寄稿・インタビュー

アナトリア通信(トルコ)による河野外務大臣インタビュー

(2017年12月27日付)

「河野日本国外務大臣:地域大国トルコは重要な影響力がある」

平成29年12月28日

 アンカラ,アナトリア通信(Nazli Yuzbasioglu記者)-河野太郎日本国外相は,チャヴシュオール外相の招待で12月28日にトルコを公式訪問する。河野外相は,訪問の議題やトルコ・日本関係について,アナトリア通信記者に語った。

 日本国外務大臣としてトルコを初めて訪問する河野大臣は,「トルコ国民の皆様,メルハバ(こんにちは)。地域の大国であり,また長年にわたる重要な親日国であるトルコを外務大臣として訪問でき,大変嬉しく思う。」と述べた。

 パレスチナ,イスラエル,ヨルダンそしてオマーンの後にトルコを訪れる河野大臣は,日本外交の柱の一つとして,中東地域の平和と繁栄のために積極的に役割を果たすことを掲げていることを明らかにした。河野大臣は,「中東は,日本のエネルギーの主要な供給先であり,地域の平和と安定は日本の経済,社会,安全保障にも直結する。」と述べた。

 外務大臣に就任する以前から,頻繁にこの地域を訪問し,この地域との協力について焦点を当ててきたことを強調した河野大臣は,「トルコは地域の大国として,政治,経済,文化,安全保障面で大きな影響力を有している。トルコが多数のシリア難民の受入れをはじめ,地域の諸問題の解決に向け積極的に取り組んでいることを,日本は高く評価する。」と発言した。

 エルトゥールル号事件やイラン・イラク戦争でのトルコ航空機による邦人救出等の出来事を通じて,日本とトルコは今日まで130年近く友好関係を育んできたと述べた河野大臣は,次のように話を続けた。
 「ここ数年におけるエルドアン大統領と安倍総理の積極的な交流を通じて,二国間の友好関係は戦略的パートナーのレベルに引き上げられた。今後,二国間関係のみならず,地域及び国際情勢に関する協力強化を促進させる必要がある。今回の訪問で,チャヴシュオール外相とこれらについて意見交換を行いたい。」

【トルコ・日本関係】
 両国の歴史的な友好関係と戦略的パートナーシップ関係の下,あらゆる分野において,協力関係をさらに発展させる潜在力を有していることを強調した河野大臣は,「アジアとヨーロッパ,そして中東が接するトルコは,非常に重要な地政学的位置にあり,また,若く勤勉で質の良い労働力を有している。トルコのこの潜在力に注目し進出する日本企業の数は,年々増加傾向にある。例えば,トヨタ・トルコの新型ハイブリッド車のように,トルコ人労働者が製造したMade in Turkeyの日本ブランドを,トルコの地の利を活かして他国に輸出するケースも増えつつある。」と述べた。

 昨年,日本からトルコへの投資が,アジア諸国の中で最大であったことを明らかにした河野大臣は,以下のように述べた。
 「日本企業のこうした取組は,トルコの経常収支の改善にも貢献している。現在,日トルコ間ではEPAや社会保障協定に関する交渉も進められている。経済関係の更なる強化のため,これらの交渉の着実な進展を期待している。また,シノップ原発,トルコ日本科学技術大学,免震・耐震等,日本が得意とする技術を活かした協力がトルコで進められている。トルコのエネルギー輸入問題を解決するために建設されるシノップ原発については,日本は,これまで培ってきた安全性と経験を重視して,協力を進めていく。トルコ・日本科学技術大学は,設立に向けた具体的検討を本格化させる段階に入っている。日本は,二国間の友好の新たな拠点となりうる本大学を通じて,科学技術分野における知見と経験をトルコと共有し,その研究開発水準を高める支援をしたいと考えている。」

【トルコは日本人にとって「一度は必ず訪れてみたい国である」】
 地震を回避することは出来ないが,免震・耐震技術を通じて被害を最小限に抑えることは可能であると述べた河野大臣は,「トルコと同様地震国である日本は,過去の大規模地震を経て培った経験や技術を分かち合うべく,近い将来の地震発生が懸念されるマルマラ海における地震リスク評価分析に関する共同プロジェクトを行っている。日本は,この免震・耐震技術を共有することで,より災害に強い国造りに貢献している。」と述べた。

 国民と国民とを結ぶ交流の基盤が文化であることを指摘した河野大臣は,「歴史,文化,食事など,豊かで多様な魅力を持つトルコは,日本人にとって一度は必ず訪れてみたい国である。双方の文化紹介・体験の機会を増やし,国民レベルでの交流を促進することで,観光等の分野で,人的往来も増加させていきたい。」と語った。

 自らが地元のプロサッカーチーム「湘南ベルマーレ」の大ファンであると述べた河野大臣は,「このチームは,2014年と2015年の2度,アンタルヤでキャンプを実施した。トルコの素晴らしい環境での練習の結果,二部リーグで優勝し,一部リーグに昇格を果たした。あの時の嬉しさは忘れられない。スポーツを通じた交流も,2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向け,拡大させていきたいと思う。」と語った。

【「北朝鮮の核・ミサイル計画は不可逆的な方法で放棄させなければならない」】
 北朝鮮の核開発と弾道ミサイル実験に関して述べた河野大臣は,「北朝鮮には,完全,検証可能,かつ不可逆的な方法で,核・ミサイル計画を放棄させなければならない。北朝鮮に政策を変えさせるために,関連安保理決議の完全な履行等を通じて,国際社会全体で北朝鮮への圧力を高めるべきである」と述べた。

 河野大臣は,北朝鮮の核・ミサイル,そして安倍政権の最優先課題である北朝鮮による日本国民の拉致問題の解決に向けて全力を尽くしていく旨述べた。

【「トルコのシリアに対する取り組みを高く評価する」】
 最新のシリア情勢に関し,河野大臣は,「深刻な人道状況が続いているシリアにおいて,トルコがアスタナ・プロセスやジュネーブ・プロセスを通じて,停戦及び問題の政治的解決を図るべく取り組んでいることを高く評価する。」と述べた。

 トルコを含めた関係国や国際機関と緊密に連携しつつ,日本は,シリアにおける人道支援等の非軍事分野での貢献を引き続き行っていくと述べた河野大臣は,300万人を超えるシリア難民を受入れているトルコにおいても,日本はシリア難民受入れを行う地方自治体の上下水道施設や廃棄物処理の支援に円借款約4億ドルを供与していると述べた。

 河野大臣は,日本がこれまでトルコにおけるシリア難民支援として,国際機関を通じて8,000万ドル以上の人道支援を行ってきたことにも言及した。

【「エルサレムについては,二国家解決がなされるべきである」】
 米国の在イスラエル大使館のエルサレム移転決定について,河野大臣は,日本はイスラエル・パレスチナ間の紛争の「二国家解決」を支持していることを強調した。

 河野大臣は以下のとおり述べた。
 「日本は,エルサレムの最終的地位の問題も含め,これまで累次採択されてきた国連安保理諸決議や当事者間の合意等に基づき,当事者間の交渉により解決されるべきという立場である。日本としては,当事者間の信頼醸成やパレスチナの経済発展のための取組を通じ,引き続き中東和平の実現に貢献していきたい。」


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