政策評価

平成28年9月9日

1 日時

 平成28年7月22日(金曜日) 14時45分~16時40分

2 場所

 外務省

3 出席者

(有識者)(五十音順)
秋月 謙吾 京都大学大学院法学研究科 教授
神保 謙 慶應義塾大学総合政策学部 准教授
南島 和久 新潟大学法学部 教授
福田 耕治 早稲田大学政治経済学術院 教授
(外務省)
船越大臣官房総務課長,鈴木大臣官房考査・政策評価官,村岡大臣官房ODA評価室長,濱本総合外交政策局総務課主任外交政策調整官,中川総合外交政策局政策企画室首席事務官,山下会計課総務室課長補佐ほか

4 議題

  • (1)平成28年度外務省政策評価
  • (2)行政事業レビュー

5 発言内容

(1)平成28年度外務省政策評価等について

【外務省】
 本日はアドバイザリー・グループ会合に出席いただき幸甚。当省政策評価への多大なるご協力に感謝申し上げる。今回は当省の10施策についての2年度分の評価である。すでに先生方からは貴重なご意見をいただいているが,更に評価書を向上させるためにお気付きの点があれば何なりとご意見いただければ幸甚。前回の会合でもご説明したとおり,いくつかの改善努力,具体的には判定基準については寄与度の軽重による調整を施す,あるいは評価書や事前分析表の記述に関しては因果関係を念頭に置いた評価や目標設定を行う,実績や成果に関する事実関係の記述を充実させる,外務省以外の主体についても明示する等の努力を行った。ただし,様々な観点から不十分なところや,私共の記述に関して至らない点もあろうかと思うので,是非アドバイスやご意見を頂戴したい。日々我が国を取り巻く外交環境は厳しいものがある中で,アドバイス・ご指導を頂戴しながら一日一日丁寧に外交を実施したいと考えているので,今後とも先生方のご指導をよろしくお願いしたい。

【外務省】
 今年評価対象となる10施策について事前にいただいたご所見及び本日の会合でいただくコメントについては,本日回答できるものは回答させていただき,回答しきれなかったものについては,省内で調整の上追ってご相談させていただく予定である。いただいたコメント等は大まかに3つの方針で取り扱っていきたい。一つ目はコメントを踏まえ評価書の記述を追記し向上させる,二つ目は評価書への追記等は事情により困難であるが,ご指摘の点についてはその背景事情等を説明させていただきたい。三つ目は全般的なあるいはクロスセクターなご意見や今後の評価の制度や仕組み等の改善につなげていくもの,現時点で評価書への反映が難しいものに関しては評価書に掲載して広く世に問いたい。それでは先生からのコメントをお願いしたい。

【有識者】
 まずは大枠の話,その後で個別の話をしたい。今回全般的に○(目標を達成した)が多く良い評価になっているということは非常に良いことであり,私としても公平な評価がなされていると思っているのと同時に,日々の外務省の皆さんの努力によって自己評価が高いのは良いことだと思っている。過去数年間,政策評価に関わらせていただいているが,恐らくこだわりなく○を付けられる環境になった最大の理由というのは,政治的に安定しているということが非常に大きい。つまりトップがどんどん替わって予算執行に関しても方針が全く定まらないという状況の中で評価がなされることと,単年度及び複数年度にわたる目標がしっかりとできて,それに向けたリソース・アロケーションができるということが,いかに役所,特に外交を進めるということにおいて大事なことかということが分かる。今回の評価の対象である「施策Ⅱ-1 国際の平和と安定に対する取組」,「施策Ⅱ-2 国際経済に関する取組」その他広報も含めて,単年度で成果が出るものは限られていることを考えれば,複数年度にかかる目標が現在全項目的に設置できていることは大変すばらしいことだと思う。これが全般的に感じたことである。
 個別の点につきいくつかコメントしたい。
 まず「施策Ⅱ-1-1 中長期的かつ総合的な外交政策の企画立案と対外発信」は主に外部有識者・シンクタンクとの連携と,中長期的・戦略的外交政策の対外発信が中心に置かれていて,予算的にも外交政策としても強化されているのは良いことだと思うが,評価の指標が非常に大事である。第一にそのような中長期的な戦略目標に,どのような適切なアジェンダ設定がなされているか,そして今の日本のシンクタンクの現状はどちらかといえば曲がり角にある状況において,日本国際問題研究所は当然中核にあると思うが,どれだけその他の民間の研究組織等に目を向けた,いわゆる全国的な外交の議論の底上げということに寄与しているか,このような点を重視する必要があるのではないかと思う。単に予算執行が増えたという点だけではなく,具体的に適切なアジェンダ設定があったか,更に日本全般の議論の底上げにどこまで寄与したかについても評価がなされることが望ましいと思う。
 これは広報文化交流・報道対策にも関わり,2年前の評価時にも申し上げたとおり,外交をとりまく言説,メディア媒体も世界の中で大きく変動しているのは間違いない現象で,今まで広報というとどちらかというとニューヨーク・タイムズ紙にop-edを載せたとか,プレスリリースを何回出したからとても良かったという評価になりがちである。しかし,今や多くの政治を動かしているポピュリズムの潮流において,そのような媒体が各国の日本に対する言説の印象にどれほど影響を与えているかについてのクロス評価も非常に重要であると考える。従って,世界中のメディア媒体の構造変化,特にこれがネット空間に入り,また正規の大手メディアからブログやバズフィードのような極めてソフト媒体そしてモバイル媒体に情報空間が移っていくなかで,機動的な広報を目指していく必要性が非常に大きいと考える。どれだけの人が読んでいるブログにおいてリポストがされているか,どれだけリツイートがされているか,学者もよく論文の引用回数によって学者の評価を見るが,言説がどれだけ広がっているかという分析を含めて,つまり自分たちの領土に対する主張や日本の立場に対する主張がどれほど多くの層に浸透したのかという指標が政策評価に入るとよいのではないかと感じた。
 私は「国際の平和と安定に対する取組」に関心がある立場からこちらに重点を置いて述べるが,日本の安全保障に係る基本的な外交政策,これは主に総合外交政策局安全保障政策課の担当領域と理解しているが,特にアジア太平洋安全保障にかかる二国間対話は各省庁あるいは各部局にもまたがるクロスセクター的な意味を持っていると思う。従って,ARFで信頼醸成や外交にかかる成果を上げたことを評価するのと同時に,例えば,伝わる相手はほとんど同じである東アジア・サミットや防衛省が行っているADMMプラスといった枠組みとどれほど連動していたかという指標はとても大事だと思う。私は毎年シャングリラ・ダイアローグに出席しているが,昨年は総理がディナー・スピーチで極めて力強いメッセージを出されて,それが防衛大臣に引き継がれて具体的な政策に移っていくという大変良い連携がなされていて,日本のプレゼンスは地域安全保障の中で数ランク上がったと私自身は評価している。その翌年も含めこのような主要な地域外交の場において,各省庁及び各部局の間でどれほどコンセプト(概念)と具体的なメジャーズ(手段)についての連動がなされているか,例えばシャングリラ・ダイアローグにおいて,大臣が話す時には前年度に総理大臣が話された内容がレファレンスされているのは当然だと思うが,必ずしもそこまでの浸透度が無かったという印象がある。評価において,日本がクロスセクターにおいてどれほどしっかりとお互いにクロスレファレンスをしているかということが大変重要だと考えている。国際平和協力,国際テロ等に関しては,昨年平和安保法制が成立し,当然のことながら法的な範囲において何ができるかという守備範囲は広がっていくと思う。当然,国際平和協力に関する考え方や今後,多国間コアリションにどのような後方支援をしていくのか,邦人保護に関して期待されていることは何かということを考えると,この法制が成立する前と後で評価の指標が変わってもいいのではないか。以前は,法律がないからできなかったが,ここまでやりましたとなるが,法律が通ったことによってできることが拡大し,その拡大への政治的な期待,国民の期待にどれほど応えられたかについて,今後,評価指標を設定する際には法制成立後の新たな指標を設置していくことが望ましいと考える。

【有識者】
 総論として,いくつか要望してきた点が実現されており,例えば単年度評価だけであったのが,中長期を含めた評価が取り入れられるようになったのは評価として適切だと思う。政策評価の横断的なリンケージについても少しずつ触れられているというのを感じた。さらに望むべくは,現在ヨーロッパあるいは開発の分野でよく学問上も議論されている「政策一貫性」,例えば安全保障政策と開発援助政策,あるいは安全保障政策と環境政策がリンクした時どうなるのか,貿易とリンクした時どうなるのかという視点,または開発援助政策の中でもやや目的の異なる複数のものがODAの目的と重複する場合に政策の一貫性があるのかないのか,という視点がある。複数の横断的な公共政策がリンケージした場合にどう評価していくのか,この点は,例えば人間の安全保障関連で,例えばMDGsが終わってSDGsになるという流れの中で保健・衛生・医療関連の開発支援の場合,その評価のあり方が今までのままでいいのか,あるいは医療分野でよく使われるような医療技術評価の仕組みと連携していく必要があるのか,より下位の評価の仕組みも考えてはどうかということも感じている。
 政策評価全体において,例えば6月に閣議決定された「日本再興戦略」でKey Performance Indicator,重要業績指標が掲げられたが,そのような政府全体の政策・指針のなかで外交政策の評価をどのように位置付けていくのか,そのような評価の指標と,より下位になる外交政策レベルで指標がさらに細かく分かれていく中で指標間の関係をどのように扱っていくのか,そのようなことも将来的には検討する必要があるのではないかと感じた。
 従来から言われているように,評価対象とする必要がどの程度あるかを考える必要もあろう。特に外交政策の場合,定量的に捉えられないことが多い。目標管理型の政策評価がほぼ定着してきた一方で,モニタリングの活用によって,事務の負担軽減を図ったり,目標管理型の政策評価にふさわしい施策であるかどうかを検討して目標設定を行い,達成手段とその効果も勘案し,ロジックモデルの構築を行って定量化していくとともに,必ずしも定量化になじまない場合は定性的な評価も同時に取り入れていくことや,最近取り入れられつつあると思うが,参考指標も取り入れることにより,複合的な評価指標で定性的な要素を持つものもPDCAサイクルに入れられるような形で評価をしていくことも必要かと思う。費用便益分析を中心とした定量化を行い,予算に反映させるということが長く言われてきたが,そのような定量化指向を越えてさらに質的な評価,定量的評価を補完するような評価のあり方,クオリティを問うような評価のあり方もある。例えば保健医療では質調整生存年という評価を行うが,そのような形で人間の安全保障はどの程度実現したかを示す時に平均余命にどの程度反映されたかというアウトカム的な評価をするのも一つのあり方かと思う。つまり政府がどれだけお金をかけたかということだけではなく,人間の安全保障であればUNDPが指標化しているような多くの指標も評価の中に入れていくのがいいのではないかということを評価書を読んで感じた。
 用語の問題であるが,「国際公共財(グローバル・コモンズ)」という用語が何カ所か出てくるが,アマルティア・センやUNDPのインゲカールによる用語であれば「地球公共財」の訳の方が望ましいのではないかと思う。海洋問題であれば伝統的な国際公共財,International public goodsの概念で論じることができると思うが,地球空間やサイバー空間や宇宙空間というレベルあるいは国境を越える感染症の問題等になると,従来の国際公共財の概念よりは地球公共財の概念の方がふさわしいと考える。国際公共財と地球公共財を峻別して捉えるような策もあっていいのではないかと感じた。

 

【有識者】
 私もかなり長く政策評価に関わっているが,政策評価というのは国民のために政府がやっていることをオープンにする意義がある,そのためできるだけ分かりやすく書いてほしい。しばしば難しい用語というか身内の言葉が出てくる。組織内のジャーゴンとテクニカル・タームは違う。テクニカル・タームには素人には分かりにくいかもしれないけれども一定の定義等がある。一方で,政治でも役所でもあるいは大学にもあるかもしれないが,身内同士の簡略語が評価書に散見される。その点を中心に見ると,例えば二国間,多国間を示すバイ,マルチ,またデマルシェというのも共同提案の方がいいと思う。外交用語としてテクニカル・タームに近いものも含め,一般市民が読んで解説が必要だという用語はグロッサリーとして最終ページにまとめて解説するか,読みやすさを考えてそのページの下に解説を付すのが必要なのではないか。今のような観点でできるだけ分かりやすい表現を心がけていただきたい。
 表現として気になった点についても申し上げる。評価書「施策Ⅵ-1 経済協力」に「地方自治体の国際展開支援のため,水の浄化,廃棄物処理等の分野で知見を蓄積している日本の地方自治体と連携した途上国支援等を実施した。」とある。簡単に「水の浄化や廃棄物処理等の分野で知見を蓄積している日本の地方自治体と連携した途上国支援を実施した」とすれば何の問題もない。これはリダンダンシー(重複)の問題と,「地方自治体の国際展開支援」という概念の問題がある。私は地方自治を中心にやっているので,JICAを通じて自治体の方々が短期専門家として派遣されたり,あるいは研修生を受け入れたりして努力をされているのは分かるが,地方自治体側は別に国際展開したいとは思っておらず,頼まれたら嫌とは言いませんという感じなので,ギャップというか温度差がある気がする。中小企業等が海外展開支援のため案件化調査,普及・実証事業,民間技術普及促進事業等や無償資金協力を実施したというのは違和感がない。地方自治体の場合は相手国があり,地方分権なり何なりノウハウが蓄積された後は自分でやってもらおうということで,姉妹都市等でない限り基本的にはその後の展開はない。中小企業の場合は商売につながることもあるかもしれず,その辺りが違うような気がする。また,国連改革の部分で「異動(モビリティ)施策についての議論が進展した。」とあるがよく分からなかった。
 国民に分かりやすく説明するという点に立ち返り,用語及び文章レベルでできるだけ分かりやすい表現,文章を心がけていただきたい。

【有識者】
 事前に出した所見の解説のような形で話をしたい。改めてとても勉強になった。大変誠実に書いていただいていると思う。他方,まずはこの膨大な作業は大変負担がかかるのではないかと思われる。コンパクト化,重点化を更にできないかと思っている。ただ要領よくやらないとミスリードが出てくるので難しいところである。外交青書やODA白書もあるのでバランスの中で考える論点と思う。引き続きその点は模索していただきたい。
 この論点は、評価書がどちらに向かって情報を発信するのか、すなわち国民に向かって説明をするというスタンスであれば,外交青書の方がよほど親切ということになると思うが,そちらの方にもっと近づけていくことを考えるのか,あるいは幹部等に対する,今このようなことが起きているという注意喚起情報として使うことを考えるのか,という方向性の話だと思われる。今後どちらの方向性とするのか,より分厚くなっていくのか,より整理されていくのか,それが課題である。
 一方で,目標管理型評価自体は一種のフィルターとしての役割、すなわち重点化分析の前段階のものという位置付けもあった。その観点から幹部に対する注意喚起情報として使っていくという方向も少しお考えいただいてもいいところに入ってきているのかと思う。そうするともっとコンパクトにしていかなければならないということになる。どちらの方向に向かっていくのかの方向感覚はあっていいのかと思う。もし幹部に対する注意喚起情報ということになると,総合外交政策局ともっと協力していかなければならないということになると思う。
 なぜそのようなことを申し上げるかというと,所見でも複数の施策に関連するコメントとして指摘したが,注意喚起情報として見なしうるのは評価書内の「目標の達成状況」の◎,○,△で,これが全体を総括したような情報になっている。一つの課題としては◎,○,△の情報をどれくらい信頼していいのかという点に懸念がある。私なりの解釈で全体に関連するような点を4点にまとめると以下の通り。一つ目は目標設定が過小である場合やそもそもの目標設定を不問としたままで目標の達成度だけを機械的に◎,○,△と表現してよいものか,ミスリードにつながらないかという点である。二つ目は外交政策全体に言えるが,外部要因の大きいものについてである。すなわち相手国がある場合に◎,○,△で評価すると,例えば条約や協定の場合,協定を結べたら◎,不調に終わったら△のように書かれているが,これは外部要因を評価している,要するに外務省の行政活動を評価していない,果たしてそれでいいのかという問題である。政策評価は「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき,外務省の政策評価は部局別,つまり行政機関の組織別になされているのに,組織の活動を評価しないで客観状況を評価するということになってしまう,アウトカムというとそういうことになってしまうわけだが,果たしてそれでいいのかということである。三つ目は,協定等の評価について協定が締結されれば◎,協定の締結に向けた努力が重ねられていれば○,協定が不調に終わっている場合は△というのは一見分かりやすいように思われるが,協定の特性,難易度等も深く関係していると思われるが,それを横並びで見ると難易度や特性を無視してしまうということにもなるのではないかという点である。そうすると公平な評価にならないので,注意喚起情報としてどのくらい信頼して見ていいのか,補足説明等でしっかりと説明しないとミスリードにつながりかねないと少し心配している。四つ目は「行政事業レビュー」,「秋のレビュー」,「会計検査院の指摘」,「総務省の行う政策評価による指摘」他予算執行調査等もあるかと思うが,これらを評価書に記載し,どのようにフォローアップしているかを書いた方がいいのではないかという意見である。最後の点は,組織活動を評価するのであれば,まさにこの点をどのように乗り越えているかを書くのが,外交青書やODA白書との差別化においても意味があるのではないかと思う。

【外務省】
 ありがとうございます。私の方で答えられる範囲で順に答えていきたい。
 まず,それぞれの先生方から長く政策評価に関わっているが,随分と充実してきたというお褒めの言葉をいただき感謝。一方で去年に比べると1.5倍ぐらいの分厚さになっているのではないかと思う。私も着任して1年だが,これは法律でやらなければならないので,ここまでのものをほぼ全課室に作業させているが,評価疲れという言葉があるように,ここまでやるべきなのかということはこの厚さを見て自問している。目標管理型を導入し重点化も行っているが,来年度は基本計画の最終年度となり,新たに基本計画を立てることになるので,それを機に仕組みも検討して少し変えていきたいと考えている。その際に先ほどご指摘のあったような方向性の問題も検討していきたい。ただ,政策評価は国民に説明責任を果たすというのが大きな目標で,もちろん省の中でPDCAを回して我々の政策を改善していくという側面もあるが,どちらかと言えば国民向けなのではないかと個人的には考えているので,そこも省内で議論していきたいと思う。
 シンクタンクとの連携については,シンクタンクの底上げはまさに日本全体の問題だと思っており,そのために総合外交政策局政策企画室もいろいろな予算を使ってやっている。ただ,外務省の評価書全体に言えることだと思うが,なかなか効果が見えにくい中で指標の設定も相当苦労している。来年度以降の評価書の中でもう少し明示的に効果が見えるように指標の設定を考えていきたい。
 同時に広報文化関連部分も,クロスセクターでどれだけ効果があるのか,今,広報の重要性が叫ばれていて,広報文化組織のみならずいろいろな部署が広報予算を獲得して取り組んでいる中で,それぞれがどのように効果を及ぼし合っているのかが評価できていない。この評価書は部局単位で評価をしており,残念ながら部局間のすり合わせは時間の制約もありあまりやっていないので深く掘り下げた効果測定というのができていないが,やはり予算を有効活用するという意味では,クロスで効果を見られるような指標の開発が必要だと考えるので努力していきたい。
 その点は安全保障政策関連部分も同様で,省内のみならず関係省庁あるいは他の民間団体も含めて安全保障問題について外務省あるいは他の主体がやっていることがオールジャパンとしてどのような相乗効果を出しているのかというのはよく考えながらやっていきたいと思う。平和安全法制の部分は感謝。なかなか効果を見いだしにくい,指標として設定しにくいということはあるが,来年度は本格的な適用後の評価年に当たるのでしっかりと考えていきたいと思う。
 中長期的な評価をきちんとすべきという点で,その期待に応えてくれているというお褒めの言葉に感謝。今後もクロスセクターや長い目で見た点をきちっと評価していけるようにやっていきたい。指標についても様々な指標の利用につきご示唆いただいた。外務省の政策評価は数量指標が少なく,どの部署も困っている。我々もアドバイスはするが,どの部署もとても真面目で,例えば人間の安全保障の支援によって寿命がどれだけ延びたかという指標について言えば,寿命が延びたというデータは当然UNDP等にあるが,それは我々が支援した人間の安全保障基金,あるいは何らかの無償資金協力だけで伸びたわけではない,当然のことであるが,全世界が支援をして,当該国政府も恐らくいろんな措置をして,あるいは医療業界が薬を開発したことによって,その中で徐々に寿命が延びているのであって,日本政府の評価書の中で寿命が50歳から60歳に延びましたと書くのはおこがましいという考え方の部署が多い。参考指標でもよいので載せたらどうかと各部署に示唆しているが,なかなか指標設定には至らない。しかしながら客観性を少しでも持たせるという意味では,行政事業レビューなど各方面でも定量的指標についての指摘があるので,省内には検討するように引き続き指示をしたいと思う。
 グローバル・コモンズの日本語訳については,地球規模課題という言葉を使うようになっており,そこも念頭におきながら,ご指摘の宇宙等への拡大ということも見すえて原局に確認し,訳をどう変えていくか検討を依頼したいと考える。

【有識者】
 80年代末にグローバリゼーションを国際化と訳す時期があった。インターナショナリゼーションとグローバリゼーションは概念的に違うということを教科書で書いたことがあるが,当時はグローバリゼーションを国際化とすることが外務省の文章にもかなりあったので,それに近いことがまた起こっているのかと思った。
 国境周辺地域の問題だと19世紀以来のいわゆる国際公共財と呼ばれる領域の話になるが,それを越えて国境を越えた感染症の拡大あるいはサイバー空間で国内の公共圏とグローバルな公共圏が交流しはじめると,まさに先ほど指摘のあったような,SNSを通じて日本の外交上の言説が世界中に広がる,あるいは言説が出されたらそれが広がる,あるいは誤った解釈が広がってしまう。
 評価書の方向性については,例えば国民に向けてであればサマリーのようなものを出さないと厳しい。総務省の政策評価関連会議に外務省の関係で出席した時も外務省の政策評価書が一番厚くて立派であったが年々厚くなってきている。ある程度目標を絞って,国民向けに伝えたいことをまとめたエグゼクティブ・サマリーと,それを読んで興味のある部分を見たい人,あるいはもっと詳しく専門的に知りたい人のための全体版という形がよいのではないか。

【外務省】
 言葉遣いについては通常我々が使っている単語をそのまま書いてしまっているのが多いと思うので,もう少し日本語としてきちんと説明できるように脚注を付けるなどして考えていきたい。地方自治体の国際展開支援については,政府の目標の一つが国際展開支援になっている。個々の自治体の中には特にやりたいと思っていないところもあると思うが,自治体の首長さんに話をすると是非という話になるし,日本が人口減少の中で彼らのノウハウそしてそれに続く民間のノウハウを海外でも利用してもらうという観点から,我々は国策の一つとして国際展開支援に取り組んでいる。ご指摘のとおり,分かりやすくするためには国際展開支援への言及は必要ないかもしれないが,現在,人道支援的に国際協力を進めるのみではなく,我が国の経済利益増進の観点も重視されてきているので,この表現は恐らく残したいというのが我々の考え方になろうかと思う。原局にはもちろん伝える。モビリティの部分も原局と相談したい。
 複数施策に関するコメントのうち協定等の◎,○,△であるが,◎は国際協定が締結された,○は頑張った,△は進まなかったということではなく,目標管理型の下,その年度に我々がどこまで何をやるかで判定している。個々の協定において,例えばある協定は交渉を開始し今年度は実質合意まで持っていく,別の協定は今年度交渉を開始したが実質合意には至りそうにない,例えばTPPのように一年で飛躍的に進む訳もないので,各年度においてはいくつかの分野で進展を目指す,という目標をそれぞれ設定している。そのため個々の協定において進捗の絶対値が全く違う。A協定はこれだけ進捗したので○,B協定はその半分しか進捗していないが,当初からそこまでの進捗を目標として設定していたので,目標達成として○あるいは◎という判定をしており,各協定のゴールに向けて現状に対して各年度にどれだけ進めるかという目標の設定の仕方をしている。例えば経済局や国際法局の経済連携関連部分はこのような書き方になっている。

【有識者】
 分かりやすさも必要な中で,どうバランスを取っていくのか,どちらの基準で議論していくのかという問題がある。いずれにしろルールと共に説明していただかないと読んでいて分からないという点に配慮が必要である。

【外務省】
 分かりやすさという点からどう改善していくか検討していきたい。
 行政事業レビュー等の指摘内容については,評価書の中に要約という形で指摘の内容を記入した上で,それに対してどういうアクションを取ったか,ということを明示的に書くようにしていきたい。

【有識者】
 個別対応ではなく,目標管理型評価のフォーマットをカスタマイズして,行政事業レビュー等の指摘を付け足して書く欄を設けていただいた方がいいかもしれない。履歴を何らかの形で把握できるようにしておくことは意味のあることだと思う。繰り返し指摘されるところは大体決まっていると思う。

【外務省】
 日本のシンクタンクの底上げ事業について補足する。そもそも、政府とシンクタンクとの関係が欧米と日本ではかなり異なっており,欧米ではシンクタンクの予算は政府から独立しているところが多いが,日本ではトップクラスの日本国際問題研究所でさえ,政府の予算の支援がないと,運営が厳しい状況。民主党政権では,そもそもシンクタンクに政府の予算支援が必要なのかという議論があり,徹底的にシンクタンクへの政府予算支援が削られた中で,安倍政権になってようやく平成25年度から予算を巻き返し,今まさにその巻き返しの途中である。政府とシンクタンクの関係はどうあるべきか,現状はシンクタンクはお金がないので何とか政府として予算を付ける,今補助金というものを政府が付けて,今年,6億,7億という形で,トップクラスの日本国際問題研究所だけ底上げしてもダメなので,日本にある幅広いシンクタンクに競争性を持たせて全体の底上げを図る非常に難しいタスクに挑戦している。その効果という意味でも,確かに予算を再度付け始めたが,世界シンクタンクランキングで、日本国際問題研究所のランクは2年前は13位だったのが,昨年は15位に落ちてしまったことで,効果がないのではないかと直ちに言われてしまう。短期的な視点で効果を測定するものではないのだという説明の仕方もなかなか難しい。そういういろんな論点がある中で,我々としては先生がおっしゃるように,底上げが重要であると,ゆくゆくはシンクタンクだけで自立できればそれが理想だと思うが,今はまだその段階にないという現状がある。
 私の部署では外交青書を担当しており,先月日本語が市販された。これはまさに毎年国民向けの対外発信の最先端,日本外交政策をいかに分かりやすくということで,例えばコラムであるとか,今年であれば日本チームのラグビー選手,いろんなものを取り入れて小学生,中学生でも分かるような形にするということが徹底してやっている。それとこの政策評価書が同じ方向に向くのかというと同じ国民向けではあるがそもそも趣旨が違うと思う。その中でいかに政策評価書を分かりやすくしていくかという課題は省内で検討していく必要があろう。

【外務省】
 先生方のご指摘は大変参考になる。外交に携わる立場として,ご指摘のあった平和安全法制といろいろな施策との連動については,自分の経験からも,日本の行政組織のなかでは全体で同じ方向を向きつつ,それぞれの省庁が濃淡を付けて連動してやらなければならないという意識を強く持っていると思う。また開発と安保の連携についても課題として認識しながら十分できているかということについては,道のりは遠いと思うので,政策評価を越えて外務省の政策一般としてしっかり考えていかなければならないと思う。難しい言葉を使うなという点は,例えば記者会見での言葉遣いも同様で,我々も意識して取り組んでいるが,常におっしゃっていただければ有り難く,自制しながら気をつけていかなければならないことだと思う。政策評価書の分厚さについては10年前の3倍ぐらいはあろうかと思うが,組織内から長いとは言いにくいので,外から言っていただけると有り難い。政策評価は基本的には国民向けと理解しているが,これだけ一生懸命やってコメントいただいたことを幹部が読めるのかといった時に,エグゼクティブ・サマリーを作るかあるいは全体を短くする等は有り難いご指摘で引き続き検討させていただきたい。

【有識者】
 これは昨年も申し上げ,また恐らく総務省のガイドラインや評価のあり方にも関わることだが,評価で○を付けるという行為にはいろいろな側面があり,評価目標が適切に設定されているか,つまり,志の低い目標で○を付けてもそれは評価の絶対値が特に高いとは言えない。ただし,過剰な目標を設定して,それが△であるということをもって別に外務省が頑張らなかったという訳ではない。アジェンダ設定がどれほど適切であったかということ自体を確認する必要があるのではないか。ここで評価している項目は,業務の中では公平なのだろうが,外交政策を適切に施行しているかという点では恣意的なもので,掲げられているアジェンダと評価されている項目がどれほど適切なのかということについて,我々は一般的にどういう認識を持つべきなのかということはもう一度確認する必要があるのではないかと思う。もし本気で国民に対して政策評価をさらすということであれば,昨年はチャレンジ指標という言い方をしたが,実はこれだけ難しい目標に取り組んだ,それでも到達できなかったことは何かないのか,例えば国連安保理改革は途方もない目標だけれども,日本はずっと志を高く目標に掲げていて,やはり遅々としてこれしか進まなかった,ということをあえて×とか△で評価し,国民に対して,我々はこんなに頑張っているけれどもこれしか進まなかった非常に難しい外交課題なのだという言い方はできるかもしれないと思う。以上,そもそもその評価アジェンダの見方に対する適正さということについていかがか。

【外務省】
 評価書の組み立て上,前年度を基準にして目標を設定している。評価書ではできるだけ過去の進捗状況と比較可能とすることが求められており,新しいことや例年と違う目標値を入れづらい状況である。ただ,毎年状況が変わる中で新たに付け加える必要があるものもあるので,それは次年度の事前分析表にできるだけ入れ込み,それに当たっては,政策評価書の分析欄等でできるだけ説明をするよう努めている。先生のご指摘を踏まえて,来年度以降よりきちんと書くように指導していきたい。

【外務省】
 政策評価法で国民に説明する責務と書いてあるので,評価書は国民に向けたものであるが,他方で法律事項とされているのは,外務大臣の決裁を経て総務大臣に通知することであり,その際に法第十条に書かれている7項目が記載されてなくてはならないということである。これについても総務省から目標管理型評価の様式が提供されているが,それと法第十条に書かれていることを踏まえて,外務省が自らフォーマットを形成していくことになっており,その枠組みの中でどうするかということかと思う。一番の「評価疲れ」は幹部に読んでもらえないことではないかと思っている。書いた以上は幹部に見ていただくことが大事ではないかと思う。あるいは司令塔たる総合外交政策局が外交青書を書くときにも参考にしていただけるものになるというのが,一つの理想的な形かとも思う。もう少しアクセントの置き方をそのように内部でもっと活用できる形にしていくというのは方向性としてはあるのではないかという点を補足したい。
 その上で,指標の目標の達成状況の○×は法律事項ではないということを明確に申し上げておきたい。指標は,これも法律事項ではないが目標管理型評価の下,皆設定しているが,その意味は,繰り返し行われる行政活動,すなわちプログラム化,ルーティン化された行政活動を対象とするという点であると思う。そういう意味でいうと,繰り返し行われないことについては,評価書でそんなに定量化は必要ないのではないかと思う。繰り返し行われることをチェックするという視点で指標は見ていくべきではないかと思う。後は施策の個性をどのように評価していくのか,○×なのか又は別の形なのか,そこは総合外交政策局と相談しながら作っていくということであるだろう。数字はいったん出してしまうと目立つのでしっかりとやっていただければと思う。

【外務省】
 総務省から,また会計検査院も含め,やはり定量化についてかなり言われており,定量化すると○×は付けやすく,定性的指標だとそれを付けにくい中で,見て分かりやすいようにとの考慮で○×を付けている。ただ,ご指摘のとおり定性的指標の場合はなぜ○なのか,△なのかというのは分かりにくいし,他省庁の例を見ると○×を全て付けているわけではなく,目標達成度合いの測定結果の各行政機関共通区分である5段階区分しか書いていないところも多くあるので,それらも参考にして改善していく方向で考えたい。

【有識者】
 シンクタンクの問題と少し関連するが,文科省の科学研究費以外に,以前から厚労科研費があり,防衛科研費ができた。外務省としての外務科研費のようなものを将来検討されているのか否かをお聞かせいただきたい。文部科研費のテーマは限られた範囲であり,外交政策だけでもっと詳しく研究したいと思ってもなかなかできない事情があるので,外交レベルで専門的に突っ込んだ研究や,シンクタンクに代わるような研究もやりようがあると思うので,外務省でもファンドを作られたら日本の外交政策にとってもよいのではないかと思う。それは民間も研究者もNGOも参加できるという非常にオープンなものにしてもいいし,いろいろな基準はあると思う。

【外務省】
 もともと日本国際問題研究所,これは外務省の直属の機関ではないが,実態としてはトップの理事長は外務省OBの野上理事長であるし,研究所長代行の山上も外務省出身で,かなり外務省から支えている。そのような中で,今おっしゃったようなものを作るとなると,幅広いシンクタンクを育成していく,ということとの関係やどこに重点を置くのか,外交分野と必ずしも両立しないと考えるので,そこは他の省庁とは異なる観点が必要なのかと思うが,検討させていただきたい。

【有識者】
 前回会合で,会計検査院による政策評価に関する随時報告が出されたと聞いたが,その後何か動きはあったのか。

【外務省】
 検査院については特にない。ただし,検査院も毎年同じ検査をしているわけではなく,数年後に再検査をしたりするので,場合によっては5年後等にまた検査があるかもしれない。

【有識者】
 検査院の報告は唐突な感じがした。総務省の政策評価審議会でそもそも定量的な評価一本やりでもないというメッセージが出されただけに少し違和感を感じた。先ほど来の議論の中で,定量的な評価は無理だという判断をした上で,○×は付けずに丸めて全部読んでという形でもいいような気がするし,実際一つ一つやっていっても我々も○か△かは分からない。とても難しい問題だと思う。私も地方自治体の評価に関し,ある時期まではできるだけ数で分かるようにということを言っていた手前言いにくいが,その結果すばらしい評価ができたかというとそうでもない。評価には様々な効用があり,ネガティブな面もありコストも大変だが,いろいろな使い方ができるので,神経質に定量的評価による管理,効果にだけ期待するものではない。最初に評価らしいことをしたのは,業務棚卸しといって,ある県で何をやっているのかだれも知らないから一度全部リストアップしてみようということになり,その次に当時の知事がおもしろいので研修に使おうとなり研修にも使った。その次に「公開するのかしないのか」という話になり,知事が「公開だ」と言ったので県のホームページに載った。今の話でも分かるように県民に見てもらう,新人研修でも使える,という感じでできたものなので,その意味では柔軟に公的に見る対象としての評価というのも大事ではないかと思う。いい数値指標を掲げて精密にやって,その結果が良かったら万歳というのでもないと思う。

【外務省】
 心強いご意見に感謝。一方で行政事業レビューや会計検査院からはとにかく数値,数値と言われている。しかも先ほどUNDPの寿命のところでもあったが,必ずしも日本が100%貢献していないものでもとにかく数値を出してというのがいろいろなところから言われている中で,今のコメントは理解してくださっている先生からのコメントとして本当に有り難い。分かりやすくするという意味からも,必ずしも○×だけがいいとは思っていないので,いただいたご意見を踏まえ改善していきたい。

【有識者】
 今のコメントに上乗せして2点申し上げる。
 1点目は会計検査院だが,政策評価法が総務省所管,行政事業レビューはまた別の大臣の所管となっている。これらを外側から両方まとめて見ていくという目を持っているという意味では会計検査院の視点は意味があると思われる。なお、「注視を引き続きしていく」と会計検査院は書いているので,まずは見ているだけである。
 もう一つは指標に関してである。当初の外務省の政策評価は指標を掲げない定性的な記述の形であった。これが目標管理型評価になって指標に努力をされた。そして,今度は振り子が振れるように少し揺り戻せないかという話である。指標化を一回やってみたが,やはり限界があったということであれば,その総括をしてはどうかと思う。その際,外部要因が大きすぎて指標に掲げるには適切でないものがあったとか,指標を掲げてみたが,かえってミスリードを起こしてしまうなど理由付けをしっかりとすることがポイントだと思う。その上でスパイラル・アップし,前に進みました,という形の説明ができるならこれを期待したい。

【外務省】
 まさに説明責任だと思うので,その点も含めて大変すばらしいアイディアをいただいたので改善の方向でやっていきたい。

(2)その他(行政事業レビュー)

【外務省】
 行政事業レビューの取組及び我々の抱えている課題につき簡単にご紹介したい。行政事業レビューはご承知のとおり予算をいかに効率的・効果的に執行していくか,活用していくかを自分たちで点検をすると同時に,きちんと国民に対して説明をしていくという観点から実施している。平成27年度の終了後,今年度の行政事業レビューの取組を開始しており,現在中間公表という形でレビューシートを外務省ホームページに掲載している。この後,大臣官房を中心とするレビューチームによる点検と,外部有識者の方々による点検を踏まえ,8月末にレビューシートを最終公表するとともに,点検の結果を予算概算要求に反映する。外部有識者の点検には2種類があり,必ず全ての事業が5年に1度は点検される形で,レビューシートを有識者の方に見ていただき,コメントをいただく点検が1つ,それからもう1つが公開プロセスと呼ばれるもので,外務省の複数ある行政事業の中から約3件ピックアップし,インターネットで公開する形で有識者の方々に点検をしていただくというプロセスがある。
 今年の公開プロセスは6月10日に3件について実施した。1件目は「語学指導等外国青年招致事業(JETプログラム)」という,地方自治体の英語の先生や国際交流を行う方等の招致事業,2件目が「JICA運営費交付金(技術協力)」で,特に今回は民間連携事業に焦点を当てて議論いただいた。3件目が「国際連合食糧農業機関(FAO)分担金」について議論いただいた。いずれについても事業内容の一部改善ということで評価をいただいたが,特にとりまとめコメント,有識者の方々の議論の中で中心的にご指導があったのが,国民に対する説明責任を果たすべくレビューシートをもっと分かりやすく記載すべきという点であり,特にできるだけ定量的に指標を示すべきということでコメントをいただいた。外務省の事業の中では,全世界的な課題に対して貢献していくという事業がかなり多く,主管局からは,地球規模の経済成長や開発・保健等の課題に対して,外務省が取り組む事業のみならず様々な支援や要素が関わっており,純粋に当省事業でこれだけの効果が出ているということを数値として示すことは難しいという反応がやはり多くて,なかなか定量化するのが難しい。行革本部事務局からは,他省庁では地球規模での数値の改善を以て事業の成果として記載しているような例もあるので参考にしたらどうかとの話もあり,それも1つのやり方であると同時に,本当にそれは当省がやっている事業の説明責任を果たしたことになるのかというのは悩ましいところである。このように,各所管部局はそれぞれ悩みを抱えながらも,説明責任を果たすべく努めているところ。

【外務省】
 これをもって全ての議題を終了した。引き続き今後も有意義なコメントをいただきたくよろしくお願い申し上げる。


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