寄稿・インタビュー

デーニ紙(ウクライナ)による安倍総理大臣インタビュー

(平成27年6月5日付)

平成27年6月9日

「日本は,新生ウクライナとのパートナー関係を拡大する用意がある」

 本日,日本の総理大臣の安倍晋三は,ウクライナに2日間の公式訪問を行う。日本の総理大臣が我が国を訪れるのは,日・ウクライナ関係の歴史上,初めてとなる。一方,日本には既にウクライナの大統領3人及び首相が訪問している。これらの訪問の事実上唯一の成果となったのは,2011年1月に署名された日本・ウクライナ・グローバル・パートナーシップである。
 訪問の前夜,ウクライナの大統領広報室は,G7サミットの前夜の安倍晋三総理の訪問は,ウクライナに対する堅固かつ包括的な政治的支持の力強い表れであると強調した。
 「デーニ」紙は既に,この訪問に対してウクライナ側としてどのような期待を持っているか,「ウクライナ支持の力強い表れ」という記事(2015年6月3日付)に記載している。
 この,日・ウクライナ関係の歴史上初めての訪問に,日本側としてどのような期待を託しているのだろうか。また,日の出ずる国において,2011年の1月に発表された日本・ウクライナ・グローバル・パートナーシップの具体的な実現をどのように見ているのだろうか。「デーニ」紙の独占インタビューに対し,安倍晋三総理が語った。

(安倍総理大臣)昨年10月にミラノのASEMでポロシェンコ大統領にお会いした際,大統領から,可能な限り早い時期にウクライナにお越しいただきたいとお招きをいただき,今回,日本の総理として初めてウクライナを訪問できることを大変嬉しく思います。
 日本とウクライナは,2012年に外交関係樹立20周年を迎えました。今回の訪問で私は,日本の円借款によりターミナルが改修された,ウクライナのフロント・ゲートであるボリスピリ空港に降り立つことができることも,非常に感慨深く思います。
 ウクライナは昔から我々日本人の身近にありました。私が小学生だった頃,ウクライナ人を父に持つ偉大な横綱,大鵬が日本中を沸かせていました。1960年代には子供が最も好きなものとして「巨人・大鵬・卵焼き」が流行語となるほどでした(巨人は日本で人気ある野球チーム)。
 1991年のウクライナの独立後は,日本とウクライナは共通の価値を有するパートナー国として,二国間関係の発展,国際的課題等での協力を一層進めてきました。2011年の日・ウクライナ・グローバル・パートナーシップ宣言は,その協力の成果と今後の方向性がまとめられたものです。
 その後,ウクライナは厳しい困難に直面することになりましたが,日本は,以前にも増して民主主義を強く希求している新生ウクライナとのパートナー関係をさらに力強く拡大していく考えです。この宣言で交渉開始を合意した日・ウクライナ投資協定は,現政府の協力を得て交渉を加速させたことにより,本年2月に署名に至りました。パートナー関係の発展に向け,早期に締結したいと考えています。
 今回の首脳会談で私はポロシェンコ大統領に,我が国として,ウクライナの主権・領土一体性と,ウクライナが現在取り組んでいる国内改革を官民を挙げてしっかり支援し,ウクライナと日本の幅広い協力関係を引き続き発展させていくことをお伝えしたいと考えています。相互理解と相互信頼に基づく日・ウクライナ関係を一層高いレベルに引き上げる機会となるよう,今後の協力の方途についても意見を交わしたいと思います。
 東日本大震災の際には,ウクライナ国民の皆様から心温まる支援を頂きました。そうした感謝を胸に,今度は日本が,ウクライナがその潜在性を更に発揮して,国民がより豊かになる国造りを推進していくことを支援できればと考えています。
 私は,今回の訪問が両国国民の友好関係の絆をさらに深める機会となることを心から期待しています。

(問)ウクライナは,日本からのチェルノブイリ原子力発電所事故後の支援と,現在の民主化を目指す18億ドルの支援を感謝しています。ウクライナの経済危機を考慮し,日本は将来ウクライナへ新しい財政支援のプロジェクトを実施する予定があるのでしょうか。また,日本は今年の7月上旬にベルリン,秋にワシントンで行うウクライナの投資に関するビジネス・フォーラムに参加するのでしょうか。

(安倍総理大臣)ウクライナが平和で安定した,豊かな国家となることは,欧州地域のみならず,アジアを含む世界全体にとっても有意義なことであり,そのためには国際社会の後押しのみならず,ウクライナ自身の努力も重要となります。
 日本はウクライナのこうした改革努力を後押しするため,経済状況の改善,民主主義の回復,国内の対話と統合の促進が重要との観点から,これまでに表明してきた最大約18.4億ドルの支援を着実に実施していく考えです。
 まず,経済状況の改善を目的として,日本は国際収支改善のため昨年約1億ドルを供与しましたが,今後3億ドルの追加支援を行う予定です。また,ボルトニッチ下水処理場改修のための円借款の供与が予定されており,最新鋭の日本の技術を活用し,長年の懸案であったキエフ市の環境問題の解決に向け280万人のキエフ市民が直接裨益する大規模案件であることから,両国の協力関係の象徴案件となるべき支援を実施できることを嬉しく思います。
 第二に,民主主義の回復のため,選挙監視要員の派遣や,ガバナンス分野におけるJICAの技術協力を通じた民主化支援を行っています。これまで汚職対策に取り組むウクライナ最高会議の議員や政府関係者の皆様を日本にご招待しました。こうした人的交流等を通じ,日本の経験がウクライナの司法改革に資することを期待しています。
 第三に,国内の対話と統合の促進を目的として,国内避難民支援,東部復興支援を国際機関と協力して実施しています。また,OSCE特別監視団の増員のための新たな財政支援を行いました。
 ウクライナが大胆で包括的な改革を行い,強靱性と持続性を持つ国になるよう,日本は,G7を始めとする関係諸国と連携し,ウクライナの更なる成長・発展のため,一層積極的に関与・支援していきます。
 本年4月の「ウクライナのための国際支援会議」は,日本からも薗浦外務大臣政務官が出席しましたが,ウクライナ政府の努力もあり大成功であったと聞いております。お尋ねのウクライナの投資に関する会議等はまだ計画中と承知しておりますが,日本としていかなる貢献ができるか今後検討していきたいと思います。


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