談話・コメント

外務大臣談話

国際司法裁判所(ICJ)裁判官選挙 小和田恆ICJ裁判官の再選について

平成23年11月11日

  1. 11月11日(金曜日)(米国時間10日(木曜日)),国連総会及び安全保障理事会において国際司法裁判所(ICJ)裁判官選挙が行われ,我が国の候補である小和田恆ICJ裁判官(現同裁判所長)が再選されたことを歓迎します。
  2. 国際紛争の平和的解決のために,国際社会において最も権威ある司法機関であるICJが果たす役割が益々増大する中,同裁判所において我が国出身の裁判官がこれに貢献することは重要です。これまで9年間にわたりこの重要な役割を果たしてきた小和田裁判官が再選を果たしたことは,同裁判官への高い評価を示すものであるとともに,このような我が国のICJへの貢献を重視する姿勢を踏まえた活発な選挙活動の成果でもあり,その意義は大きいと考えます。
  3. 小和田裁判官の一層の活躍を期待すると同時に,ICJの一層の発展等を通じた国際社会における法の支配の推進に,我が国として更に積極的に貢献していきたいと考えています。
(参考)
  1. 国際司法裁判所(ICJ)
    (1)ICJは,国際法に基づく国家間の紛争の平和的解決を任務として,1945年に設立された国連の「主要な司法機関」。オランダのハーグに所在し,裁判官15名(任期9年)で構成。国家間の裁判を行うほか,国連の諸機関の求めに応じ,法律問題に勧告的意見を述べることができる。
    (2)ICJ規程の当事国は193か国(注:国連加盟国は当然にICJ規程の当事国となる。)。我が国は1956年の国連加盟に先立ち,1954年4月2日にICJ規程の当事国となった。
  2. 2011年ICJ裁判官通常選挙
    (1)15名の裁判官は3年毎に5名ずつ改選。当選するには,国連総会及び安全保障理事会の双方で絶対多数(総会においては国連加盟国の過半数である97票,安保理においては8票)を獲得することが必要。
    (2) 今回の選挙は,日本,中国,シエラレオネ,ドイツ及びスロバキア出身の裁判官の任期終了に伴い実施。我が国のほか,中国,ウガンダ,シエラレオネ,セネガル,イタリア,ブルガリア,スロバキアから合計8名が立候補した。
    (3)選挙の結果,第1回目投票で,日本,中国,イタリア,スロバキア出身の候補の当選が決定した。残りの候補4名には,総会と安保理の双方で必要得票数を獲得した候補がいなかったため,残る1裁判官の選出は第2回目投票以降に持ち越された。
    (4)今回選出された裁判官の任期は,2012年2月6日から9年間。
  3. 小和田恆(おわだ・ひさし)ICJ所長
    2002年11月に行われたICJ裁判官通常選挙で選出されたICJ裁判官(2003年2月より裁判官,2009年2月より所長)。1955年に外務省入省,国際法関連の業務に長く携わった後,条約局長,官房長,OECD日本政府常駐代表(特命全権大使),外務審議官,外務事務次官,国際連合日本政府常駐代表(特命全権大使)等を歴任し,1999年に退官。他に,財団法人日本国際問題研究所理事長(1999-2003),常設仲裁裁判所裁判官(2001-現在)等。東京大学教養学部教養学科卒業,英国ケンブリッジ大学法学部大学院修士課程修了。
このページのトップへ戻る
外務大臣談話 |  平成23年談話 |  目次へ戻る