アメリカ合衆国

平成26年4月25日
 4月24日に東京で行われた会談において,安倍晋三内閣総理大臣とバラック・オバマ大統領は,二国間関係における優先事項として,東南アジア諸国との日米共同の関与と協力,志を同じくするパートナーとの外交上,経済上及び安全保障上の三か国間の連携,並びにグローバルな開発協力を確認した。日米両国は,これらのイニシアティブを通じ,アジア太平洋地域及び世界において,経済的な繁栄を促進し,安定を維持し,拡散を阻止し,男女平等を擁護し,そして普遍的な価値を促進するために取り組んでいる。

東南アジアとの協力

 日米両国は,東南アジアにおける積極的な関与の長い歴史を共有する。東南アジア諸国連合(ASEAN)が2015年までのASEAN共同体の構築に向けて一体性を一層高める中で,日米両国は,地域の諸国への共同の関与及び協力を深める意図を有する。日米両国は,東アジア首脳会議(EAS),ASEAN地域フォーラム(ARF),拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)において,地域の安定と繁栄を促進するためのこれら地域的なフォーラムの能力を強化するため,連携を強化している。
 
 日米両国は,この地域における民主的な価値を促進するための取組を歓迎する。この文脈において,日米両国は,過去数年の間にミャンマーが達成した著しい前進を認識する一方で,継続する諸課題に留意する。日米両国は,ミャンマーの政治及び経済改革並びに国民和解の取組への支援に対するコミットメントを再確認した。
 
 経済分野では,日米両国は,ASEANの連結性の強化に取り組んでいる。これは,日本の「日本・メコン地域諸国首脳会議」と米国の「メコン河下流域開発」とのより緊密な連携を通じたメコン地域における取組を含む。日米両国はまた,ASEAN地域における女性のエンパワーメントについての協力の更なる促進に取り組んでいる。この文脈において,日米両国は,カンボジアとラオスにおける女性起業センター設立のための「WECREATE Initiative」に共に取り組んでいく。
 
 日米両国は,直近では台風30号(「ハイヤン」)によって引き起こされた破壊に対する調整された両国の対応により示されたように,東南アジア及び世界における,防災,人道的な対応の提供,災害に強い社会の構築の支援に共に取り組むことを高い優先事項としている。日本の内閣府と米国連邦緊急事態管理庁は,災害から得られた教訓の交換を通じて,それぞれの緊急事態及び災害管理能力に関する協力を強化する意図を有する。日米両国はまた,ASEAN防災緊急対応協定(AADMER)作業計画第二フェーズに対する新たな支援の提供においても協力していく。さらに,日米両国は,ASEANの防災に関する取組の中心として機能するASEAN防災・人道支援調整センター(AHAセンター)を通じた防災及び災害救援において,ASEAN諸国との連携を強化している。この文脈において,日米両国は,日本からの情報通信技術システム支援並びに米国からのリスク評価指針の作成及び地域全土での自然災害についての情報伝達の改善に関する支援が成功裏に行われたことを歓迎する。
 
 日米両国は,巡視船艇の供与及び港湾施設の整備を含め,東南アジア諸国の海洋の安全及び海上安全保障に関するキャパシティ・ビルディング支援について連携することにコミットしてきている。日米両国は,共有された国際法のルールと原則を強化するために共に取り組んでいる。日米両国は,国際法に適合する形で共通の慣行を調整し,発展させるためのASEANの取組を歓迎する。こうした取組は,海洋の安全及び海上安全保障に関する事案に,ASEANが全体として効果的かつ時宜を得た形で対処することを可能にするものである。日米両国は,ASEAN加盟国の海洋の安全に関わる職員に対する教育及び訓練の提供を含む追加的な支援に関し,ASEANと更なる協議を実施している。米国は,海洋環境認識の分野において,拡大ASEAN海洋フォーラム(EAMF)の枠組みの下で米国によって提案された拡大ASEAN船員訓練(EAST)イニシアティブを日本が支持していることを歓迎する。日米両国はまた,東南アジア諸国の航空安全に関する能力を構築するための協力を強化する必要性を強調している。
 
 日米両国は,開かれた,相互運用性のある,安全かつ信頼できるサイバー空間のための各国,特にASEAN地域の国々の能力を構築するに当たり,これらの国々に関与していくことに対するコミットメントを共有している。このコミットメントの裏付けとして,日米両国は,サイバーセキュリティ上の事案への対応に取り組み,先端技術による犯罪を抑止し,リスク削減のためのサイバーに関する信頼醸成措置を発展させるための国際的及び地域的な取組において連携している。
 
 日米両国は,東南アジアにおける地雷及び不発弾は,人道上の問題であるのみならず,平和と安定の維持を妨げ,開発の取組を阻害するものであるとの認識を共有する。日米両国は,この問題への対処に関する協力を強化し,ASEAN等の多国間のフォーラムを通じた地域の協力を支持する意図を再確認した。

拡大する三か国間の連携

 日米両国は,アジア太平洋地域及び世界における安全,安定及び繁栄に対する共有されたコミットメントを促進するため,第三国のパートナーと緊密に協力している。例えば,日本,米国及び韓国の三か国は,最近のハーグにおける日米韓首脳会談において三か国の首脳が再確認した目標である,北朝鮮の完全かつ検証可能な非核化に向けて協力する。日米両国は,北朝鮮による挑発行為,及び北朝鮮が核・ミサイル開発計画に関する自らの国際的なコミットメントの履行を拒否していることに対して,更なる行動をとる用意がある。北朝鮮の核及びミサイルの脅威に対応するため,日米両国は,こうした脅威に対する包括的で協力した対応に資する形での,日米韓三か国間の情報共有の重要性を認識している。4月7日の日本,米国及び韓国の六者会合代表による会合並びに4月17日及び18日の防衛実務者協議(DTT)は,北朝鮮に対する外交・安全保障政策に関し,三か国が緊密に連携するとのコミットメントを示した。日米両国はまた,北朝鮮に対し,北朝鮮の人々に対して行われている組織的かつ深刻な人権侵害に対処すること,及び北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)の報告書の結論及び勧告につき,拉致被害者の問題を含め,対処することを共に強く求めた。
 
 日本,米国及び豪州は,日米豪閣僚級戦略対話(TSD)の下で,不拡散,テロ対策,地域の安定及び持続的な経済の繁栄といった重要な課題に関し,定期的かつハイレベルでの連携を実施している。TSDにおいては,太平洋島嶼国問題,東南アジア,テロ対策及び不拡散に焦点を当てた作業部会において,三か国の実務レベル担当者が協力している。さらに,日米豪安全保障・防衛協力会合(SDCF)は,2007年以降,人道支援・災害救援,地域のキャパシティ・ビルディング,海上安全保障,地域の安全保障問題の状況といった分野に焦点を当てており,防衛及び外交当局者は,この会合の下で協力している。
 
 日米両国はまた,特に,インド洋及び西太平洋における海上安全保障,地域の連結性を強化するための域内国間でのインド・太平洋経済連結回廊の整備及び人道支援・災害救援の分野における協力を含む,地域的及びグローバルな幅広い課題に関し,インドとの活発な三か国対話を実施している。第6回目となる次回の日米印協議は,本年初夏にニューデリーで実施される予定である。

世界における開発の促進

 日米両国は,極度の貧困を撲滅し,経済的機会を増大させ,強靱で民主的な社会を可能とすることにより,人々の苦しみを和らげることを目標として緊密に協力している。
 
 2月20日,日米両国は,ワシントンD.C.において,初の高級実務者レベルによる日米開発対話を開催した。同対話において,日米両国は,女性の経済的なエンパワーメント及び保障,防災,並びに東南アジア及び太平洋島嶼国における地域協力を含む開発に係る幅広い課題に関して,二国間の開発協力を深めることについて協議した。日米両国はまた,野心的で説得力のあるポスト2015年開発アジェンダの設定に関する対話を強化することにコミットしている。
 
 日米両国は,世界における女性の安全保障及びエンパワーメントの促進に積極的に関与している。インドにおいて,日米両国は,デリーにおけるUNウーマンの「安全な街づくりプログラム」を共同で支援していく。このデリーでの取組は,女性及び女児のエンパワーメントを進めながら,地域社会,サービス提供者及び保安職員との戦略的な連携を通じて,都市の公共の場における性的暴力を防ぐことを目的とした,UNウーマンの「女性への暴力のない安全な街作り」グローバル・プログラムの一環である。
 
 2014年5月にカメルーンのヤウンデで開催が予定されている第一回TICAD(アフリカ開発会議)V閣僚会合を始めとするTICADプロセスを通じて示された,アフリカ開発に対する日本の強いコミットメントの一環として,また,女性に自らビジネスを立ち上げるための手段を提供することの証明された価値を認識して,日米両国は,アフリカの女性起業家のエンパワーメントに共に取り組んでいる。米国は,2月に横浜において日本が主導したアフリカの起業家及び政府職員のためのプログラムに参加し,また,日本は,2014年夏のアフリカの女性起業家のための米国国際ビジター・リーダーシップ・プログラムを支援している。日米両国はまた,米国アフリカ女性起業家プログラム及び日アフリカ・ビジネス・ウーマン交流プログラムを通じて,アフリカの女性起業家に対する職業開発及び能力構築の支援を提供するために連携していく。さらに,米国国際開発庁(USAID)は,タンザニア,ガーナ,ルワンダ,セネガル及びモザンビークにおけるグローバルな食料安全保障を支援する取組を調整するために,日本の国際協力機構(JICA)及び外務省と連携している。日本は,米国が2014年8月にワシントンD.C.で初の米・アフリカ・リーダーズ・サミットを開催することを発表したことを歓迎する。

将来に向けて

 日米両国は,アジア太平洋地域及び世界における平和,強靱性及び繁栄を促進するため,両国のグローバルなパートナーシップを活用する方法を引き続き追求していく。日米両国は,将来に向けて緊密な連携に関する取組を継続することを期待している。

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