外務省セミナー「学生と語る」

開催報告

令和2年3月23日
(写真1)集合写真

 令和2年2月6日(木曜日),外務省において令和元年度外務省セミナー「学生と語る」を開催しました。

開会挨拶

(写真2)開会挨拶の様子

尾身朝子 外務大臣政務官

 尾身政務官は開会の挨拶において,グローバル化やデジタル経済の急速な成長に伴い,時代が大きく変化する中で,我々がどんな未来を目指すのかという目標を示したものとして本日の基調講演のテーマでもあるSDGs(Sustainable Development Goals)「持続可能な開発目標」があることを述べるとともに,「次世代・女性のエンパワーメント」などの様々な取組を含め,このテーマをめぐる様々な議論に触れてみてほしい旨述べました。
 また,同政務官は,外交は外務省だけが行っているものではなく,様々なプレイヤーがいる中で様々な立場で外交に関わっていただければ嬉しいとし,国際機関を就職オプションとして考える場合には,外務省としても全力で支援する旨述べました。
 さらに,外務省職員や同世代の仲間達の話を直接聞き,意見交換ができる絶好の機会であり,皆さんが本日のイベントを楽しみながら,一緒に作り上げていただけることを期待すると述べ,「荒削りでもいいからありのままで議論してほしい。」と参加者を鼓舞しました。

基調講演(1)

(写真3)基調講演の様子1

テーマ:SDGsの推進 持続可能な未来のために
講師:春田博己 国際協力局地球規模課題総括課 課長補佐

 本セッションでは,2019年12月に新たに発表された「SDGsアクションプラン」のポイントや,同6月に日本が議長国となり開催された「G20大阪サミット」でのSDGs分野に関連する成果,同9月に国連において開催された「SDGsサミット2019」での議論の概要,同12月に決定した「第3回ジャパンSDGsアワード」の結果など,SDGsに関する国内外の最新の動向が紹介されました。
 参加者からは,「実際にSDGsの実現に向けて最前線で取り組む外務省員から最新の動向について聞けて勉強になった。」,「SDGsの更なる取組にあたりどういった課題があるのかや何が必要なのかについての理解が促進された。」などのコメントがありました。

基調講演(2)

(写真4)基調講演の様子2

テーマ:東京2020オリンピック・パラリンピック スポーツ交流「SPORT FOR TOMORROW」
講師:丸森隆史 大臣官房人物交流室 課長補佐

 講師は,スポーツと国際関係や,今年開催される東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて我が国政府が推進しているスポーツ分野における国際貢献策である「Sport for Tomorrow(SFT)」について説明しました。
 参加者からは,「外務省がスポーツ外交を行っていたことを知らず,とても面白かった。」,「スポーツと外交の関連性が意外だった。これからオリンピックもあるので注目していきたい。」などのコメントがありました。

外務省員による体験談

(写真5)外務省員による体験談の様子

講師:森谷泰韻 大臣官房人事課 課長補佐

 外務省のキャリアパスについての説明に加え,講師がどういう思いで外務省を志したのか,入省してからこれまでの自身の経験について等,熱意溢れる話に多くの参加者が真剣に聞き入りました。
 参加者からは,「自分の将来を考える上でとても参考になった。」,「講師の初心を見せていただき,自分についても考えることができた。」など,外務省の仕事を知ることにとどまらず,自分のこれからのキャリアや人生を考える上でも貴重なお話だったとの意見が多く聞かれました。

分科会

 四つの分科会では,それぞれの分科会のテーマについて,外務省員によるプレゼンテーションに続き,参加者同士のディスカッションが行われ,参加者は小人数のグループに分かれ,講師から例示された論点や,その他分科会テーマに関連する論点について活発な議論・意見交換を行いました。参加者からは,自身の関心のある分野の理解を深められたことや,各テーマについて優秀な学生と実りのある議論ができたことについて,高い満足感・充実感が伺えるコメントや,来年はもっと議論の時間を増やしてもっと深く議論したいという意欲的な声が多く聞かれました。
 議論の結果は,分科会ごとにリーダー,サブリーダーを中心にとりまとめ,代表者が報告会で尾身政務官や参加学生の前で報告しました。

テーマ:日本の国連外交 国連創設75周年を迎えて
講師:野口有佑美 総合外交政策局国連企画調整課 主査

(写真6)分科会の様子1

  まず講師から,令和元年9月に実施された第74回国連総会ハイレベルウィークを振り返りながら,日本外交における国連についての講義を行いました。その後のディスカッションでは,「国連創設75周年の機会に国連等のマルチ外交の場で我が国として発信していくべきことは何か」について議論を行いました。
 参加者からは,「国連での日本の立ち位置についてリアルに考える機会となった。」,「実際に国際社会で日の丸を背負って働かれていた方の知見を踏まえ,自由闊達な議論をすることができ,大変満足した。」などのコメントが出されました。

テーマ:経済連携協定
講師:林位宣 経済局経済連携課 課長補佐

(写真7)分科会の様子2
(写真8)分科会の様子3

 まず講師から,EPA/FTAとは何か,世界経済の動向と我が国の通商政策,FATのプロ・コン(長所・短所),についての講義を行いました。その後のディスカッションでは,講師から例示された「日本の経済成長のためにFTA交渉をいかに推進するか」,「自由で公正な共通ルールの拡大におけるFTAの役割」,「今後のあり得べきEPA/FTA政策」という3つの論点に加え,学生達自身が「現状のEPA/FTAのメリット/デメリット」という論点を設定し,議論を行いました。
 参加者からは,「双方にとってwin-winとなる交渉が良いが,その妥協点,解決策案を見つける事が難しいと思った。」,「連携協定に絞って経済を議論する機会はこれまでになく,大変勉強になった。」などのコメントが出されました。

テーマ:気候変動外交
講師:西原史子 国際協力局気候変動課 課長補佐

(写真9)分科会の様子4

 まず講師から,身の回りの気候変動,気候変動外交とは,日本の気候変動に対する取組,今後日本が果たすべき役割,についての講義を行いました。その後のディスカッションでは,「政府,非政府がどう気候変動に取り組むべきか」,「日本として各国へどう働きかけるべきか」といった論点を学生自らが設定し議論を行いました。
 参加者からは,「外交という観点から気候問題を語るのは新鮮だった。」,「政府,民間,個人レベルで多角的に考えられて良かった。」などのコメントが出されました。

テーマ:外交政策における国際法の実践的活用
講師:岡部桂享 国際法局国際法課 課長補佐

(写真10)分科会の様子5
(写真11)分科会の様子6

 講師から,国際法とは何か,日本と国際法の歴史,外交の現場における国際法の活用方法について講義を行いました。その後のディスカッションでは,他の外交手段とも組み合わせつつ,「今後どのように国際法を活用すべきか」という論点で議論を行いました。
 参加者からは,「第一線で働かれている職員の方の生の情報・見解を伺えてよかった。」,「大学で国際法を勉強しているが,議論の機会はあまりないので,貴重な経験だった。」などのコメントが出されました。

報告会

(写真12)報告会の様子1
(写真13)報告会の様子2

 報告会では,各分科会のリーダー,サブリーダー役の学生達からの報告と,尾身外務大臣政務官からの講評が行われました。各分科会とも,限られた時間の中でそれぞれの論点を簡潔かつ明瞭にまとめて発表し,参加者からは「どの分科会の発表も内容が濃くてとても勉強になった。」,「短時間にも関わらず,密度の濃い報告が聞けた。」,「今まで自分の発想になかった意見が聞けて,ためになった。」,「皆さんの発言力,伝わりやすい発表の仕方に驚いた。」など,他の分科会の報告からの学びや,同世代の学生がリーダー,サブリーダーとして堂々と発表する姿に刺激が多かったことが分かるコメントが多数聞かれました。
 尾身政務官は,全ての分科会を見学し,報告会では一つ一つの分科会の報告・意見に対し,自身の経験や知見を踏まえた感想を述べました。
 結びに,同政務官は,外交(国と国の関係)は,最後は人と人,一人一人の人間力に関わっている。人との出会い,ネットワークは財産であり,本日のセミナーも活用してぜひ人のネットワークを広げ続けてほしい,参加者の皆さんの活躍を大いに期待する,とエールを送りました。

交流会

(写真14)交流会の様子

報告会終了後は,参加者同士に加え,尾身外務大臣政務官,基調講演者や分科会講師等を含む外務省関係者も交えた交流会が和やかに行われました。

参加者の感想

  • 職員の方々のお話,分科会,どれをとっても久々に自分のモチベーションを上げることができた。
  • 大変勉強になる1日だった。参加者のレベルの高さに今後もっと努力していこうと思った。
  • 勉強不足であることを痛感した一方で,日本が今後国際社会でプレゼンスを高めていくためには,知識があることは最低条件であって,発信力を強めていくことがより大事だと学んだ。
  • 私たち学生が話し合ったそれぞれの議論の報告について,実際に外国訪問や会談でどのように外交に携わっているのか,経験を踏まえて尾身政務官からコメントをいただけたことで,議論した内容に対する分析視点が増え,理解をさらに深めることができた。
  • 外交のプロから見た国際社会の現状や,そこから見える日本の課題に対する問題意識を率直に話してくださり,自分が普段ならば決して持つことのできない視点を知ることができた。
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