寄稿・インタビュー

「日本外相、「共通の課題」に対して中南米とのより緊密な関係を追求。」

令和5年1月19日

東京 1月4日(EFE)日本の林芳正外相は、中南米が直面する「グローバル社会が解決すべき」、「共通の課題」に対して、メキシコ、エクアドル、ブラジル、アルゼンチンとの協力関係の緊密化を求めていると、この4カ国への訪問前にEFEとのインタビューで述べた。
 
日本の外相は本日、2021年11月の就任以来初の中南米訪問となり、最後の訪問地としてニューヨークを含む、1月15日までのこれらの国々への公式訪問を開始した。
 
G7議長国を務め、国連安保理に参加するという「日本外交にとって非常に大切な年」に、2023年最初の公式訪問先として中南米を選んだのは「中南米が持つ政治的、経済的ポテンシャルを踏まえれば」林外相にとって「自然なこと」であった。
 
林外相は、日本がメキシコ、エクアドル、ブラジル、アルゼンチンと「自由や民主主義、法の支配」といった基本的価値観や原則を共有していると強調し、東京が「長年に亘る緊密な二国間関係」を引き続き促進するだけでなく、国際条裡での協力関係を強化しようとしていると強調した。
 
「メキシコ、ブラジル及びアルゼンチンとは、G20メンバーとしても緊密な協力を行っており、ブラジル及びエクアドルは、本年国連安保理においても共に働くこととなる。メキシコには、中南米最多の日系企業が進出しており、ブラジルやアルゼンチンは、豊富な鉱物・食料資源を通じた協力関係もある」と説明した。
 
新型コロナやロシアのウクライナ侵攻をめぐり国際社会の分断が進む中、日本は「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を維持・強化するための「共存」と協調の精神の重要性を強調し、「共栄」の原則にも言及したという。
 
「国際社会が目下直面する食料・エネルギー危機を始めとするグローバルな課題について協働して乗り越えるべく、今回の訪問でも、各国のカウンターパート等と率直な意見交換を行い、強固な連携を呼び掛けていく」と述べた。
 
林外相は、中南米のいくつかの国で政権交代や政治的危機が発生し、複雑な時期に日本が中南米との関係改善をどのように目指すかという質問に対し、グローバルな問題やその他の「構造的」問題の影響を指摘し、その解決に向けた多国間主義の重要性を訴えた。
 
中南米は「2010年代半ば以降の資源価格低迷、気候変動、新型コロナウイルス感染症や露のウクライナ侵略による影響で多くの打撃を受け、社会格差等の構造的問題の解決など、政治的・経済的課題に直面している」と指摘した。
 
「中南米の安定的発展は、日本と中南米諸国との二国間関係の進展にとっても重要。また、中南米が直面する課題はグローバル社会が全体として解決すべき共通のもの」と述べた。
 
このような背景のもと、日本は中南米諸国との協力関係を維持し、「格差是正に向けた努力や、新たな成長をもたらすGX(グリーン・トランスフォーメーション)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)による包摂的で持続可能な発展」の考えを、同大臣は中南米のカウンターパートとの会談で提起する予定である。
 
メキシコ、ブラジル、エクアドル、アルゼンチンを訪問中の日本外交のトップは、国際社会で異なる立場をとっているロシアのウクライナ侵攻への対応についても言及する予定。
 
「中南米諸国の多くは、ロシアによるウクライナ侵略に対して大きな非難の声を上げた。国連における投票態度を見ても、他の地域と比較して圧倒的に多くの国がロシアの暴挙に対して「No」を唱えており、心強い」。
 
日本は今、世界が「歴史的な岐路」にあると考え、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することが「平和と安定に不可欠」であり、それは「一部の地域だけの問題ではなく、中南米も含む国際社会全体の課題」だと同外相は述べている。
 
林外相は、「国際社会の結束した対応が重要であり、今回の訪問でも各国と緊密な意思疎通を図りたい」と述べた。

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