外務省独立行政法人評価委員会
外務省独立行政法人評価委員会
国際協力機構 第1回分科会
平成26年9月9日
1.日時
平成26年7月29日(火曜日) 13時00分~15時40分
2.場所
外務省666会議室
3.出席者
- (委員)
- 白石隆分科会長,上子秋生分科会長代理,門脇英晴委員長,青山伸一委員(コンプライアンス部会長),久邇良子委員,小松浩委員,手納美枝委員,都丸潤子委員,榛木恵子委員,吉田和浩委員
- (外務省)
- 髙杉優弘国際協力局政策課長,細野真一考査・政策評価官,他
- (JICA)
- 田中明彦理事長,植澤利次理事,竹若敬三総務部長,三浦和紀財務部長,広田幸紀企画部長,中村俊之総務部次長,新井和久人事部次長,安藤直樹企画部次長他
4.議題
- (1)冒頭挨拶(田中理事長)
- (2)コンプライアンス部会活動報告
- (3)平成25年度における業務実績評価について
- (4)総合評価に盛り込むべきポイントについて
5.議事概要
- (1)冒頭挨拶
田中JICA理事長より挨拶があった。ポイントは以下のとおり。- 独法化以来,10年以上にわたり,延べ34名の委員に評価頂いたことに感謝。JICAでは,毎年度の業績評価結果を理事会で報告すると共に,全役職員に周知し,業務の質の向上や業務運営の効率化に役立ててきた。
- 平成25年度も,理事長就任以来の「世界を元気にするとともに日本も元気にする国際協力」のメッセージを掲げ,開発途上国への支援を推進している。昨年度は、途上国16か国を訪問し,協力の意義や成果を確認したが,特に強調すべき主な取組み・成果を四点紹介したい。
- 第一は,貧困削減,経済成長に向けた取組みの進展である。インフラ整備に関して,昨年8月と今年2月にラオス・ベトナム・カンボジアの経済回廊を視察し,ASEANの連結性向上の重要性を実感。インフラ整備と両輪となる人材育成については,ミャンマーでも支援が本格化している。なお,JICAは,アジアでの長年の支援で培った知見やネットワークを生かしつつ,アフリカでもインフラ整備や人材育成に対する支援を展開しており,昨年6月のTICAD Vで日本政府が表明した支援策に沿って,広域回廊インフラ整備やABEイニシアティブなどの産業人材育成の支援を進めた。
- 第二は,防災に関する支援の強化である。昨年11月のフィリピンの台風被害に対する支援では,組織横断的な体制の下,日本の災害復興経験も活用しつつ,緊急援助から復興支援まで継ぎ目のない,課題横断的な支援を実現した。
- 第三は,平和構築支援の進展である。今年3月,ミンダナオ包括和平合意文書署名式典に立会人として出席し,アキノ大統領及びモロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド議長と面談し,全ての人々が平等に便益を受ける「Inclusive Growth」の考え方に合意を得た。
- 第四に,日本国内の開発パートナーとの連携強化の拡大と深化である。多様かつ膨大な開発課題の解決のため,民間企業,自治体,大学,NGO等のパートナーの知見・支援を得ながら,包括的に取り組んでいく必要がある。
- 今年は国際協力 60年の節目である。60年の歴史を通じて醸成してきた「自助努力の尊重」,「貧困削減に向けた経済成長,インフラ開発と人材育成の重視」,「人と人とのつながり」といった日本・JICAが有する協力の強みを活かし,ダイナミックな事業展開を目指していきたい。また,今年は国際社会でポスト2015年開発アジェンダに関する議論が進み,日本でもODA大綱の見直しが行われる重要な年であり,国際社会や日本の新しい目標に向けて,効果的に事業を進めると同時に,国際社会への知的な貢献を行いたい。
- (2)コンプライアンス部会活動報告
青山コンプライアンス部会長より,コンプライアンス部会評価コメントなど本年度の同部会の活動について報告が行われた。 - (3)平成25年度における業務実績評価について
- (ア)パブリックコメントについて
- 細野考査・政策評価官から, JICAの平成25年度業務実績報告書に対するパブリックコメントを外務省ホームページ等で募集を行った結果,寄せられたコメントの概要について報告があった。
- (イ)評定の概要
- 評定について審議した結果,分科会の第一次案として,平成25年度小項目(34項目)は,「イ」が2項目,「ロ」が13項目,「ハ」が15項目,「対象外」が4項目,平成25年度中項目(19項目)は,「イ」が0項目,「ロ」が6項目,「ハ」が10項目,「対象外」が3項目となった。
- (ウ)審議における委員からの主なコメント
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- 持続的経済成長について,インフラ整備や人材育成等には中長期にわたる取組が求められるところ,すでに十分留意して取組んでいるが,我が国の取組の継続性を担保することが重要であることは強調しておきたい。
- 平和構築について,今後も引き続き、人間の安全保障の視点に基づく平和構築支援を推進することを期待する。
- 研究について,研究成果のJICA事業へのフィードバックや内部の研究人材育成を測るベンチマークを設定することが必要である。
- 技術協力,有償資金協力,無償資金協力について,円借款の迅速化に当たっては,案件の質の維持にも配慮することが必要。
- 広報について,JICAウェブサイトの見やすさ及び情報の改善,ODA見える化サイトのアクセス数増加に向けた努力,女性やボランティアの活躍の広報強化等を通じ,対外発信能力の強化を期待する。
- NGO,民間企業等との多様な関係者との連携について,民間との連携レベルを引き上げるとともに,連携を通じて事業の,開発効果を向上させ, 日本の活力を盛り上げることにも つながる活動を行うとともに,途上国及び民間企業等のニーズに即してスキームを整備し,ODA実施機関であるJICAの活動として国民に対して分かりやすい説明を行うことを期待したい。
- 国際社会におけるリーダーシップの発揮への貢献について,日本が蓄積した,現場における成果を日本国内,裨益国にとどまらず,国際社会にもより一層発信するとともに,そうした日本の取組・知見を生かすことで事業実施におけるリーダーシップをも発揮することを期待する。
- 組織運営の機動性向上について,ODAの果たす役割の重要性がますます高まっている中,その実施機関であるJICAについては,各独法に共通して求められる効率化に然るべく対応をしつつも,人員・予算については横並びで整理せず,相応の配慮が不可欠であり,人事制度改革なども一層進めながら,しっかり体制強化を図っていくことが求められる。
- 給与水準の適正化について,ラスパイレス指数の低下に関し,モラール の低下,人材の流出につながらないよう,引き続き適切な配慮が求められる。他方,JICAの事業を効果的・効率的に実施するためには,一定程度の給与水準の維持が必要と考えられ,その理由の対外的な説明に一層努め,国民の理解が得られるようにすべきである。
- (4)総合評価 総合評価案に関する本分科会での議論を踏まえ,第2回分科会までに修正案を作成の上,各委員の意見聴取を行うこととした。