APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)

平成28年11月20日
出迎えを受ける安倍総理大臣 クチンスキー・ペルー大統領による出迎えを受ける安倍総理大臣
(代表撮影)
首脳集合写真(全体) 首脳集合写真
(代表撮影)
首脳集合写真(拡大) 首脳集合写真
(代表撮影)

 11月19日及び20日,ペルー・リマにおいてAPEC首脳会議が開催され,我が国からは,安倍晋三内閣総理大臣が出席した。クチンスキー・ペルー大統領が議長を務め,「質の高い成長と人間開発」という全体テーマの下,地域経済統合の推進,地域フードマーケットの促進,零細・中小企業の近代化,人材育成促進などについて幅広い議論が行われた。
 会議の成果として,APEC首脳宣言骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)のほか,附属書として「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に関するリマ宣言骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」及び「APECサービス競争力ロードマップ骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」が採択された。

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    クチンスキー・ペルー大統領による
    出迎えを受ける安倍総理大臣
    (代表撮影)
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    APEC首脳会議
    (代表撮影)

1 日程

11月 19日  午後  APEC首脳とABAC(APECビジネス諮問委員会)との対話
  20日  午前  地域・世界経済に関するセッション(ゲスト:ラガルドIMF専務理事)
     午前  首脳会議第1リトリート
       「現在のグローバルな文脈における自由な貿易・投資のための挑戦」
     午後  首脳会議第2リトリート
       「食料安全保障~気候変動への対応・水資源の確保~」
       「アジア太平洋地域の統合~現実的で機能的な連結性の強化に向けて~」

2 安倍総理の発言概要

APEC首脳会議のようす APEC首脳会議
(代表撮影)

 世界経済の見通し,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の推進方策,零細・中小企業のグローバル・バリューチェーンへの統合,デジタル貿易,サービス関連産業活性化等について議論される中で,概要以下のとおり発言が行われた。

  • 世界経済の見通しに対する下方リスクの高まりに対し,日本の積極的な取組を紹介しつつ,各首脳が金融,財政,構造改革等の政策を総動員しこれらに対処すべき旨表明。
  • 自由貿易こそが世界経済の成長の源泉,格差拡大等への懸念に由来する保護主義に対し,日本は「包摂的な成長」をもたらす経済政策を進めて自由貿易を推進する旨表明。TPPは自由で公正な経済圏を作り出し,「包摂的な成長」の基礎となるもの,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)も包括的で質の高い協定を目指すことで「包摂的な成長」の基礎となる旨表明。
  • 包摂的な経済の実現こそが,自由貿易に対する国民の持続的な支持を培うとして,日本が取り組む「一億総活躍社会」実現への取組を紹介し,これが「成長と分配の好循環」による成長戦略であることを強調。
  • サービス分野,デジタル貿易といった新たなビジネスに対応した,自由で公正なビジネス環境を整備する必要性を主張。

3 ABACとの対話

 APEC首脳と各エコノミーのAPECビジネス諮問委員会(ABAC)委員との対話が行われた。ABAC委員から保護主義と自由貿易への懐疑にいかに対処するのかとの質問に対し,安倍総理からは,女性の社会進出と高齢者の活躍の必要性,自由貿易が貧富の格差を広げているとの誤解を解き,経済政策を通じて格差を解消すべきこと,また,女性の社会進出は社会の強靭性を高めるものであることなど説明しました。

4 今後の予定

 来年(2017年)はベトナムがAPECをホストする予定。

5 評価

(1)本年の経済関係の国際会議の総仕上げとして,G7伊勢志摩サミットの成果も踏まえつつ,議論をリードすることができた。

(2)金融・財政政策,構造改革の着実な実施(政策総動員)を通じた日本経済再生に向けた努力を世界に発信。APECでも一致団結して世界経済を成長軌道に戻すよう強調した。

(3)自由貿易推進の意思を再確認。特に,TPPは自由で公正なルールに基づく経済圏を作り出すものとしてその意義を強調する機会となった。

(4)自由貿易に対する国民の持続的な支持を培う方策として,自由貿易の利益を社会に広く拡大させる「包摂的な成長」をもたらす日本の取組を説明し,これは「成長と分配の好循環」による究極の成長に位置づけられるものであると強調した。

(5)「未来への投資」に係る成長分野,特にサービス産業やデジタル貿易促進に向けた政治的意思を確認することができた。


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