寄稿・インタビュー

KTLA(ロサンゼルス)による河野外務大臣インタビュー
(2018年9月1日,2日放映)

平成30年9月10日

【フランク・バックレー・アンカー】河野外務大臣,インタビューに応じていただき感謝する。我々にとり大きな名誉である。

【河野外務大臣】ありがとう。

【バックレー・アンカー】外務大臣を番組に迎えたのは初めてであり,とても特別なことである。感謝する。

【河野外務大臣】ありがとう。私にとっても名誉である。

【バックレー・アンカー】河野大臣にとってロサンゼルスは特別な場所であると承知している。以前,初めてロサンゼルスを訪れたのは7年生(13歳)の時であったとの話をされた。

【河野外務大臣】】然り。

【バックレー・アンカー】当時のロサンゼルスにおける滞在で印象に残っていることはあるか。

【河野外務大臣】自分にとり,初めて日本を離れて来た場所がロサンゼルスであった。父の友人がセンチュリー・シティに住んでおり,彼らのアパートに連れていってくれた。東京とは全く違い,未来的であった。用意されていた部屋には,専用のシャワーとトイレがあり,自分はとても興奮した。家に電話をして「自分の部屋にお風呂とトイレが付いている」と母に話した。

【バックレー・アンカー】訪問を歓迎する。今回の訪問でも同じような施設があることを希望する。今回,大臣は,ジャパン・ハウスの開館のために当地を訪問したのか。

【河野外務大臣】然り。

【バックレー・アンカー】今,我々は,ジャパン・ハウス・ロサンゼルスのギャラリーの一角にいる。外務大臣として多忙であり,今,世界のどこにいてもおかしくない大臣だが,この開館のためにロサンゼルスにいることを選んだ。なぜジャパン・ハウスはそれほど重要なのか。ジャパン・ハウスを通じて,何を披露したいのか。

【河野外務大臣】ジャパン・ハウスは世界において,ロンドン,サンパウロ,そしてここロサンゼルスの3箇所にのみ設置されている。ジャパン・ハウス・ロサンゼルスはハリウッドの中心に位置しており,非常に重要である。ここで日本の文化,歴史,技術に対する注目を集めようとしている。ハリウッドは多くの,そして様々な人々を魅了する地である。我々はこのハリウッドにジャパン・ハウスが開館したことを多くの人々に知ってもらい,立ち寄って欲しいと思っている。今まで日本に関心がなかった方々が日本で起きていることに興味を持つきっかけとなることを期待している。それ故,ジャパン・ハウス・ロサンゼルスは重要なのである。日本の外務大臣として大きな日系米国人コミュニティを擁するロサンゼルスを訪問する,ということも今回の訪問の目的の一つであった。

【バックレー・アンカー】大臣は日系米国人コミュニティについて触れたが,自分は,大臣が日系米国人コミュニティに情熱を注いでいることを実体験を通じて知っている。2006年にJALD(日系米国人リーダーズ招聘プログラム)に参加した時に大臣に初めてお会いした。JALDについて知らない人々のために説明すると,米国で活躍する日系米国人リーダーが毎年十数名,日本に招かれ,河野大臣のような政治家やビジネスリーダーと交流する招聘プログラムである。我々は,河野大臣がカラオケを歌っていたところを見ることができ,とても光栄に感じた。その際お会いした時に大臣にお話したが,自分の母は,かねてから自分の家族が河野大臣のご家族に恩があると言っていた。自分の祖父は,河野大臣の亡くなられたお祖父様がお世話をしてくれたおかげで,政府に就職することができたということをこのプログラムを通じて知った。また,河野大臣のお父上であり,当時衆議院議長であった河野洋平氏とお会いしたことは,感動的な経験であった。大臣は,これまで18組,全てのJALD参加者と面会しているが,この米国に住む日系米国人と日本に住む日本人の橋渡しをするこのプログラムは,大臣にとってどのような意味があるのか。

【河野外務大臣】自分が13歳の時に初めてロサンゼルスを訪問した際,父の友人であった日系米国人の方々が私の面倒を見てくれたため,カリフォルニアには日系米国人コミュニティがあることは知っていた。しかし,後で知ったことだが,日系二世の人々は,「良き米国市民」になるよう教育されており,多くの人が訪日したことがなく,日本語も話さず,日本に対する親近感を持っている人も多くいなかった。自分は日米二国間関係を語る上で,日系米国人コミュニティが自然な二国間の架け橋となると思った。しかし,日系米国人コミュニティは日本に対する親近感は我々が期待したほど強いものではないことが分かった。そこで外務省が,このJALDプログラムを始めたのである。多くのコミュニティの中で活躍する日系米国人リーダーを日本に招聘し,日本と日系米国人コミュニティの絆を再び繋ぐことを希望している。自分は,このプログラムはその効果があったと思う。それまで日本を訪問したことがなかった多くの日系米国人参加者は,このプログラムを通じて,日本に深いルーツがあることを知り,日米関係が重要であると考えるようになった。彼らは日系米国人と日本の絆の重要性に気づき始めた。そして,参加者の多くが帰国後,日本と米国の橋渡し役として積極的に活動し,米国上院議員であった故ダニエル・イノウエ氏が米日カウンシルを立ち上げた。同カウンシルの会員達は米国側,日本側の双方で,二国間の架け橋として大変積極的に活動している。

【バックレー・アンカー】自分は,米日カウンシルのメンバーであり,米日カウンシルを通じた活動は,人と人とのレベルで両国を結びつける貴重な経験である。河野大臣は外務大臣として,人と人のレベルで日本を代表されている。現在対話が中断されている北朝鮮に対する最近の状況について日本政府はどう考えているか。

【河野外務大臣】北朝鮮は核兵器及び様々な弾道距離のミサイルを開発することにより,国連安保理決議に違反している。北朝鮮に核兵器やミサイルの開発を止めさせる唯一の方法は,国連安保理決議に基づいた経済制裁を通じて,圧力をかけることであると思う。国際社会は,北朝鮮は核開発をすすめるべきではないと信じている。なぜなら,北朝鮮の行為を許せば,NPT体制の崩壊を招き,各国が核兵器を持つようになるからである。トランプ大統領は,上手くリーダーシップをとって北朝鮮に圧力をかけており,国際社会は安保理決議の下に結束している。それ故,金正恩は歩み寄って,シンガポールでトランプ大統領と会談せねばならなかった。 我々は,朝鮮半島の非核化に向けて,良いスタートを切ったと思った。しかし,北朝鮮は55柱の米国兵士の遺骨を返還しただけで他に何もしていない。我々は,国際社会の結束を維持し,継続して安保理決議を着実に履行することが必要である。シンガポールでトランプ大統領と金正恩との会談が行われたことで,北朝鮮の中で経済開発に対する期待が高まった。金正恩が北朝鮮に何かをもたらすためには,彼が真に歩み寄り,核兵器とミサイル開発を止め,そして,制裁の解除を得なければならないと思う。我々は過去の経験から北朝鮮との交渉は非常に難しく,時間もかかることを知っており,ポンペオ長官が何を今経験しているか理解できる。我々は,ポンペオ長官に北朝鮮に対し不屈であると同時に辛抱強くあるように励ましている。長官は今まさにそれをしていると思うし,トランプ大統領も状況を理解していると思う。

【バックレー・アンカー】米朝会談直後,米韓合同軍事演習が実施されないことが判明した。これに関し,事前に日本への相談なしに決定したと聞いたが,それは事実か。もし事実であれば,そのような重大な問題に関し,アジアで最も親しい同盟国である日本と協議せずに決定したことは,大臣にとって難しい瞬間ではなかったか。

【河野外務大臣】駐日米軍と自衛隊は共同演習を続けており,日米関係に実際の影響はない。トランプ大統領と国務長官,そして国防長官は,(米韓合同軍事演習を行わないことは)北朝鮮への善意のジェスチャーであり,北朝鮮が誠意を持って交渉に臨むのであれば,米韓合同軍事演習を引き続き実施しないことを明らかにした。北朝鮮が誠意を持って交渉のテーブルに着かない場合は,合同軍事演習を必ず再開することをトランプ大統領は明らかにしている。我々は今後も北朝鮮が誠意を持って交渉を続けることを期待する。

【バックレー・アンカー】日本の安倍首相は,トランプ大統領が大統領選に勝利して一番初めに面会した外国のリーダーであった。二人は,当初から親密な関係を築いており,継続した日米の安全保障体制も良好であるように見受けられた。しかしながら,トランプ大統領は鉄鋼及びアルミニウムに追加関税を課し,追徴関税が免除される国のリストに日本を含めなかった。また,日本との事前協議なしに米韓合同軍事演習を中止して,金正恩との協議を進め,そして米国の視点から不公正な通貨措置を行う国のリストに日本を載せている。安倍首相と日本の人々は,首脳同士が良い関係を築いたにも関わらず,トランプ大統領が日本を裏切ったと感じでいるのではないか。

【河野外務大臣】日米同盟は半世紀以上も続く日米間の安全保障同盟で,この50数年の間,多くの貿易協議が行われてきた。オレンジ,自動車,半導体等,貿易問題は多くあったが,同盟に影響を与えることは全くなかった。現在も同様である。トランプ大統領は日本との貿易問題や貿易赤字について述べているが,北朝鮮問題に対して我々は結束して臨んでいる。安全保障に関しては,どの観点からも日米は結束しており,全く懸念していない。我々は,トランプ大統領に次のことを伝えようとしている。日米間を見ると,貿易では米側の赤字である。しかし,米国に進出している在米日系企業の活動も考慮すれば,実は,米国は貿易黒字となる。トヨタ,ホンダ,ソニー,キヤノン他の全ての在米日系企業は,米国から欧州や他の国々へ製品を輸出しており,これらの輸出額は米国側の対日貿易赤字額を上回る。日本と在米日系企業を合わせて考えれば,米国の黒字と言える。日米貿易において,米側の貿易赤字を解消する唯一の方法は,日本から輸入される製品に関税を措置することではなく,更なる雇用や米国からの輸出を生み出す日本からの対米投資を拡大することである。我々は,トランプ大統領にこのことを説明しようとしている。

【バックレー・アンカー】米国では今,様々な事に関し,かなり頻繁に立場を変える人物が大統領だが,日本政府としても,ある日どのような立場をとるかわからない大統領と政策を実行するのは,困難を伴うのではないか。

【河野外務大臣】国や政府,会社でも立場を変えるリーダーは多く,我々はその変化に対応していかなければならない。それが現実であり,マイク・ポンペオと自分は,上手くやっている。

【バックレー・アンカー】真実か定かではないが,外国企業にとって,日本はビジネス参入が難しい国との認識が未だにある。イエスかノーの返答を得るのが難しく,日本市場へ製品の導入がしづらいという印象がある。これは昔の考えか。それとも事実か。もし私が小企業の経営者又は何かの製造業者であったとして,日本市場へ進出しようとすると,どれくらい難しいのか。今日の状況を聞かせていただきたい。

【河野外務大臣】日本の消費者は質の高さを大変重視する傾向があるため,容易なことでは無いだろう。我々は,あらゆる製品に対し高品質を期待する。米国製か日本製かは関係ない。日本の消費者は良いものが欲しいのである。もし,あなたの製品が日本市場で成功するのならば,それはその製品の質がとても良いからであり,他の国の市場にも導入することができるだろう。自分はジョージタウン大学を卒業後,米国のゼロックス・コーポレーションの一部である,フジ・ゼロックス社に入社した。同社は米国企業だが,日本市場で大変高いシェアを持っている。質の良い製品であれば,日本市場にも参入することができると思う。この点をしっかりと留意して頂きたい。

【バックレー・アンカー】外務大臣としての仕事はどのようなものか。河野大臣は長年国会議員を務められ,河野大臣の父上も外務大臣を務められた。外務大臣の職は,大臣が期待していたようなものであったか。

【河野外務大臣】然り。出張がたくさんある。昨年8月3日に外務大臣に就任し,その直後から北朝鮮の状況があり,多くの時間を北朝鮮問題に費やした。加えて,中東,中南米,アフリカ,ロシア,中国,米国等を訪問した。他国の外務大臣と話ができるのは素晴らしいことである。大変興味深い方々ばかりであり,皆,大変良い人々で,彼らと交流できることを大変光栄に思う。自分は,外務大臣というこの職業を楽しんでいる。

【バックレー・アンカー】将来についてはどう考えているか。長年に亘り,河野大臣が将来の党首であり,将来の総理大臣であると言う人々がいるが,それを目指しているか。

【河野外務大臣】然り。総理大臣になれば,今まで考えてきたことを実行できると思う。政治家として自分の目標は,総理大臣になり,自分がやりたいと思う政策を実現することである。

【バックレー・アンカー】その目的を遂げるため,河野大臣が総理に就任したときの世界の日本のビジョンを教えて欲しい。

【河野外務大臣】日本の人口は減り続けている。出生率が低いために,毎年50万人の規模で減少している。経済活動と経済開発を持続させるために,人口減少の問題への対応が必要である。日本は,外国に対し門戸を開かなければならないと思う。21世紀の日本は,より国際化し,製造業から脱却して,何か新しいことをしていることを期待する。その為には,真に経済構造を変えなければならないし,我々の考え方も変えなければならない。簡単なことではないが,やらなければならない事である。我々は,これを明治維新の時に行った。幕府を終わらせ,新政府を発足させた。戦争に負けて打ちのめされた状況から復興を遂げた。これ故,これが,日本にとって第三の新時代の幕開けになることを期待している。

【バックレー・アンカー】最後に,パーソナルな質問であるが,河野大臣のお父上に会ったとき,とても親切にしていただいたことは,私にとって感動的な経験であった。河野大臣は,肝機能障害に苦しまれていたお父上の命を救うため,肝臓の一部を提供した。お父上はその後いかが過ごしているか。

【河野外務大臣】大変元気にしている。我々は,肝臓の検診は毎年受けている。昨年は同じ日に病院で検診を受け,その後数値を比べた。父の肝臓は私の肝臓よりも良く機能しており,「肝臓を返してくれ」と父に言ったくらいである。お陰様で父はとても元気である。

【バックレー・アンカー】河野外務大臣,とても楽しいインタビューであった。ロサンゼルスを訪問したことに感謝する。大臣の再訪を希望する。

映像は下記のリンク(英語)からご覧頂けます。

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