを含んだものであり,今回の発射によって重大な懸念がもたらされた東アジア地域全体の安全保障にとって重要な意義を有するものです。
  3. 現在,我が国は,安保理理事国ではありませんが,今回の発射前から,発射の自制を求めつつ,発射が強行された場合には,安保理を含む国際社会が確固たる一致したメッセージを迅速に発出し,更なる挑発を抑止するべきとの立場から,米国,韓国,中国,ロシアを始めとする関係各国との間で,緊密かつ精力的に調整を行ってきました。具体的には,核セキュリティ・サミット,日中韓外相会議及びG8外相会合等の機会に,各国首脳・外相に対し,日本政府の立場を強く働きかけてきました。また,発射後の対応においても,日本政府は,常任理事国4カ国と非常任理事国ドイツを含むG8諸国による独立の非難声明発出を主導したほか,発射後直ちに,安保理議長国である米国に会合の迅速な開催を要請し,遅滞なく安保理会合が開催されました。このように,関係国とあらゆるレベルで重層的な連携と協力を行い,不断の努力を重ねた結果として,我が国の考えが多く反映される形で,今回の議長声明の発出に至ったものと認識します。
  4. 北朝鮮が,この議長声明を重く受け止め,既存の決議を直ちにかつ完全に遵守すること,また更なる発射や核実験を含む挑発行為を決して行わないことを強く求めます。日本政府は,拉致,核,ミサイルといった北朝鮮を巡る諸懸案の包括的解決に向けて,国際社会との緊密な連携と協力のもとに,引き続き積極的に取り組んでいく考えです。

このページのトップへ戻る
外務大臣談話 |  平成24年談話 |  目次へ戻る