国際問題プレゼンテーション・コンテスト

平成27年10月7日

1 はじめに

 外務省は、9月27日(日曜日)、めぐろパーシモンホールにて「国際問題プレゼンテーション・コンテスト」を開催しました。本年度のテーマは「私の提言~核兵器のない世界の実現に向けた日本の取組」でした。全国各地から応募があった事前審査論文の選考を経て本選出場権を得た5名による様々な観点からのプレゼンテーションが披露されました。当日は80名を超える傍聴者が参加し、質の高いプレゼンテーションが競われた結果,萩原梢(群馬県立女子大学)さんが外務大臣賞を受賞しました。表彰式において4名の審査委員からそれぞれ講評をいただいた後、審査委員と出場者との間で和やかな雰囲気の中で有意義な意見交換会も行われました。
 今回、本事業の広報活動にご協力頂きました各大学、大学院等教育機関の教職員の皆様、各種学生団体等の皆様には厚く御礼申し上げます。

2 プレゼンテーション風景

(写真1)
(写真2)

3 受賞者の皆さん(お名前は順不同です。)

優秀賞:長谷川 康太さん
中央大学 法学部
優秀賞:小松 優也さん
中央大学 総合政策学部
  • 外務大臣賞:萩原 梢さん
    群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部
  • 優秀賞:大野 栞里さん
    国際基督教大学 教養学部
  • 優秀賞:村松 舞奈さん
    群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部

4 受賞後,審査委員との記念撮影

5 審査委員による講評

(1)太田昌克審査委員(共同通信編集委員兼論説委員)

(写真3)

 出場された5人の皆さん,そして外務大臣賞を受賞された萩原さん,おめでとうございます。黒澤先生以下皆さんと議論したのですが,甲乙つけ難かったですね。実は別な方が1位ではないかという議論があり,それほどまでに皆さんの想像力,発想力,提案力は素晴らしい内容でした。萩原さんがトップとなりましたが,その他の皆さんも大差はありませんでした。今日は皆さんから大変良いアイデアを披露していただき,メディアに身を置く私自身も共同通信で核の問題を中心に物を書く仕事をしておりますが,たくさんのインプットをいただきました。今日伺った皆様のアイデアを、私の職責を果たしながら伝え,皆さんが目指し,語られた大きなテーマ「核兵器のない世界をどう実現していくか」ということをジャーナリストの立場で果たしていこうと思います。今日は多くの励ましと勇気,そしてアイデアをもらいました。ありがとうございました。

(2)淺田正彦審査委員(京都大学法学部教授)

(写真4)

 萩原さん,皆さん,おめでとうございます。質疑応答では皆さんがどのくらい突っ込んで考えているのかを知りたくて,やや厳しい質問をしましたが,質疑を通して私も勉強させていただきました。少し感想を言いますと,私がこの分野に関わり始めた1990年前後の時期には,日本のNGOには広島・長崎に言及すればそれで役割を終えたという雰囲気がありました。その頃,私は広島・長崎と言っただけでそれ以上具体的な提案ができないというのでは物足りないと思っていました。かつてのNGOのそのような傾向からすると,本日のように若い世代がかなり具体的な提案を提示し始めたということは大変勇気づけられることだと思います。ただ問題も残っています。2つの点について皆さんに今後も考えていただきたいと思います。1つは小松優也君の話にも出てきましたが,日本が核の傘の下にある中で核兵器の削減,廃絶を求めるという矛盾,ジレンマをどう考えるかということです。難しい問題だと思いますが,引き続き考えていただきたいと思います。もう1つは,NGOあるいは市民社会が考えている核廃絶を,国の政策にどのように結びつけるかということです。先般の安保法制をめぐる動きを見ても国民が自らの主張を国の政策に反映させるのは容易でないことが分かったと思います。核軍縮はさらに難しいと思います。どうすれば自分たちの考え方を国の政策に反映させていくことができるのかという方法論の問題です。これらの2つの点をコンテスト終了後も引き続き考えていただきたいと思います。皆さん頑張って下さい。

(3)吉田文彦審査委員(公益財団法人笹川平和財団常務理事)

(写真5)

 受賞された皆さん,おめでとうございます。今日はお疲れ様でした。私ども審査委員として皆さんのお話を伺いながら思うことは,皆さんが提起された問いに対して,実は私たちにも答えがないと言うことです。そんな中で次の時代が来るわけですから,未来を創るのは若い皆さんでしかありません。いずれ私たちは引退します。ですから私たち年寄りが何か言うから言いづらいと思わないで,今日語ったことを含め,さらに想像力を膨らませていろいろなアイデアを提案していただきたいと思います。むしろ私たちを引退させて,自分たちが創るとの気構えで変えていこうとしないと,実は何も変わらないと思います。未来を選び取る皆さんにはぜひそのような意識を強く持って,引き続き頑張って下さい。本日はおめでとうございました。

(4)黒澤 満審査委員長(大阪女学院大学大学院教授)

(写真6)

 本日プレゼンされた5名の皆様,ありがとうございました。私たち審査委員も非常に勉強になりましたし,新たな刺激を受け,これからも頑張らないといけないと感じた次第です。私は5月のNTP運用検討会議に4週間すべてに出席しましたが,核軍縮の流れが若干変わりつつあるかなという感じがしています。1つは,今日発表された何人かが触れていました人道的なアプローチです。まだそれほど強い動きではありませんが,この5年ぐらい徐々に広がっています。もう1つは,NGO等の核兵器禁止条約の交渉を始めるべきとの主張です。これは直ぐには始まらないと思いますが,この2つは新しい流れとして出てきているのではないでしょうか。この流れをさらに広げ,伸ばしていく必要があります。そのためにも我々や外務省,さらに若い皆さんには特に頑張っていただき,核兵器のない世界に到達すべきだと考えます。本日はありがとうございました。

6 意見交換会

 表彰式終了後、会場内にて審査委員と出場者の意見交換会を行いました。プレゼン内容についての質疑をはじめ、出場者同士での交歓など終始和やかに有意義な意見交換ができました。

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