寄稿・インタビュー


(平成29年1月16日付)

「私はベトナムと日本の関係を一層発展させることを決意している」

平成29年1月18日

 グエン・スアン・フック首相の招きに応じベトナムを公式訪問するに際し,安倍総理大臣は特別にトゥオイ・チェー紙のインタビューに応じた。

(問)日本とベトナムの間のパートナーシップを今後どのように進展させていくべきでしょうか。今後の日ベトナム関係の展望について,総理のお考えをお聞かせください。

(安倍総理大臣)ベトナムは,2013年1月,総理就任後初の外遊先として訪問した私が最も重視する国です。今年も最初の外国訪問先としてベトナムを選びました。

 日本とベトナムの関係は,首脳レベルの頻繁な交流を中心に,近年目覚ましく発展しています。特に今年は,春に天皇皇后両陛下のベトナム御訪問が予定されており,これは緊密な両国関係を象徴する最重要行事です。両陛下の御訪問を通じ,友好親善が一層深まり,あらゆる分野で交流や協力が力強く促進されることを確信しています。

 本年ベトナムはAPECの議長国を務められます。ベトナムは議長国としてAPECでの議論をリードしており,日本はベトナムのリーダーシップを高く評価しています。APECの成功に向け,ベトナムを全面的に支援して参ります。

 今回の私の訪問には日本が誇る企業のトップリーダーが同行しています。自由貿易の下,ダイナミックに成長するベトナムと共に成長の果実を育みたい。日本はホーチミン市鉄道計画における協力をはじめとする質の高いインフラ整備や,日越大学の開設を通じた人材育成にも貢献し,ベトナムの経済発展を支援します。

 二国間の人的交流も急速に拡大しています。ベトナムからの訪日者はこの3年で3倍の年間18万人となりました。2018年の外交関係樹立45周年に向け,各地でのお祭りやテレビ番組等の文化・人的交流を通じた,心と心のつながりの強化を通じて,国民レベルでの関係の深化を進めていきます。

 今回の私のベトナム訪問を通じ,日本とベトナムの関係を一層力強く発展させていきたいと決意しています。

(問)日本政府は,海上安全保障の観点からベトナムとマレーシアに対する中古船の供与,またフィリピンとの間でも海上自衛隊の中古航空機の供与について合意を交わした。さらにインドネシアとの間では様々な安全保障に関する協力を進めている。日本はこの地域において,東南アジアのパートナー国への協力を深めることにより南シナ海の問題に対する関与の度合いを高めつつある,との指摘もある。今後の当該地域への貢献に対しどのような構想をお持ちか。

(安倍総理大臣)古来よりアジアの国々の人々は,海を自由に行き来し,豊かな生活を享受してきました。今日においても,アジア太平洋地域の平和と繁栄は,「自由で開かれた海」を守り育んでいくことにかかっています。

 海洋における紛争は,武力による威嚇又は武力の行使に訴えず,国連海洋法条約等に従って,平和的に解決することが重要です。法の支配,紛争の平和的解決,軍事化しないこと等の基本的原則の重要性は,昨年のASEAN関連会合でも繰り返し確認されています。

 日本は,法の支配に基づく,自由で開かれた国際秩序を発展させ,地域の安定と繁栄に貢献するため,ベトナムをはじめとするアジア太平洋諸国との連携・協力を強化したい,と考えています。

 ベトナムに対しては,これまで中古船や関連機材の供与や人材育成を支援してきました。今次訪問中に,新造巡視船についても積極的な協力を表明します。

 法の支配をはじめとする基本的価値を共有し,海を通じて広く世界に開かれた日本とベトナムが,協力を一層強化し加速していくことは,お互いのためだけでなく,地域と国際社会の平和と繁栄にとっても極めて重要であると考えます。

トゥオイ・チェー紙(ベトナム)による安倍総理大臣インタビュー日本語掲載記事(ベトナム語)(PDF)別ウィンドウで開く


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