外務省セミナー「学生と語る」
令和4年度外務省セミナー「学生と語る」
開催報告

令和5年2月9日(木曜日)、令和4年度外務省セミナー「学生と語る」を開催しました。今年は、3年ぶりに、対面でのプログラムを実施しました(一部プログラムはオンライン配信あり)。過去最大となる241名の方に参加していただきました。多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました!
開会挨拶


吉川 ゆうみ 外務大臣政務官
吉川政務官は、冒頭挨拶において、3年ぶりに対面形式で開催し、皆様の前で御挨拶できることを大変嬉しく思う、また、本年、初めてセミナーの一部をオンラインでも開催している旨述べました。
また、現在、国際社会は、法の支配に基づく国際秩序を守り抜けるかという歴史の岐路にあり、日本を取り巻く環境も厳しさと不確実性が増しているが、国際社会が困難を抱える時代においてこそ、外交の役割は高まっていくと考える旨述べました。
さらに、本日の「学生と語る」では、今年5月に広島で行われるG7サミットを中心に、今の日本外交がまさに取り組んでいる旬のテーマを取り上げたところ、 ぜひ本セミナーが参加者にとって、国際社会における諸課題や日本外交について理解を深め、日本の未来、未来の日本外交のあるべき姿について考える良い機会になることを期待する旨述べました。
基調講演

テーマ:G7広島サミットについて
講師:内山 卓郎 G7広島サミット事務局 首席事務官
内山首席事務官からは、大学在学中に留学先の韓国での経験等に触れながら外務省を目指した経緯をお話ししました。また、G7広島サミットの意義について、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の強い意志を、歴史に残る重みを持って、力強く世界に示すこと等と述べました。G7広島サミット事務局は、政府各府省庁、地方自治体、民間企業の出身者が集まるオールジャパン体制で、サミット成功に向け準備に取り組んでいると述べ、ぜひ皆さんにもサミットを身近に感じてほしい、自分が総理だったらと考えてサミットに向き合ってほしいと呼びかけました。
外務省員による体験談

講師:大西 生吹 大臣官房人事課 課長補佐
大西補佐は、在フランス日本国大使館で安全保障、海洋、サイバー、宇宙分野等に関する二国間関係強化に携わった経験を紹介しながら、自らの頭と足を使いながら任国で日本を代表するという在外公館の魅力を説明し、「創造力と行動力で世界は変えられる」とのメッセージを学生に発信しました。その上で、赴任中に様々な場所に赴き、人と出会うことの大切さ、そこから結ばれる人と人との関係性こそが外交の武器であることを述べ、人との関係を象徴する具体的なエピソードを紹介しました。学生からは、「協定を結ぶ際には外交の現場でどういったプロセスがとられるのか」などの質問が寄せられました。
分科会


四つの分科会では、それぞれのテーマについて、外務省員の講師によるプレゼンテーションに続き、参加者同士のディスカッションが行われました。参加者は小人数のグループに分かれ、講師から例示された論点等について活発な議論・意見交換を行いました。(「人間の安全保障」はオンラインで実施。)
テーマ:軍縮・不拡散
講師:則岡 翼 軍縮不拡散・科学部軍備管理軍縮課 課長補佐
則岡補佐による軍備管理・軍縮についての現状、国際枠組み、日本が推進する取組についての概要説明後、「『核兵器のない世界』の実現に向けて、日本がリードしていくための方策」をテーマにグループ討論を行いました。それぞれのグループで、唯一の戦争被爆国としての責務、厳しい安全保障環境、国際社会の分断等を考慮に入れ、活発な議論が行われました。その後の発表で、唯一の戦争被爆国としての経験を踏まえ、広報の強化や平和教育の実施など、様々な提言がなされました。


テーマ:安保理改革を含む国連機能強化
講師:鶴留 和貴 総合外交政策局国連政策課 主査
鶴留主査による国連・安保理の概要、安保理の機能と限界、安保理改革や総会の機能強化等の説明後、「国連・安保理の問題点、安保理改革を含む国連全体の機能強化の取組」をテーマとしたグループ討論が行われました。参加者達は、国連憲章上の制約や現在の国際情勢も踏まえた上で、日本や国連が目指すべき取組等について活発に議論し、安保理の代表性向上や拒否権の乱用防止、総会の機能強化等に向けた様々な提言を含む発表を行いました。


テーマ:ASEANと日本外交
講師:近藤 知里 大臣官房ODA評価室 課長補佐
近藤補佐による概要説明後、「日・ASEAN友好協力50周年を迎える本年、日・ASEAN関係の将来を見据えて総理から発信してほしい3本の柱」をテーマにグループ討論を行いました。学生は、真剣な議論を交わした後、3本の柱と各々の内容・理由について発表を行い、近藤補佐は、ASEANに高い関心をもつ学生の皆さんの存在は、日本とASEANの関係の将来にとっての希望であり、皆さんに活躍してほしいとの期待を述べました。


テーマ:人間の安全保障
講師:宮武 美穂 国際協力局地球規模課題総括課 課長補佐
宮武補佐による、人間の安全保障の考え方、日本の取組、SDGsとの関係、近年の人間の安全保障を巡る動きについて概要説明後、「人間の安全保障が確保された状態とはどのような状況か」についてグループ討論を行いました。学生からは、国際福祉システムが確立された状況、紛争や暴力的な恐怖からの自由、全ての人が自己実現のためのスタートラインに立つことができる、など様々な考え方・理由が発表されました。
参加者の感想
- 外務省員から直接話を聞くことで、具体的な仕事内容を知ることができ、外交や外務省に更に興味がわいた。
- セミナーでしか聞けない貴重な話を聞くことができ、学びを深められ、大変有意義だった。
- 外務省は省庁の中でも比較的遠い存在だったが、本セミナーを通じて、外務省員の雰囲気を感じることができ、少し身近な存在に思えた。
- 現在の不安定な国際社会の中で、外務省員の仕事は大変荷が重い仕事であると思うが、省員一人一人の行動が社会を大きく変化させることにつながる、やりがいのある職業であると感じた。
- 外務省が担っている役割、そして、そこで働く職員がどんな仕事をしているのかということに関してよりイメージが明確になったよい機会だった。
- 普段何気なく生活をしているだけでは、知ることの出来ない情報に触れることができたと感じている。貴重な経験に感謝。
- オンライン配信もあり、地方からも気軽に参加することができた。