世界が報じた日本

3月25日~4月1日

平成26年4月1日
 最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文にあたって下さい。

掲載日

4月1日付

媒体名(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米)

執筆者(発信地)

社説

 国際司法裁判所が、南極海周辺に国際捕鯨委員会(IWC)が設置した広域保護区である南極海鯨サンクチュアリで日本が行っている現行の捕鯨活動の停止を命じたのは適切だ。日本代表団の広報官は判決に失望していると述べたが、同時に日本は決定に従うとも述べた。日本政府関係者の一人は、先に行われた弁論で、日本はIWCからの脱退を検討するかもしれないと述べたが、それは非常にまずい考えだ。日本は、加盟国に調査捕鯨実施を認めるモラトリアムの抜け穴を利用して捕鯨を続けてきた。その抜け穴が捕鯨禁止を骨抜きにしてきた。今回の判決は、日本の捕鯨が商業的であると示し、すべての調査捕鯨の許可取り消しを命じた。判決は南半球のみが対象のため、クジラを守るための戦いは終わっていない。日本は、必ず訪れるだろう次の国際的非難を待つことなく、すべての捕鯨を停止するべきだ。

掲載日

4月1日付

媒体名(国名)

オーストラリアン紙(豪)

 31日,国際司法裁判所(ICJ)が捕鯨は違法であるとの豪州の主張を支持し,日本は数千頭の鯨類の殺害をただちに中止するよう命じた。豪州は,日本は科学を装った商業捕鯨を行っており,捕鯨取締条約の第8条に違反していると訴えていたが,ICJは日本が発給している科学許可証は科学調査目的であるとは言えないとの判決を示した。鶴岡代理人は,判決には深く失望しているが,国際法秩序を重視する国家として判決には従うこと,今後の具体的な対応については,判決の内容を精査した上で検討することを述べた。日本はIWCからの脱退を検討するのか,また,日本は新たな捕鯨プログラムを設けるつもりかと問われたのに対して同代理人は,判決の内容を十分に検討していないため,現時点では何も申し上げられないと答えた。

(注)本件要約及び仮訳は外務省が作成したものであり,ニュース・リミテッド社の見解を一語一語訳したものではない。

掲載日

4月1日付

媒体名(国名)

ル・フィガロ紙13面(仏)

執筆者(発信地)

ジャン=リュック・ノティアス記者

 日本の鶴岡公二政府代表は「深く失望しているが,日本は国際社会の責任あるメンバーとして,また法の支配を重視する国家として判決に従う」との談話を発表した。日本は表向きには捕鯨中止に賛成したが,特別許可を得て捕鯨を継続できるよう調査捕鯨プログラム(JARPNとJARPA)を「でっち上げた」。豪州(および他の諸国)は,まさにこの点を批判し,2010年に日本が商業目的の捕鯨を科学目的で偽装しているとして日本をICJに提訴した。豪州によると日本は1987年から2009年の間に1万頭以上の鯨を捕獲した模様。鯨の愛好家やシー・シェパード等のNGOは今回の決定を歓迎している。ただし,日本は2000年以来,北太平洋においても調査捕鯨を行い,年間数百頭を捕獲しているが,こちらは今回の裁判の対象外となっている。

掲載日

4月1日付

媒体名(国名)

フランクフルター・アルゲマイネ紙8面(独)
タイトル
種の保存

執筆者(発信地)

ペーター・シュトゥルム記者,論説

 クジラのようにすばらしく組織されたロビーの後ろ盾がある者は幸せである。だが,捕鯨の例こそ,善意による種の保存がいかに不条理な結果を生じ得るかを示している。もちろん,捕鯨が調査目的で行われているというのは捕鯨国の言い訳であり,常に当該国における食習慣,あるいはさらに国の(食)文化財に関係していた。日本は落胆しながらも禁止に従う方針だ。海洋生態系にとって,今回の判決が不利益をもたらすことは決してないだろう。だが,ある種の矛盾は否定できない。なぜ,そもそもクジラが他の絶滅危惧種よりもはるかに保護に値するのか。クジラに対する世論の関心の高さは,生きる価値が大きく異なる動物が存在することを示している。これは望むべきことなのか。

掲載日

4月1日付

媒体名(国名)

フェアファックス・メディア社各紙(シドニー・モーニング・ヘラルド紙,キャンベラ・タイムズ紙,エイジ紙)(豪)

掲載日

3月31日付

媒体名(国名)

ル・モンド紙電子版(仏)

執筆者(発信地)

オドレ-・ガリック記者

 (国際動物福祉基金理事パトリック・ラマージュ氏へのインタビュー)今回の判決には,少なからず驚いているが,喜びをもって受け止めている。この判決は,厳密に言えば捕鯨そのものを禁止するものではなく,南極海における日本の捕鯨活動を禁じるものである。そうとは言え,日本,ノルウェー,アイスランドなどが他の場所で捕鯨をすることも難しくなるはずだ。国際社会から圧力がかかっているため,日本は国際司法裁判所の判決に従わざるを得ないであろう。日本は,この古くさい風習を捨て,ホウェール・ウォッチングを目的とした観光を発展させるなどといったように,方向転換を図るべきだ。

(注)リンク先の記事は購読者のみ閲覧可能です。

掲載日

3月28日付

媒体名(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

執筆者(発信地)

田淵広子記者

 死刑囚として世界最長の収容期間と思われる袴田巌さんの釈放の決定は,日本の100%近い有罪率を支える刑事司法制度の負の側面を強調し,即時の改革要求へと至らせるものだ。日本の検察官が高い有罪率を維持している一因は自白に対する大きな依存であり,警察の圧力に抵抗することを恐れる又は動転している無実の人々から罪の自白を引き出すこともあると長年批判されてきた。ここ十年来,注目度の高い裁判における誤審が相次いだことから,日本の刑事司法制度に対する監視の目が強まっている。制度改善の一環として2009年に陪審制度が導入され,被告側弁護士に対して証拠開示権などの保護も強化された。しかし,99%以上の有罪率は大幅に変化していない。専門家らは,無罪判決が検察官及び裁判官双方のキャリアにとって有害だと見なされる日本の制度は,誤審に対して脆弱だと述べる。陪審裁判においてさえ,裁判官には多くの決定において発言権がある。また,裁判の迅速化も求められている。

掲載日

3月27日付

媒体名(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米)

執筆者(発信地)

社説

 ハーグで行われた日米韓首脳会談は,東アジアにおける米国の同盟国間で深刻に悪化した関係の修復を目的とした,舞台裏での熱心な米国外交の成果だった。朴大統領と安倍総理が米国の働きなしに関係修復を始める可能性はほとんどなかった。米国は,アジアへの軸足移動を検討し,中国の台頭及び核の野心を持つ北朝鮮に対抗する戦略を立てる中で,韓国と日本の協調を必要としている。同時に,韓国と日本は,北朝鮮政策の協調が必要だ。朴大統領は南北朝鮮の和解を推進しようとしてきた。日本は今月(3月)末に北朝鮮との対話を再開する予定だ。日韓関係は常にこれほど対立的であったわけではない。1998年には,金大中大統領と小渕恵三総理が「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」と呼ばれる共同宣言を発表した。小渕総理は,日本の植民地支配が韓国の人々に与えた苦痛に対し「痛切な反省と心からのお詫び」を表明した。金大統領はこの謝罪を「真摯に受けとめた」。韓国でそれまで禁止されていた日本文化が解禁され,日韓両国で相手国への国民感情が改善された。今月韓国で行われた世論調査では,回答者の75%が日韓関係は改善すべきだと述べた。朴大統領と安倍総理が金-小渕の精神を復活させるべき時が来ている。

掲載日

3月26日付

媒体名(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)
タイトル
福島原発の汚染(他のサイトヘ)

執筆者(発信地)

一杉義美東京電力企業コミュニケーション・マネジャー((注)東電が福島第一原発の除染を重要視していないとする,3月17日付同紙記事「貧しい非熟練労働者によって行なわれる福島原発の除染」への反論投稿)

 東電,日本政府及び金融界の三者間の提携により最近採用された包括案は,記事とは反対に,我々の最重要目標である,汚染水管理の大幅な改善を含む同原発の除染に,より多くの人材及び資金を約束している。東電は社内に福島原発の除染のみを手がける新会社を4月1日から発足させる。同時に,福島の事故から学んだ教訓を活かして,全社内で安全対策及び安全文化を強化している。さらに我々は,同原発の労働力強化の必要性を認識しており,賃金や労働環境,監督を改善する様々な措置をとっている。上記記事は,同原発の労働環境に関する主要な成果について,不公正に否定的に捉えたものだ。

掲載日

3月26日付

媒体名(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

執筆者(発信地)

社説

 ハーグでの核セキュリティ・サミットは,ウクライナ危機の影に隠れてしまったが,世界の核物質の保全と,テログループからの防護に関して,重大な進展があった。最も劇的なのは,1,100ポンドの兵器級プルトニウムと高濃縮ウランを米国に引き渡すという日本の発表だ。』日本の保有量のほんの一部であるが,これは,実質的にも政治的にも重要な意義のある決定だ。日本は保有する核物質を兵器ではなく,発電と研究のために利用している。しかし,日本の政治はよりナショナリスティックになっており,強硬論者たちは日本が独自に核兵器を製造すべきと主張することもある。また,日本の核物質貯蔵施設のセキュリティは窃盗に対して脆弱だと長年みなされてきた。

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