外務省セミナー「学生と語る」
令和6年度「学生と語る」(東北大学)
開催報告

令和6年11月6日(水曜日)、東北大学川内キャンパス(宮城県仙台市)において、外務省と東北大学の共催で、令和6年度「学生と語る」を開催しました。
基調講演
テーマ:歴史の転換点にある国際社会と日本の外交政策
講師:金子 万里子 外務副報道官


金子外務副報道官から、最近のウクライナや中東情勢、日本を取り巻く安全保障環境を含む情勢認識や日本が直面する課題について説明し、そのような情勢下で重要となるパブリック・ディプロマシー(各国政府による国際世論への直接の働きかけ)の潮流や、情報戦をめぐる課題について概説しました。最後に学生との間で、情勢認識を踏まえた日本外交の今後の取組やパブリック・ディプロマシーのあり方に関する質疑応答が行われました。
分科会
基調講演終了後、次の3つの分科会が開催され、各分科会では外務省員によるプレゼンテーション、質疑応答、参加者とのディスカッション等、活発なやりとりが行われました。
テーマ:国際法と日本外交 法の支配を通じた平和に向けた取組
講師:岡野 公彦 国際法課 課長補佐


岡野課長補佐から、外務省の中の国際法局の役割や国際法と実務について、自身の経験や外交官としてのやりがいを交えながら概説した上で、「法の支配」を通じた平和に向けた取組について、G7広島サミットの成果文書等を例示しつつ説明しました。参加学生との活発な質疑応答の後、最近のウクライナや中東情勢について、それぞれ国際法の見地から、参加学生と議論しました。
テーマ:国連と日本の防災協力「仙台防災枠組2015-2030」から未来へ
講師:西山 輝 地球規模課題総括課 主査


西山主査から、本年前半まで在勤していた国連日本政府代表部での経験を交えながら国連の概要を説明しつつ、「仙台防災枠組2015-2030」や2023年の中間レビューの結果を含む国際場裡における防災分野の潮流、さらに日本の国連や二国間での防災協力を事例を挙げつつ概説しました。これを踏まえ、仙台防災枠組の2030年以降の枠組に含めるべき要素等について、参加学生と議論しました。
テーマ:若者×ビジネス×アフリカ 第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けて
講師:熊谷 直樹 アフリカ第1課 課長補佐


熊谷課長補佐から、自身の商社に勤めていたこれまでのバックグラウンドを交えつつ、アフリカの強みである若者の多さ、市場の将来性や新たなビジネス・モデル等について概説した上で、来年8月に横浜で開催する第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を見据え、これまでのTICADプロセスの30年の歩みを踏まえたTICAD9へ向けたテーマ等について説明しました。質疑応答の後は、TICAD9でのイベント企画について学生と議論しました。
参加者の感想
- パブリック・ディプロマシーの説明を聞いて、これまで外務省に対して固そうなイメージを抱いていたが、世界の最先端を追いかけている、変化の過渡期にちょうどいるということに面白さを感じた。
- 今の日本がどのような外交政策を取っているか、また、現在求められている外交戦略を学生にも分かりやすく教えてくれた。
- 外務省における国際法にかかわる実務、日本の国益を意識しつつの平和に向けた取組を知ることができ、有意義だった。
- 仙台で採択された「仙台防災枠組2015-2030」や国連の話は大変興味深く、大学では学びきれない内容で、今回のイベントに参加する意義を感じた。
- 貧困や飢餓などのアフリカではなく、ビジネスが生まれる場所としてのアフリカを知ることができてよかった。