寄稿・インタビュー
マニラ・ブレティン紙(フィリピン)による安倍総理大臣インタビュー
(平成29年1月13日付)
「安倍総理大臣:日本は貿易及び海洋安全保障を通じてフィリピンの国造りを支援」
日本の安倍晋三総理大臣は,両国間の貿易・投資関連を拡大し,インフラ整備,治安・テロ対策,違法薬物対策面での持続可能な発展を支援することでフィリピンの国造りにおける戦略的パートナーになると約束した。
安倍総理は,本紙の書面インタビューにて,日本は,戦略的パートナーであるフィリピンとの関係を極めて重視しており,「あらゆる分野で協力を強化していく」と回答した。
「今回,ドゥテルテ大統領のご招待を受け,私の2017年の最初の訪問国としてフィリピンを訪問することを嬉しく思う」と安倍総理は述べた。
両国間の貿易・投資関係を拡大するため,日本からマニラ,ミンダナオの現地企業及び関連するフィリピン政府機関との意見交換に期待するビジネス・ミッションが安倍総理に同行している。
沿岸警備隊への巡視船の供与に続き,テロ対策のための小型高速艇の供与も進めることを明らかにした。
また,安倍総理は,日・フィリピン防衛装備品・技術移転協定に基づき,海上自衛隊航空機TC-90等の移転も決まっていると述べ,「今後も友好国フィリピンとの安全保障・防衛協力を推進していく」と強調した。
更に,安倍総理は,フィリピンの国造りの根幹をなす持続可能な発展に協力していくと述べ,「特に,インフラ整備,治安・テロ対策,違法薬物対策等,ドゥテルテ政権が重点的に取り組む分野への支援を強化する」と指摘した。
安倍総理によると総理は,ドゥテルテ大統領の地元であるダバオを訪問する。
安倍総理は「今回,かつて日本人が約2万人居住するなど,日本と歴史的に縁の深いミンダナオ島のダバオを訪問できることを,大変楽しみにしている」と言い,「ドゥテルテ大統領と実りある意見交換を行い,日比関係を一層発展させていきたいと思う」と述べた。
安倍総理は,「法の支配」の貫徹及び,特に南シナ海の争いある地域における「平和で安定した,自由で開かれた海」の維持に関して,本年ASEAN議長を務めるドゥテルテ大統領をはじめ,地域の関係国首脳と緊密に連携し,積極的に役割を担うことを望んでいる。
「フィリピンと日本は,共に島嶼国であり,海洋国家である。我々の安全と繁栄は,まさに,『平和で安定した,自由で開かれた海』にかかっている」「こうした考えに基づき,日本は『海における法の支配』の貫徹を主張してきた」と強調した。
安倍総理によると,南シナ海を巡る問題は,地域の平和と安定に直結する,日本を含む国際社会共通の関心事項となっており,「南シナ海は,地域のみならず,世界経済の成長のために極めて重要なシーレーンである」旨述べた。
同時に,安倍総理は,昨年7月,南シナ海に関し,仲裁裁判所による判断が示され,フィリピンが,仲裁裁判を踏まえ,比中関係の改善に尽力していることを歓迎すると述べ,加えて,「海洋における紛争は武力による威嚇又は武力の行使に訴えず,国連海洋法条約等に従って,平和的に解決することが重要である。法の支配や紛争の平和的解決の重要性,軍事化しないことは,昨年のASEAN関連会合でも確認されている」と述べた。
安倍総理は,「海における法の支配,開かれ安定した海洋の秩序の維持・発展に向けて,本年ASEAN議長を務めるドゥテルテ大統領をはじめ,地域の関係国と緊密に連携していきたい」と述べた。