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(令和4年4月1日)

令和4年4月1日
入省式で挨拶する林外務大臣
入省式の様子

 入省おめでとうございます。外務大臣として皆さんを心から歓迎します。
 
 現在、国際社会は時代を画する変化の中にあります。まず、現在ウクライナにおいても顕在化しているように、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則、そして冷戦期から冷戦後にかけて確立された国際秩序が、地政学的に様々な挑戦にさらされる水平的変化が見られます。また、グローバライゼーションやソーシャルメディア等によるデジタル化などの新興技術の発展に伴い、テロやサイバー攻撃など新たな脅威が生じているとともに、NGO等の非国家主体の役割の重要性が増すなど、垂直的変化もダイナミックに見られます。こうした激しく変動する国際社会の中で、日本を取り巻く環境もまた厳しさと不確実性を増しています。
 
 このように国際社会が困難を抱える時代においてこそ、外交の役割は高まり、外務省に求められることもまた大きくなっています。その中で皆さんは、世の中に数多と存在する職業人生の選択肢から、ここ外務省で働くことを選ばれました。外交を通じて、明日の日本と世界を創るのは、他でもない皆さん自身です。共に日本外交の新しいフロンティアを切り拓いていくことを楽しみにしています。
 
 外交とは、国益を実現するための交渉による国際関係の処理であると言われることがありますが、この国際関係の中核には人と人との関係があります。私自身も、昨年11月の外務大臣就任以来、各国のカウンターパートとの間で、主張すべきは主張しつつも、本音で話し合える信頼関係の構築に努めてきました。こうした信頼関係の構築において「言葉」は必要不可欠となります。「言葉」という楽器がなければ、「外交」という楽曲を演奏することはできません。皆さんには、言葉の響きに重みと魅力を持たせられるよう、英語力をはじめとする語学力の研鑽に努めてもらいたいと思います。そして同時に、幅広い業務に取り組み、多様なバックグランドを持つ世界中の人々と交わる中で、人としての魅力を身につけ、言葉にさらに重みを持たせられる人間力のある外交官となることを期待します。外務省員一人ひとりの成長こそが日本外交の発展です。
 
 また、絶えずめまぐるしく変化する世界にあって、どのようなサーブにも対応するテニス・プレーヤーのような「低重心の姿勢」も不可欠です。決して浮足立たず、激動する国際情勢を冷静に評価した上で、対応力の高い外交を推進することが重要です。さらに、今求められているのは、現実と時間軸を見据え、一見矛盾するような立場も2つの円に分かれないよう両者をまとめ、1つの楕円の中に包含する外交です。皆さんには、大局的な視点から日本の進路を考え、単純な解が存在しない相矛盾するような課題にも粘り強く向き合い、国際社会を主導する日本外交を展開してほしいと考えます。
 
 最後に、皆さんは今後、外交のプロフェッショナルとして日本の国益を背負って立つことになりますが、そこには常に国民一人ひとりの想いがあることを忘れないでほしいと思います。国家公務員としての自覚と責任を持ち、広く国民の声に耳を傾け、思いやりと配慮する気持ちを忘れずに、謙虚に職務に取り組んでください。諸外国からの信頼だけでなく、日本国民からの信頼を維持することもまた、我々の責務です。
 
 「不易流行」―不断の改革を通じ、守るべきところは守る。そして変えるべきところは変える。言い換えれば、時代を経ても変わらない理念や原則を堅持しつつ、国際情勢の変化を捉え、自らの変化もいとわない。本日外務省に入省した皆さんが、その新しい力を日本外交のために余すところなく発揮されつつ、先人たちの努力により得た日本への信頼を守り、次の世代に引き継がれることを期待しています。皆さんの今後の活躍を祈念し、私の挨拶とさせていただきます。


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