寄稿・インタビュー

羅府新報(米国)への河野外務大臣寄稿

(2018年8月25日付)

「在米日系人との絆を強める意義」

平成30年8月27日

 私は8月21日から25日にかけて,ホノルル,サンフランシスコ,ロサンゼルスを訪問しています。

 ロサンゼルスでは,昨24日,ジャパン・ハウス ロサンゼルスがハリウッドのハリウッド&ハイランドに全館開館し,本25日から一般公開が始まりました。昨年12月に2階の展示ギャラリーとショップが先行開館し,すでに7万8千人を超える多くの方々にお越しいただき,現地のアイデアに基づく魅力的で工夫を凝らしたコンテンツの発信が好評を得ています。今般,5階のレストラン,ライブラリー,多目的スペースが完成し,ジャパン・ハウスは食文化や日本の政策・取組の紹介を含め,多岐に亘る活動を本格的に実施していくことになります。

 ジャパン・ハウスの開館がこのように好意的に歓迎されているのは,日系人の方々が米国で培ってこられた日本への信頼の表れと確信しており、改めて御礼を申し上げます。引き続き日系人の皆さんと連携して,ジャパン・ハウスを通じて日本の魅力を世界に向けて発信していきたいと思います。

 今回の3都市訪問に共通する目的は,在米日系人の方々との絆の強化です。

 日本人とルーツを共にする在米日系人の方々は,日本に理解と親近感を持っている方が多く,日本にとり大切な人たちです。私は,外務大臣に就任する前から,日米関係強化のために,日本と在米日系人コミュニティとの絆の再構築が必要だと考えてきました。

 そのためにも,まずは在米日系人の歴史を理解することが必要です。日系一世の方々は全くの新天地で時には差別や偏見にも晒されながら慣れない生活を送られ大変苦労されました。このことを私は,中学生の時,初めて訪米した際にお世話になった日系人夫妻から聞いて初めて知りました。また,ジョージ・タケイさんのミュージカル「アリージェンス」には,日米開戦や日系人の強制収容,日系人を中心に組織された第442連隊等,当時の日系人の様子が描かれています。昨年11月にこの作品の映画版のジャパン・プレミアが行われ,私も参加しました。しかし,こういった日系人の苦難の歴史を知る日本人は,必ずしも多くありません。

 このように,日系人の皆さんは困難な時代を乗り越え,日系人の米国における権利回復のために御尽力され,また社会で確固たる信頼を勝ち得てきました。今やここロサンゼルスを始め世界各地の様々な分野で日系人の方々が重要な地位を占めています。そのことが,米国国内における日本のイメージ向上にどれほど大きな影響を及ぼしたことでしょう。

 私は,在米日系人の皆様に,自らのルーツを改めて感じてもらうとともに,日本人にも日系米国人の歴史を知ってもらい,双方向から日本と日系人の紐帯を強化したいと思っています。

 外務省は,2000年から毎年在米日系人リーダー招へい(JALD: Japanese American Leadership Delegation)を実施しており,すでに18回を数えます。日系三世以降の世代で,各分野で指導的役割を果たしている日系人の方々に訪日してもらうJALDプログラムに,私は外務大臣に就任する前から関わってきました。今回は訪問3都市全てで,JALDの過去の参加者とお会いしています。JALDに参加した方は,自らのルーツが日本にあることを実感し,日米関係強化のために行動したいとおっしゃっています。日本外交にとってこれほどありがたいことはありません。同時に,私達日本人としても,日本のために一肌脱ごうと思ってもらえるような国でなければならないと身の引き締まる思いです。

 本年は,日本人の海外移住が開始して150周年の節目の年です。私の今回の訪問を一つのきっかけとして,今後も日系人の歴史を日本人や若い世代の日系人に知ってもらい,それを土台として,未来志向の日本・日系人間の絆が強化され,ひいては,日米同盟の更なる強化につながることを期待しています。


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