寄稿・インタビュー

アラブ・ニュース紙(サウジアラビア)による河野外務大臣対面インタビュー
(2019年7月4日付)

令和元年7月8日

【1面】

「“誠実な仲介者”:日本は中東和平において役割を担うことを提案」

 「日本は中東において誠実な仲介者の役割を担うことができる。日本にはこの地域において植民地支配等の負の遺産がないからである。我々全員が(中東)和平プロセスを推進させるために何らかの役割を負うべきだと考えており,喜んで和平プロセスに関与したい」と河野大臣は本紙に対して述べた。中東地域からの石油・天然ガスの主要輸入国として,日本は経済面からこの地域の安定に関心を有してきた。「日本経済は中東地域からのエネルギーに依存している。日本はこの地域の和平プロセスにおいても積極的な役割を果たすべきだと考える」と河野大臣は述べた。

 河野大臣へのインタビューは,先月バーレーンにおいて米国主催で開催された,パレスチナの経済成長に向けた方策を議論するための会合後に行われた。米政権は今年中に中東和平案を発表するとしている。

 「我々はクシュナー上級顧問と意見交換を行っており,同顧問の経済構想についてレビューを行っているところである。彼の経済構想は良い内容であるように見えるが,政治面での構想がどのようなものになるか見る必要がある。パレスチナには同構想に目を向け,交渉を開始することを望んでいる。パレスチナの若者に希望と夢を与えられるようにしなければならないし,我々は喜んで関係者と共にこの問題に取り組みたいと考えている」と河野大臣は述べた。もしパレスチナ問題に対して仲介役を要請されたらどうするか,との問いに対し大臣は,「喜んでお受けしたい」と答えた。

 インタビューにおいて河野大臣は,日・サウジ関係は既に強固であるが,日本は,サウジとの関係を産業やエネルギーを超えた,さらに強固なものにしたいと思っており,このことはG20大阪サミットの日・サウジ首脳会談でも議論された,と述べた。2017年に合意された「日・サウジ・ビジョン2030」につき,同ビジョンには,「文化交流やエンターテイメント等多様な分野が含まれており,両国関係をさらに深化させて行くことができると思っている」と河野大臣は述べた。大臣はさらに, 日本政府と民間企業は,ムハンマド皇太子が進めている改革を支援する用意がある,と続けた。河野大臣は,日・サウジ間には多くの共通点があると語る。

 「ムハンマド皇太子は,サウジアラビアの歴史と伝統を守ると同時に,自国の経済と社会を発展させることに高い関心を持っている。これは日本が歩んできた道に似ている。我々は西洋の技術や民主主義等を導入してきたのと同時に,日本的な価値観や伝統,生活様式を維持してきた。アラブ文化と日本文化は,目上の人を敬ったり家族を重視したりするという点において共通点が多い。我々の経験を共有し,皇太子のビジョンに協力していきたい」と大臣は述べた。

【3面】

「日本は中東和平において“誠実な仲介者”となることを提案」

 河野大臣は,本紙によるインタビューに対し,「日本は中東において誠実な仲介者になれる。日本にはこの地域において植民地支配等の負の遺産がないからである。この地域の安定は日本の国益と直結する。日本のエネルギーは湾岸地域からの輸入に依存しており,日本が輸入する原油の40%はサウジから来ており,80%はホルムズ海峡を通って輸入される。また,20%の天然ガスは同じく同海峡を通って輸入される」と述べた。

 しかし先月,安倍総理が日本の総理として40年以上ぶりにイランを訪問し,仲介交渉に当たっている最中にオマーン湾で日本のタンカーが攻撃を受けた。米国がこの攻撃をイランによるものと非難し,ポンペオ国務長官が「日本への侮辱」と表現した一方,日本の姿勢は冷静,控えめで,現段階では米国の非難の姿勢とは異なる。この攻撃に対し大臣は,「日本は,ホルムズ海峡を航行する船舶に対する攻撃及びホーシー派によるミサイルやドローンを用いたサウジアラビア国民と施設に対する攻撃を強く非難する」と述べた。もしこのような事案が再び生じた場合に日本が取り得る対応につき問われた河野大臣は,いかなる国の船舶に対しても新たな攻撃が起こらないことを望んでいる,と答えた。

 安倍総理のテヘラン訪問の成果について大臣は,ハメネイ最高指導者及びロウハニ大統領は安倍総理に対して,イランは核兵器を開発するつもりはない,核開発はイスラムの教えに反すると応答したことに言及し,「もしそれが本当なら,我々が心配すべきことは何もない」と述べた。

 日本はもう一つの中東問題,長期かつ複雑なイスラエル・パレスチナ紛争の解決にも興味を示している。G20大阪サミット前にバーレーンで開催された米国主催の平和と繁栄のワークショップに言及し,河野大臣は米ホワイトハウスのクシュナー上級顧問の努力をたたえ,「もし構想の政治面での計画が良いものであれば,我々は和平構想を推進するために何らかの役割を果たすべきであり,このプロセスに喜んで関与する」と述べた。

 日本はヨルダン川西岸地区に多くの投資をしてきたとし,河野大臣は「我々はパレスチナ,イスラエルそしてヨルダンの人々とともに,ジェリコ近郊の工業団地建設のために協力をしてきており,うまくいっている。また日本は,『パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)』を立ち上げた。アジア経済発展の知見をパレスチナ人及び地域の人々に共有したい」と述べた。

 河野大臣は,緊密化する日・サウジ関係についても言及した。ムハンマド皇太子は,G20大阪サミットにおいて安倍総理が手厚く対応した数少ない世界の指導者の一人である。

 河野大臣は,同会談において,「『日・サウジ・ビジョン2030』の進展を確認した。日本政府及び民間企業は,ムハンマド皇太子殿下による改革を支援していく。日・サウジ関係は,経済面だけでなく,文化交流等多くの分野に広がる大きな可能性を秘めている。我々は人的交流とサウジアラビアへの日本企業の投資を活性化したい。

 多くの日本企業が,皇太子殿下が進められている巨大プロジェクトに参加することを望んでいるし,サウジアラビアの対日投資が増加することができればと思っている。さらに,経済面にとどまらず,日本の大学で学ぶサウジアラビアからの留学生が増え,日本の学生もサウジアラビアに行くようになればと思っている」と述べた。

 これまで何度もムハンマド皇太子と顔を合わせている河野大臣は,サウジアラビアが「サウジ・ビジョン2030」で成し遂げようとしていることと,日本がこれまで成し遂げてきたことの間には多くの共通点があると指摘する。

 河野大臣は,「皇太子殿下は,サウジアラビアの歴史,伝統を守ると同時に,自国の経済,社会を発展させることに大きな関心を持っている。これは,日本が歩んできた道と似ている。我々は,西洋の技術や民主主義等を導入する一方で,日本の価値観や伝統,生活様式等を維持してきた。アラブと我々の文化には,ともに,目上の人を敬ったり,家族を重視したりという多くの共通点がある。我々は,自らの経験を共有し,皇太子殿下のビジョンに協力していきたい」と述べた。

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