国際問題プレゼンテーション・コンテスト
「国際問題プレゼンテーション・コンテスト」開催の概要報告
外務省は,9月24日(土曜日),東京都美術館・講堂にて「国際問題プレゼンテーション・コンテスト」を開催しました。本年は,日本が国連に加盟して60年目となる節目の年でもあり,テーマは「私の提言~今後の国連のあるべき姿に向けた日本の取組」でした。
全国各地から応募があった事前審査論文の選考を経て本選出場権を得た5名による様々な観点からのプレゼンテーションが披露されました。審査委員会(委員長:星野俊也大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)による厳正な審査の結果,東京大学の生駒知基さんが外務大臣賞,立命館大学の是安亮佑さん,聖心女子大学の佐々木日奈子さん,東京外国語大学の佐々木勇太さん,群馬県立女子大学の島田育美さんが優秀賞を受賞しました。
受賞者の皆さん(優秀賞は,あいうえお順となっています)

(東京外国語大学国際社会学部3年)

(群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部4年)
- 外務大臣賞:生駒知基さん
(東京大学文学部4年) - 優秀賞:是安亮佑さん
(立命館大学政策科学部4年) - 優秀賞:佐々木日奈子さん
(聖心女子大学文学部3年)
審査委員による講評(要旨)
星野 俊也 審査委員長(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
全員よく健闘をし,審査は容易ではなかった。特に佐々木勇太君による平和構築に関する取組みについてのプレゼンテーションは極めて重要なテーマを政策的関連も踏まえしっかりと論じていた一方,生駒知基君は,文化という観点から安全保障を論じ,対話の重要性を強調して議論を組み立てるものだったが,もう少し掘り下げてほしいポイントもあった。しかし今回は,内容,プレゼンテーションのスタイル等を含め,(1)分析力・考察力,(2)提案力,(3)伝達力・表現力という観点から総合的に審査させていただき,生駒君に外務大臣賞を,ということになった。
このステージに立って多くの人の前で話をするというのは勇気がいる。書面審査を通過した後,さらにこの場でプレゼンテーションをした5人の皆さんの勇気と努力を讃えたい。大学で国際政治学を教え,特に国連関係の研究を専門にする立場からしても,皆さんがしっかりと勉強をして本日に臨んでいるということがよくわかった。
河野 毅 審査委員(東洋英和女学院大学国際社会学部教授)
皆さんのエネルギーや気力が徐々に世界を作っていく一つの大きな力になっていく,という感じを受け,大変頼もしい気持ちでいる。
私はフィールドで活動するUNDP(国連開発計画)で勤務していたが,出場者の皆さんはそれぞれキャラクターをお持ちの方たちなので,「この方はこの辺の部署かな」とか考えながら見ていた。そのような観点からは,島田育美さんは,フィールドで大活躍して戦って残っていけるような素養をお持ちの方であるという印象を受けた。
中谷 和弘 審査委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
皆さんのプレゼンテーション,パフォーマンスまた内容も素晴らしく,30年以上前に自分が学生だった頃はとても真似できないなと感銘を受けた。
無関心あるいは悪意のある国,人,団体にどう対峙するかという点が,今後一つの課題になっていくのかなという感じがする。法学の教師としては,プレゼンテーションの中で,法整備支援,人間の安全保障の条約や提案についても触れていただいたのは嬉しく思っている。この調子で,更に外交,国連について研究,検討を深めていただければと思う。
根本 かおる 審査委員 (国際連合広報センター所長)
今日発表して下さった皆さんは,まさに国連の課題を自分事として捉えて「どのように自分が関わっていけるのか」を本当に考えて,発表でまとめていただいた。
出場者の皆さんの中には「途上国、あるいは紛争に喘いでいる国でも生き残っていけるな」と思わせる方がいれば,佐々木日奈子さんのように「この人よく数字を覚えているな。多分国連の広報の仕事をしたら大成するのではないかな」というイメージをもう既に与えて下さる方もいる。
これからも引き続き国連が取り組んでいる地球規模の課題に関心を持ち続けていただきたい。