グローカル外交ネット

令和6年10月25日

福島県生活環境部国際課

 令和6年10月10日及び11日、外務省と福島県は、駐日外交団を対象とした福島県視察ツアーを実施し、13か国から14名の大使他が参加しました。福島県の「復興」をテーマに、東日本大震災・原子力災害からの復興の歩みと現状や水素エネルギー研究、福島県の産業、観光、食、特産品等について理解を深めるため、関連施設等の視察、福島県の知事をはじめ関係者との交流を行いました。

1 ホテルハマツ(福島県主催交流会)

内堀雅雄知事との集合写真

 ツアー冒頭に歓迎の意を表するため、郡山市にあるホテルハマツを会場に、福島県主催の交流会が行われました。内堀雅雄知事が駐日外交団をお出迎えした後、「FUKUSHIMAの未来」と題してプレゼンテーションを行いました。
 東日本大震災及び原子力災害からの復興を進める福島県が持つ「影の部分」として、避難者やALPS処理水の問題等に言及するとともに、「光の部分」として、輸入規制を解除する国・地域の拡大により農産物の輸出が増加していること、イノベーション・コースト構想のもと、浜通りを中心に産業の創出が進んでいることを紹介するなど、復興に向けて挑戦を続ける福島の状況等が詳しく説明されました。
 また、今回参加された駐日外交団を代表して、テオドリンダ・ローザ・ロドリゲス・コエーリョ駐日アンゴラ共和国特命全権大使が答礼挨拶を行いました。
 その後の昼食会においては、フルーツ王国福島を代表する果実「桃」のサイダーで乾杯した後、福島牛や常磐産メヒカリなど、福島県産の食材を豊富に使った料理を提供し、駐日外交団は福島の食を堪能しました。

2 中間貯蔵施設

放射線測定器を活用して中間貯蔵施設の安全性を確認

 最初の視察先として、中間貯蔵施設を訪問し、環境再生を目的とした除去土壌等の輸送や施設整備工事の進捗状況、安全への取組等について説明を受けました。
 駐日外交団は中間貯蔵の現場を訪れ、実際に放射線測定器を使って中間貯蔵の安全性を学ぶとともに、福島第一原子力発電所を高台から眺望して状況を確認するなど、放射線や福島の環境の現状について理解を深めました。

3 東日本大震災・原子力災害伝承館

 続いて訪れた東日本大震災・原子力災害伝承館では、未曾有の複合災害となった当時の状況や県民の思いを展示物や映像を通して視察しました。
 館内を視察した駐日外交団は、原子力災害に伴う住民避難の経過や除染による環境回復の取組等に熱心に耳を傾け、理解を深めました。

4 福島水素エネルギー研究フィールド

 再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素エネルギーシステムを備える福島水素エネルギー研究フィールドを視察しました。
 駐日外交団は屋外で水素製造施設や水素活用に係る実証事業の取組を視察した後、浪江町担当者から再生可能エネルギーに関連し、町と施設が連携した取組等について説明を受けました。同町は水素エネルギーの利活用に係る海外との積極的な連携にも取り組んでおり、その挑戦や現状について、駐日外交団は強い関心を寄せていました。

5 Jヴィレッジ(外務省主催夕食会)

 ツアー1日目の夜は、福島復興の象徴的施設でもあるJヴィレッジで外務省主催夕食会が催されました。菱山地方連携推進室長からの冒頭挨拶では、本ツアーを通じて、福島県の復興への歩みと現状や、多様な魅力に対する駐日外交団の理解が深まるとともに、県と参加国との交流の拡大が一層図られることを期待している、本ツアーで体験した福島県の食の安全性や多様な魅力をSNS等を通じて本国にも発信していただきたい旨述べました。
 また、Jヴィレッジ担当者による新鮮な地元食材を用いた夕食メニューの紹介や、福島県によって準備された日本酒等のPRも行われました。駐日外交団は、海鮮を含む旬の地元食材を使った料理や、福島が誇る日本酒などの福島の食の魅力を堪能しました。

6 小名浜魚市場

 ツアー2日目の朝は、地域における漁業活性化の取組や海産物の安全管理を行う小名浜魚市場を訪問しました。
 冒頭に福島県水産海洋研究センターから、同センターによる漁業の復興と再生に関する調査研究の取組について説明を受けた後、小名浜機船底曳網漁業協同組合の担当者より、市場で行っている水産物の放射性物質モニタリング等の取組について説明を受け、その安全管理について理解を深めました。

7 猫啼温泉 式部の宿 井筒屋

 ツアー2日目の昼食会場として、福島県石川町にある猫啼温泉 式部の宿 井筒屋を訪問しました。
 駐日外交団は、天然水とはちみつ、自家配合飼料のもとに育てられた石川町が誇る「はちみつ牛」や、地元の野菜、果物をふんだんに使った料理を堪能しました。

8 大野農園

梨狩りの様子

 フルーツ王国福島の魅力を知っていただくため、福島県石川町にある大野農園を訪問しました。同社の代表や担当者より、果物の美味しさを追求する取組や、地域と連携した加工品の開発などについて説明を受けました。
 その後は、梨の中でもその大きさが特徴的な品種「新高」を収穫するとともに、梨やリンゴの試食を行いました。新鮮で甘く高品質な秋の味覚に、駐日外交団からは多数の賞賛の声が上がりました。

9 小峰城

 福島県のシンボルの一つである小峰城(白河市)を訪れました。視察においては、ボランティアガイドより東日本大震災で崩れてしまった石垣の再建方法や、その技術が2016年の熊本地震で被災した熊本城に活用された話がありました。
 また、櫓の中に入り、戊辰戦争における攻撃の痕の観察等を通して白河市の歴史に関する理解を深めました。

10 千駒酒造 

 福島県内には名だたる酒蔵が数多く存在する中、今回のツアーでは、2023酒造年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞したほか、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024でも最高金賞を獲得するなど、数々の日本酒コンテストで受賞歴を持つ千駒酒造を訪れました。
 同蔵の歴史ある日本酒造りについて説明を受けた後、お酒の試飲が行われ、福島が誇る日本酒の魅力を堪能しました。

11 だるまランド

 ツアーの最後に、福島県の伝統工芸品「白河だるま」をテーマに、築150年以上の建築物5棟をリフォームして誕生した体験型観光施設「だるまランド」を訪問しました。
 同施設の代表から白河だるまに関する説明を受けた後、実際に絵付け体験を行い、駐日外交団の参加者は真剣な眼差しでオリジナルデザインのだるま制作に挑戦しました。

12 おわりに

 福島県では、震災から13年以上が経過してもなお、風評の払拭と震災の記憶の風化防止、そして、産業の再生と創出に向けて、様々な挑戦を続けております。
 今回の視察ツアーを終えて、参加者からは、「東日本大震災・原子力災害からの復興に関する情報だけでなく、福島がもつ果物や歴史・文化の魅力についても知ることが出来た」という感想に加え、「福島の風評払拭に向け、大使館として引き続き協力したい」とのコメントがありました。
 母国等で強い発信力を持つ大使等の駐日外交団に福島県の正確な情報と食などの魅力を伝えることを通じて、さらに多くの方に福島県に対する理解を深めていただくとともに、福島県と参加国との交流の拡大が図られていくことを期待しています。

プログラム・訪問先

10月10日(1日目)
福島県主催交流会(於:ホテルハマツ)
中間貯蔵施設
東日本大震災・原子力災害伝承館
福島水素エネルギー研究フィールド
外務省主催夕食会(於:Jヴィレッジ)
10月11日(2日目)
小名浜魚市場
福島県主催昼食会(於:猫啼温泉 式部の宿 井筒屋)
大野農園
小峰城
千駒酒造
だるまランド
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