カナダ
日加共同声明(仮訳)
1 二国間関係
岸田文雄日本国外務大臣及びステファン・ディオン・カナダ外務大臣は,本日会談し,共有された価値及びより繁栄し平和な世界への共通の展望の下に築かれた日カナダ間の強固な二国間関係を強化した。ディオン大臣は,日本がG7の議長であることを歓迎し,両大臣は,二国間のダイナミックな関係を増進し深化させるために定期的な対話を行いつつ,地域的及びグローバルな課題に共に取り組むことへのコミットメントを表明した。また,両大臣は,G7広島外相会合及びG7伊勢志摩サミットの成功に向けて,共に取り組む決意を再確認した。
岸田大臣とディオン大臣は,貿易国家として,新しい,革新的な技術が全ての人々にとっての経済的及び社会的成長に貢献することを確保しつつ,世界経済の発展によりもたらされる新たな機会を活用するために,日本とカナダが共に取り組むべきであるとの見方を共有した。両大臣は,両国間の経済的な対話を強化し,イノベーションを増大させるために新たなパートナーシップを構築し,ビジネス間のつながりを促進することを約束した。また,両大臣は,鉱物,金属及び林産品の現在の貿易や,これらの分野の成長の潜在力に留意した。
日本とカナダは,雇用を創出し,持続可能な経済発展を促進する戦略的手段として自由貿易を強固に支持する。両大臣はまた,2月4日のオークランドでの,貿易及び投資の全ての側面を包含するTPP協定の署名を認識した。日本とカナダは,両国の国内の議論を進める。
両大臣は,(1)エネルギー,(2)インフラ,(3)科学技術協力及び(4)ビジネス環境の改善という主要分野における協力を強化する意図を確認した。
岸田大臣は,カナダのLNGの日本への輸出を早期に実現することへの関心を表明し,このためのカナダの協力を呼びかけ,これに対し,ディオン大臣は,安定したエネルギー供給の重要性を認識して前向きに応えた。両大臣は,クリーン・エネルギーに関する協力の重要性に留意した。
両大臣は,人的交流が強固な二国間関係のための基盤を形成するとの見方を共有し,様々なレベルで交流を強化することへのコミットメントを確認した。
両大臣は,地域及び国際的な平和,安定及び繁栄への共通の関心並びに国連,G7,G20及びAPECを含む多国間及び地域のフォーラムにおける両国間の長く伝統的な協力を継続することの重要性を強調した。
2 地域情勢
両大臣は,1月6日の北朝鮮による核実験及び2月7日の弾道ミサイル発射を強く非難した。両大臣は,北朝鮮の度重なる挑発行動は,国際の平和と安全にとり重大な脅威であり,関連する国連安保理決議を含む国際的な義務に違反するものであることを強調した。両大臣は,北朝鮮に対し,これ以上のいかなる挑発行動も自制し,全ての関連する国連安保理決議及び2005年の六者会合共同声明を遵守するよう求めた。さらに,両大臣は,北朝鮮に対し,人権侵害を直ちに終わらせ,拉致問題をはじめとする国際社会が提起しているその他の懸念に可能な限り早期に対応するように求めた。
両大臣は,海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)を含む国際法の諸原則に基づき,ルールに基づく海洋秩序の維持へのコミットメントを再確認した。両大臣は,紛争の平和的解決,及び国際法に則った,世界中の海洋の自由で阻害されない利用の重要性を強調した。また,両大臣は,G7エルマウ・サミット首脳宣言に改めて表明されているように,威嚇,強制又は武力の行使,及び,アジア太平洋における現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対する。
3 グローバルな協力
両大臣は,G7及び軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)における共同の取組を通じたものを含め,核兵器のない世界の実現へ向けて,軍縮・不拡散の分野で引き続き協力することへの決意を再確認した。
また,両大臣は,全ての国に適用される,気候変動に対する世界的な取組みのための歴史的な枠組みであるパリ協定の採択を歓迎した。両大臣は,G7がパリ協定の早期発効及び実施を促すために世界的なモメンタムを形成する機会であることに留意した。さらに,両大臣は,持続可能な開発のための2030アジェンダの実施に関する協力の機会を追求することを確認した。また,両大臣は,女性のエンパワーメント,サイバー,宇宙,及び北極等の分野での協力を更に模索すること,及び,開発についての協力強化の可能性を検討することの重要性についての認識を共有した。
両大臣は,平和維持活動,テロ対策,人道支援及び災害救援の分野を含め,平和及び安全保障に関する協力を強化し拡大することにコミットした。ディオン大臣は,平和安全法制を含む「積極的平和主義」に基づき日本が世界の平和,安定及び繁栄のためにより一層積極的な役割を果たすことを歓迎した。両大臣は,日加物品役務相互提供協定の完結が両国間の平和と安全保障に関する関係を拡大する重要な要素であることを強調した。