国際問題プレゼンテーション・コンテスト
第38回国際問題プレゼンテーション・コンテスト開催報告
令和4年11月5日(土曜日)、外務省は、第38回国際問題プレゼンテーション・コンテストを日本橋社会教育会館で開催しました。今回は、「我が国は2023年G7議長国として、どのような成果を目指すべきか」というテーマで「提言」を募った結果、59組(81名)の学生から応募があり、事前審査を通過した5組(9名)のファイナリストが本選に進みました。
冒頭挨拶で、小野日子外務報道官がファイナリストを激励し、続いて、各ファイナリストからプレゼンテーションが行われ、様々な視点から提言が披露されました。
石井正文(学習院大学法学部法学科特別客員教授/前インドネシア共和国駐箚日本国特命全権大使)審査委員長、秋山信将(一橋大学国際・公共政策大学院院長)審査委員及び小栗泉(日本テレビ報道局専門局長)審査委員が審査を行い、発表後には、審査委員から投げかけられる鋭い質問に対しファイナリスト達が熱意を持って答えていました。
受賞者の方々は次のとおりです。
受賞者の皆さん
【外務大臣賞】
「貿易とインセンティブを通した排出削減への「CBAM広島構想」」
- 早稲田大学政治経済学部3年 馬場 仁子(ばば さとこ)さん
- 早稲田大学政治経済学部3年 渡邉 航大(わたなべ こうた)さん
(外務大臣賞受賞者のコメント)
(渡邉さん)このたびは、大変栄誉ある賞を受賞することができ、今は、びっくりして心が整わないのですが、受賞できありがたく思います。政策の内容に関しては審査委員の方々と発表の時に熱く議論を交わせたと思いますので、この場を借りて、色々な人に感謝を申し上げます。
私たちは大学のゼミの同期として参加しております。今日は先生を始めゼミの同期が何人か応援に来てくれて、皆さんの存在が発表をしやすくしてくれましたし、力になりました。また、家族や、様々な大切な人たちが会場や、Zoomを通して見守ってくれて、嬉しかったです。 私たちは、もちろんどの賞を取るかということに注目していました。しかし、それ以上に様々なグループの発表を見て、どのグループも個性があって、どの提案も妥当性があり説得力があると感じました。この賞をいただいたことは本当に嬉しいですが、それ以上にこの場に参加して皆さんのプレゼンテーションを見ることができたことはとても貴重な経験でした。
(馬場さん)私も、とてもびっくりしているのですが、今回この賞をいただけてとても光栄に思っております。この経験を、今後の将来の糧にこれからも邁進したいと思います。
【優秀賞】
「『核兵器復権の時代』における新たな軍備管理計画」
- 慶應義塾大学総合政策学部3年 萬田 義和(まんた よしかず)さん
(優秀賞受賞者のコメント)
このたび、名誉ある賞を贈呈していただきましてありがとうございます。私は、核兵器の世界の現状を見て、核抑止こそが軍備管理の解決する策であると思っております。それは、中には受け入れがたい理論であると思われる方もいると思いますが、実際冷戦期の歴史を見ても軍備管理というのはなかなか難しい概念で、軍備管理をしなければいけないほど世界情勢が厳しくなっている。こうした難しい概念を取り扱ったのですが、結果として賞を受賞できて嬉しいです。
【奨励賞】(発表順)
「食料を全ての人へ 食料問題解決に向けての二つのアプローチとその考察」
- 京都大学法学部3年 和田 達哉(わだ たつや)さん
- 京都大学法学部3年 張 宇威(ちょう うい)さん
「アフリカ・ヘルスケア・イニシアチブ2023」
- 中央大学法学部2年 小林 多治生(こばやし たじお)さん
- 中央大学法学部1年 岡本 梨緒(おかもと りお)さん
「ユニバーサル・ヘルスケア・カバレッジ(UHC)の実現 ロシアのウクライナ侵攻によって分断された世界の再統合を目指して 」
- 獨協大学法学部3年 木村 美祐(きむら みゆう)さん
- 獨協大学法学部3年 秦 茉優華(はた まゆか)さん
講評
石井審査委員長
皆さんの発表はそれぞれ素晴らしく、順番をつけるのに苦労しました。この機会に一つだけ申し上げます。皆さん、まだ若くていらっしゃるので、今後、色々なことを考える際に、10年とか15年ぐらい先を見て、それぐらい長めの射程で、その時に世界がどうなっているのだろうかということを考え、それに向けて、今から、日本や国際社会は何をしたらいいか、そのために、自分は具体的に何ができるのかということを常に考える癖をつけられると良いと思います。これは皆さんが大学を卒業されてお仕事を選ばれる時にもそうだと思いますし、仕事される際にも、ビジネス、役所、メディアなどなど、どこに行かれても、おそらく同じような思考方法をするのが大事だと思います。そういう思考方法で、是非これからもいろいろなことに挑戦して頂きたいですし、本日は、正にそのための訓練の場だったのではないかと思います。このコンテスト、私も非常に楽しみましたし、皆様も同じように楽しんでいただいたと期待しています。本日はどうもありがとうございました。
秋山審査委員
今回この審査委員をやらせていただいて、非常に勉強になりました。これまであまり見てこなかった分野なども非常に細かく、しっかりと、事実に基づいて、そして自分たちの考えと、それからある意味では思想というか、世の中はこうあるべきだという考えに基づいた発表を聞かせてもらって、本当にいい時間を過ごさせてもらいました。特に日本のリーダーシップというものが単にG7そのものを成功に導くということだけではなくG7を通じて世界の秩序や、世界のあり方についてどのように影響を及ぼしていくのか、こうしたグローバルな課題について、我々はどのように取り組んで行ったらいいのか、どのようなリーダーシップを果たせるのかということをとてもよく考えさせられるようなプレゼンテーションだったと思います。本当にどのプレゼンテーションが一番いいのかと、順番をつけるのが申し訳ないくらい、皆さんいいプレゼンテーションされていました。こ一つだけご提案させていただくと、皆さん、すごくプレゼンテーションしっかり準備されてきたと思いますが、スライドの枚数が多すぎる気がします。話を聞くのと同時に画像やスライドを追うので、中身が時々入ってこないことがありました。それから、おそらく情報をいっぱい詰め込みたいと考えていたと思いますが、1枚1枚のスライドに非常に多くの情報があり、そして、いくつかのグループは少し早口かなという気がしました。言いたいことを言えるというのは非常に大事だなと思う一方で、これからはどれだけ言わないか、言わなくても真意が伝えられるということをトレーニングしていくといいかと思います。ただ、これは皆さんのプレゼンテーションの内容について何ら問題があるという話ではなくて、むしろ最初に述べたとおり、たくさん勉強させてもらいました。本当に皆さん自信をもってこれからも勉強してもらい、それから社会でもぜひご活躍いただければなと思います。本当に、皆さんおめでとうございました。
小栗審査委員
受賞された皆さんおめでとうございます。
今日、皆さんのプレゼンテーションを聞かせていただいて、本当にレベルが高くて驚きました。自分が大学生のころに何考えていたかなと思うと、とてもとても皆さんに及ばず、恥ずかしく思ったぐらいです。今日に向けて、皆さんがどれだけの時間とエネルギーを費やして準備したのかと思うと、頭の下がる思いです。私は、最近の社会の分断を非常に嫌だな、何とかならないものかなと思っていました。でも、皆さんのプレゼンテーションを聞かせていただいて、やはり分断の溝を埋めていくのは、知るというところからだ。知ることで、何か埋めて行けるのではないかなと思いました。今日、皆さんは、まず現状を知り、それから目標を立て、そのためにどうしたらいいのかというところを突き詰めたと思います。この考え方はおそらくこのプレゼンテーション・コンテストだけではなく、皆さんが社会に出てそれぞれの仕事についてからも様々な場面で生きる思考回路だと思います。ですので、皆さんはきっと社会に出てからもいい仕事をして、今のこの社会の分断を乗り越えていくのではないかと、大いに期待しています。今日のプレゼンテーションを土台にして、社会のために働いていただきたいなと思いました。本当に皆さんお疲れさまでした。