グローカル外交ネット
自然の中にヒュッゲを感じる小さな市
「嘉麻市にデンマーク型のヒュッゲを見つけた…」
令和5年5月8日(月曜日)
嘉麻市役所産業振興課シティプロモーション係
レアケ・リンド・イエンセン
1 はじめに
私は、福岡県嘉麻市・産業振興課シティプロモーション係で令和3年から国際交流員として働いているレアケ・リンド・イエンセンです。デンマークのラナースという都市の出身です。デンマークの中で6番目に大きな都市であり、人口は約62,000人です。
高校を卒業した後は、旅行へ行こうと決めていました。そんな中、子供の頃に家族と一緒にジブリの映画を全シリーズ見たことが忘れられず、日本について調べました。知れば知る程、その文化や生活などに興味を持つようになりました。ある時、良さそうな語学学校を見つけたので入学し、初めて日本を訪れ、東京・箱根・日光・鎌倉・江の島などに行きました。語学学校での6か月間は一瞬で終わりましたが、「また日本に行こう!」と心に決めて帰国しました。この時は日本語をあまり喋れませんでしたが、また日本へ行きたいという気持ちが大きくなり、日本学を学ぶ為に大学に入りました。
大学2年生の頃に上智大学の留学生として再び日本を訪れ、やる気満々で日本語の勉強を続けることができました。また、大学院2年生の頃、名古屋大学の留学生として5か月間の留学をする機会がありました。旅行が大好きな私は京都・伊勢・大阪・白川郷・高山・金沢等に行きました。それぞれの魅力的な街を訪れ、日本をもっともっと好きになっていきました。留学中には生涯の親友ができたり、日本を中心とした興味深い講座をいくつか受けたりと本当に充実した5か月間でした。
帰国後、日本の視覚文化に関する授業から得たインスピレーションをもとに卒業論文を書きました。初めて日本に行った時から日本に住んで働きたいと思っていたので、先生からアドバイスを受け、JETプログラムに応募し、嬉しいことに合格することができました。そして、令和3年10月末に嘉麻市で国際交流員として着任しました。
2 嘉麻市がアウトドアシティ宣言!デンマークの「ヒュッゲ」体験型観光を目指す!
「ヒュッゲ」とは、明確な日本語訳はありませんが、北欧デンマークのライフスタイルを表現する言葉で、ほっと癒される心地よい時間と空間、その体験を通して得られる幸福感のことを意味し、豊かな時間の過ごし方や暮らし方、心の持ち方を表します。
私が嘉麻市に来たきっかけは、嘉麻市がデンマークのライフスタイルである「ヒュッゲ」を基に、住む人・訪れる人に対して心地の良い時間と空間を提供する、体験型観光に力を入れていることに共感し、嘉麻市と一緒にデンマークのヒュッゲを広めたいと思ったからです。
嘉麻市はアウトドアシティを目指して、デンマークの「アウトドアキャピタル」と呼ばれるシルケボー市をモデルにするという取組があり、同市からアウトドア観光に関するノウハウの協力を受ける基本合意書も締結しました。そして嘉麻市は令和3年11月にアウトドアシティ宣言をし、「アウトドアシティ嘉麻」を目標にしています。「アウトドアシティ嘉麻」はデンマーク人が大切にしているヒュッゲの考え方を参考にして、嘉麻市にある自然を活かし、今よりもっと魅力的なまちにしていくことを目指しています。
嘉麻市での私の仕事は主にデンマークを紹介し、ヒュッゲを浸透させることです!地域の皆さんとの交流講座を行ったり、小中学校へ行き子どもたちと交流したりと、ヒュッゲをテーマにしたイベントを開催して様々な方法でデンマークの文化について紹介しています。
ヒュッゲを魅力の一つにしている市町村は、福岡県内では嘉麻市だけです。この特別なアピールポイントを活かして、自然の中や、お店、公園など嘉麻市のいろいろなところでヒュッゲを感じてもらいたいです。
3 シルケボー市と嘉麻市の交流
シルケボー市と嘉麻市は、とても深い親交があると思います。その良い関係を保つ為には、お互いにアドバイスやアイデアをシェアしたり、体験等を通じて一緒に過ごしたりすることがとても重要です。そして、近年の過疎化に伴い、まちおこしをする為には、これまでに得たアイデア等がより一層大切になると考えています。
私の役割の1つは、嘉麻市がデンマークとの関係をスムーズに構築するための架け橋としてのサポートを行うことです。昨年、デンマークで開催されていた「アドベンチャーレース」というイベントを学ぶために、シルケボー市を訪問しました。そこでは様々なことを学ぶ大きなチャンスを得ました。そして、世界的アウトドアメーカーであるノルディスク社監修としては日本初となる「アドベンチャーレース」の嘉麻市開催につながりました。
4 地域を盛り上げていく
嘉麻市をもっと素敵な町にするために、みんなが力を合わせています。子どもたちや市民・観光客の皆さんにデンマークの文化を伝え、創造的な体験をしてもらう中で、嘉麻市を盛り上げていこうという市民の情熱を感じます。1年半ほど市民や観光客にヒュッゲと関係があるアクティビティを提供しており、ヒュッゲは嘉麻市の人々や自然など様々な活動に馴染んでいると感じました。
嘉麻市の豊かな森の中では、様々なことができます。焚火を囲んで思い思いの時間を過ごしたり、森林浴や読書をしたり、オリジナルブレンドコーヒーを飲めたり、焼きマシュマロや焼きリンゴ体験ができたりと、自分らしいヒュッゲを見つけるチャンスが多くあります。ボーッとしてリラックスする時間にもピッタリです。
昨年の12月には嘉麻市でデンマークのクリスマスをテーマにした「嘉麻クリスマスフェア」を企画し、開催しました。イベント限定のデンマークフードや手作りワークショップ、焼きマシュマロ体験、ライブ等を行いました。たくさんの方に来ていただき楽しかったです。そして「これこそが国際交流だ!」と嘉麻市に来て一番感じた瞬間でもありました。
5 最後に


これからも一歩一歩ですが、嘉麻市の市民や観光客の皆さんにヒュッゲを感じてもらい、地域を盛り上げていくために頑張っていきます!
