寄稿・インタビュー

ワシントン・ポスト紙(米国)による河野外務大臣インタビュー

(2017年8月29日付)

「日本は日米同盟に倍賭け」(ジョシュ・ロギン・コラムニスト)

平成29年8月29日

北朝鮮による喫緊の脅威及び台頭する中国による長期的な挑戦に直面する中,日本は,常に混乱し,予見不能な大統領が率いる米国に頼らざるを得ない状況にある。しかし,欧州の米同盟国の一部のようにトランプ政権と距離を置くのではなく,日本政府は米国との同盟強化に倍賭けしている。

トランプ大統領と安倍総理の個人的な関係は強固であり,重要な問題について両政府間に公の齟齬はない。しかし内々には,トランプ政権についての日本政府の懸念,とりわけ北朝鮮による核・ミサイル開発プログラムの除去に対する米国のコミットメントが揺らいでいるのではないかとの懸念が高まっている。

バノン首席戦略官は,解任される直前,ワシントンの多くの人々が考えていることを発言した:核武装した北朝鮮を阻止する有効な軍事オプションはないということである。バノン前首席戦略官はアメリカン・プロスペクト誌のインタビューで「我々はやられた」と述べた。

同インタビューの翌日,マティス国防長官及びティラソン国務長官は,小野寺防衛大臣及び河野外務大臣と共に立ち,公にトランプ政権の立場を明言し,北朝鮮に対する軍事オプションの信用性を擁護した。

日本にとって議論するまでもない:北朝鮮の核プログラムは,封じ込めではなく除去されなければならない,マティス国防長官及びティラソン国務長官との会談後,河野外相は,インタビューでそう述べた。日本は,米国がかかる考えを堅持することを期待している。

河野外相は「それは,国民の生命,財産,基本的人権を尊重する意思を持たないリーダーが,他国を脅迫する力を手に入れることを意味する」と述べた。

また,外交的努力は軍事的オプションにバックアップされる必要があると述べ,もしも北朝鮮が対話を望むのならば,北朝鮮は厳格に条件を満たさなければならないと付け加えた。

先週,北朝鮮指導者の金正恩がグアム近辺にミサイルを発射するとの威嚇を後退させた後,トランプ大統領は北朝鮮との対話の可能性を示唆した。日本にとってそれは十分ではない。日本は,トランプ大統領が引き続き北朝鮮による発射実験の停止を要求するのみならず,既存の核兵器撤廃を求めることを望んでいる。

河野外相は「北朝鮮が非核化に向けて明確な意思と具体的行動を示さない限り,対話を求めるべきではないとの点で,日米間で一致したところである」と述べた。

河野外相は,北朝鮮を巡る緊張が過去数十年で最高潮に達した今月早々に外相に就任した。父である河野洋平氏は,衆議院議長を務めた与党自由民主党の大物であった。

河野洋平氏は日中関係改善を支持したリベラルな人物として知られた。河野外相は「強固な現実主義者(robust realist)」であり,父よりもタカ派だが,安倍総理が知られるようなナショナリスト的特徴は有していない。

河野外相は,北朝鮮危機を解決する上で,中国に適切に振る舞わせることが最重要であり,逆もまた真であると考えている。河野外相の考えでは,アジアにおける同盟が強固であればあるほど中国に対する圧力がより成功する。

「日米韓が必要な防衛体制を強化していっていることが中国の目に明らかになれば,中国は北朝鮮の問題に真剣に取り組むことが中国の国益に適うと理解できるだろう」と述べた。

父の政治的遺産と総理の影響力の板挟みの中で,河野外相は,戦後最も危険な時代における日本の舵取りを助け,公の場における独自の存在感を出そうと努めている。中国の軍拡及び南シナ海・東シナ海における攻撃的行動に対して立ち上がり,また,北朝鮮を抑えるための更なる行動を中国に求めることは,そうした努力の一環である。

河野外相は「そろそろ中国は,自分たちの行動が周囲にもたらす影響を認識し,その力を抑制的に使用すべきである」とし,「この地球上で大きな力を振るう国には,それなりの責任が付いて回るはずである」と述べた。

確かに,より良い選択肢がないこともあって,日本はトランプ政権に賭けている。しかし,日米同盟に対するトランプ大統領のビジョンと,安倍総理・河野外相のそれは調和する。双方ともに,日本が地域においてより大きな役割を担う,より自立的な同盟国となることを望んでいる。双方ともに,アジアをより平和と安定に導く上で,日米協力の深化が最善の方法であると認識している。

しかし,北朝鮮の脅威や中国の問題に向き合うためのより良い戦略を,米国が伝え,実施できるようになるまでは,日本その他の同盟国は,トランプ政権への賭け及び米国の指導力への依存について懸念し続けるだろう。


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