- 8月4日(木曜日)夜,東京近郊において,ベニグノ・アキノ3世フィリピン大統領(H.E. Mr. Benigno S. Aquino III, President of the Republic of the Philippines)とモロ・イスラム解放戦線(MILF)のアル・ハジ・ムラド中央委員会議長(Mr. Al Haj Murad, Chairman of the Central Committee, Moro Islamic Liberation Front)との間で,ミンダナオ和平問題の解決に向けた非公式会談が行われました。
- 我が国は,今次会談がミンダナオ和平プロセスを円滑に進めていく上で有意義な機会となったことを心から歓迎します。両当事者のトップ同士による会談は今回が初めてであり,日本でこの会談を開催したいとのフィリピン政府からの要請を受け,我が国政府として今次会談の開催を支援したものです。フィリピン政府の発表においても日本に対する謝意表明があり,我が国として今次会談の実現に貢献できたことを喜ばしく思います。
- 我が国は,今次会談の成果を踏まえ,今後も両当事者による真摯な話合いが継続され,ミンダナオ和平の最終合意が早期に達成されることを強く希望しており,国際監視団(IMT)への開発専門家派遣,元紛争地域における草の根・人間の安全保障無償資金協力の集中的実施(J-BIRDプロジェクト)等を通じたミンダナオ地域の復興・開発支援や国際コンタクト・グループ(ICG)による支援を通じ,引き続きミンダナオ和平プロセスに積極的に貢献していきます。
【参考】ミンダナオ和平問題について
(1)フィリピン政府とミンダナオを拠点とするモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平プロセスは,約40年にわたる武力衝突を経て,2003年の停戦合意,2004年からの国際監視団(IMT:International Monitoring Team)(団長:マレーシア)の活動により進展。2008年8月,懸案の土地問題の解決をめぐる国内調整に失敗して武力衝突が再燃したが,2010年2月に和平交渉が再開された。両当事者のトップ同士による会談は,今回が初めて。(2)我が国は,ミンダナオ和平がアジアの平和と繁栄に不可欠であるとの認識の下,IMT社会経済開発部門への開発専門家派遣,元紛争地域への人間の安全保障・草の根無償資金協力の集中的実施,和平交渉にオブザーバー参加して助言を行う国際コンタクト・グループ(International Contact Group:ICG)への参加等を通じ,ミンダナオ和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発に貢献してきている。特に,我が国支援案件の総称「J-BIRD(Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)」(※Bangsamoroはミンダナオのイスラム教徒を指す。)は,ミンダナオの住民の間でも広く知られている。