グローカル外交ネット

令和元年9月12日
(写真1)会場の様子 会場の様子(豊岡のブース)
(写真2)中貝豊岡市長による講演の様子 中貝豊岡市長による講演
(写真3)パトリシア・ズリータ会長と パトリシア・ズリータ会長と

豊岡市役所 コウノトリ共生部 コウノトリ共生課

1 はじめに

 豊岡市は,一度は絶滅した野生動物を飼育下で繁殖させ,かつての生息地である人里に帰していくコウノトリ野生復帰に取り組んでいます。
 かつて,日本の各地で暮らしていたコウノトリは,1971年,最後の野生のコウノトリが豊岡で死んで,日本の空から姿を消しました。豊岡市は,1965年からコウノトリの人工飼育に取り組み,25年目にようやくその繁殖に成功しました。そして,2005年9月,世界で初めて,飼育したコウノトリの放鳥を実現しました。コウノトリが野生復帰するためには,彼らを受け入れる豊かな自然環境と文化環境が必要です。市は「コウノトリと共に生きる」地域づくりに取り組んでおり,今では,170羽を超えるコウノトリが,豊岡を中心に日本の空を悠然と舞っています。

2 出展の経緯

 2018年2月,インドで開催された「INTERNATIONAL BIRD FESTIVAL」において,イスラエル人エコロジストのRan Levy-Yamamoriさんが制作されたコウノトリ野生復帰のドキュメンタリー「KOUNOTORI」が上映されました。
 この映像を観たイギリスのバードフェアの創始者であるTim Appletonマネージャーが豊岡によるコウノトリ野生復帰の取組みについて感銘を受け,この取組みを世界に向け発信すべきとして,「バードフェア2018」への参加を打診してきました。そして,その年のバードフェアに初めて出展することとなりました。

3 バードフェア

 バードフェアは,ロンドンから北に約200キロメートル,イギリスのバードウォッチングの名所である湖畔,ラトランド・ウォーターで,世界中から約3万人の方々が集まる世界最大の野鳥観察・展示会として1989年から毎年開催されています。
 展示会では世界各国の政府,自治体や光学機器メーカー,旅行会社,各種団体など,500を超えるブースが設置され,各国からバードウォッチャーや自然愛好家とその家族が参加されます。

 「バードフェア2019」は8月16日から18日に開催され,豊岡のコウノトリ野生復帰とコウノトリも住める環境の再生の取組みを世界に向けて発信するとともに,この取組みへの共感を広げることを目的として出展しました。
 コウノトリ野生復帰の取組みを紹介するブースには,多くの方が来られ,コウノトリ野生復帰の取組みや豊岡の観光についての話を聞かれたり,アメリカのメディアから取材を受けたりしました。話を聞いた方の中には,この取組みに共感し,設置していた募金箱に寄付してくださる方も多く,今年は昨年の約4倍となる寄付が集まりました。
 また,計2回行った市長講演には,豊岡の取組みに感動してリピーターとなり昨年から合計5回の講演を聞いたという家族も参加しました。講演後に熱心に質問をする方がいるなど,大きな反響を得ました。
 さらに今回は,コウノトリ野生復帰の取組みを世界に広げるため,メディア等に繋がりのある様々な方々とお会いし,直接取組みを伝えました。
 本市の取組みを聞いた方々は,口々に「もっと世界に発信するべき素晴らしい取組みです」,「あなた達が頑張って来られた取組みは聞いていて楽しい」などと言われていました。
 中でも,世界120の国と地域に約280万人のメンバーを有する,鳥の保護を目的とする国際的な環境NGOであるバードライフ・インターナショナルのパトリシア・ズリータ会長には,その機関誌で豊岡の取組みを紹介する,との約束をいただきました。

4 終わりに

 今回,2年続けて出展し,多くの方々に出会い,言葉を交わしたことで本市のコウノトリ野生復帰の取組みについて深く理解していただけたことだけでなく,大きく広がっていく可能性も感じることができました。
 これからも,様々な国の方々と築いた繋がりを活かし,この取組みがさらに世界で知られるよう取組んでまいります。

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