グローカル外交ネット

令和5年8月31日

福島県生活環境部国際課

1 はじめに

 令和5年8月2日及び3日、外務省と福島県は、駐日外交団を対象とした「福島復興視察ツアー」を実施し、12か国から15名の各国大使他が参加しました。東日本大震災と原発事故から12年以上が経過する中、「復興に向けて挑戦を続ける『ふくしまの今』」を実感していただくため、震災の直接的な被害を受けた浜通り地方を中心に、東日本大震災の発生当時の状況や復興が進む福島の現状を紹介しました。また、最盛期を迎えた桃狩りの体験などを通じて、駐日外交団が安全で美味しい福島の食の魅力に直接触れる機会も設けました。

2 ホテルハマツ(福島県主催交流会)

内堀雅雄知事との集合写真

 ツアー冒頭に歓迎の意を表すため、郡山市にあるホテルハマツを会場に、福島県主催の交流会が行いました。内堀雅雄知事が駐日外交団をお出迎えした後、「FUKUSHIMAの未来」と題したプレゼンテーションを行いました。引き続き環境回復に向けた除染が行われており、避難指示等区域の解除も着実に進んでいること、県産農産物の放射性物質検査により、安心安全の食材を提供する体制を維持していること、本年7月にはEUにおいて日本産食品の輸入規制撤廃が決定され、世界の国・地域における県産食材の輸入規制の撤廃にも大きな前進が見られることなど、復興に向けて挑戦を続ける福島の状況等が詳しく説明されました。本年、双葉町の避難指示が解除されたことに伴い、約300年前から続く伝統の「双葉ダルマ市」を12年振りに町内で開催し、多くの人々でにぎわったというエピソードも紹介されました。また、今回参加した駐日外交団を代表して、ピエール・フェリング駐日ルクセンブルク共和国特命全権大使が挨拶を行いました。
 引き続き行われた昼食会では、フルーツ王国福島を代表する夏の果実「桃」のジュースで乾杯した後、福島牛や常磐産ヒラメなど、福島県産の食材を豊富に使った料理を提供し、駐日外交団は福島の食を堪能しました。

3 福島県環境創造センター 交流棟(コミュタン福島)

 最初の視察先として、原子力災害からの復興の歩みや福島の環境について学ぶことができる福島県環境創造センター交流棟(愛称:コミュタン福島)を訪問しました。
 駐日外交団は、砂場に映像を映し出し再生可能エネルギーについて学べる展示「エネルギークリエーター」など、今年3月にリニューアルされたばかりの展示室を視察し、放射線や福島の環境の現状について理解を深めました。

4 福島県立ふたば未来学園

駐日外交団と学生の交流の様子(コーヒーブレイク)

 平成27年に「福島県の復興を支え、社会に貢献する人材の育成」などを教育目標として広野町に創設された、中高一貫の県立ふたば未来学園を訪問しました。冒頭、国内外で輝かしい成績を残しているバドミントン部の練習場所や教室、学生たちが食品製造の際に利用する食品加工室などを視察したほか、学校長から学校の特色や取組についての紹介がありました。
 コーヒーブレイクでは学生たちから地域と連携して開発したマドレーヌなどの提供があったほか、海外研修でニューヨークを訪問した生徒たちから研修報告のプレゼンテーションがあり、駐日外交団から生徒への質疑応答などを通して活発な意見交換・交流の場が設けられました。

5 ワンダーファーム

 ワンダーファームは、平成28年にいわき市にオープンした農と食の複合施設で、広大な敷地には、トマト狩りができるハウスのほか、地元野菜を使ったレストラン、直売所があります。
 施設側からトマトの栽培技術や食の安全に対する取組等の説明を受けた後、トマト狩りが行われ、駐日外交団からは「とても美味しい」との声が上がりました。

6 いわき新舞子ハイツ(外務省主催夕食会

 ツアー1日目の夜は、いわき新舞子ハイツで外務省主催夕食会が催されました。菱山外務省地方連携推進室長からの挨拶では、本ツアーを通じて、福島県の復興への歩みと現状や多様な魅力に対する駐日外交団の理解が深まるとともに、県と参加国との交流の拡大がより一層図られることを期待している、本ツアーで体験した福島県の食の安全性や日本酒などの多様な魅力をSNS等を通じて本国にも発信していただきたい旨述べました。また、いわき新舞子ハイツ担当者によるいわきの新鮮な食材を用いた夕食メニューラインナップの紹介や、福島県によって準備された日本酒等のPRも行われました。駐日外交団は、いわきの料理人が腕を振るう旬の海鮮を豊富に使った料理や、福島が誇る日本酒などの福島の食の魅力を堪能しました。

7 福島県水産海洋研究センター

 ツアー2日目の朝は、東日本大震災と原発事故により被害を受けた福島県漁業の復興と再生に関する調査研究を行うほか、水産業関係者の水産物加工技術開発、食の安全に係る情報発信支援を目的とした施設である福島県水産海洋研究センターを訪問しました。県担当者から水産物の放射性物質モニタリング等の取組について説明を受け、理解を深めました。

8 浅野撚糸株式会社双葉事業所 フタバスーパーゼロミル・エアーかおる双葉丸

 双葉町の復興産業拠点(工業団地)でタオル等の製造・販売を行う浅野撚糸(本社・岐阜県)が開設した工場やタオルショップ、カフェなどから成る施設を訪問しました。同社の社長から、工場設置の背景や社長の復興への思い、各取組の詳細な説明を受けた後、工場視察を行いました。

9 道の駅なみえ

 ツアー2日目の昼食場所として、浪江町産品を、買う・見る・食べるが叶う場所として令和2年にオープンした道の駅なみえを訪問しました。
 冒頭、浪江町長から挨拶があった後、駐日外交団は、請戸漁港で水揚げされたばかりの新鮮な魚介類を使った料理や、浪江町の郷土料理・なみえ焼きそばを堪能しました。

10 福島水素エネルギー研究フィールド

 再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素エネルギーシステムを備える福島水素エネルギー研究フィールドを視察しました。
 浪江町担当者から再生可能エネルギーに関連し、町と施設が連携した取組等について説明がありました。同町は水素エネルギーの利活用にも積極的に取り組んでおり、その挑戦や現状の課題について、駐日外交団は強い関心を寄せていました。

11 まるせい果樹園

桃狩りの様子

 福島の「桃」の魅力を知っていただくため、100年以上の歴史を持つ福島市のまるせい果樹園を訪問しました。同社の社長より、果樹園として桃の美味しさを追求するだけでなく、震災後はASIAGAPを取得するなど、食の安全を示す取組にも挑戦しているなどの説明を受けました。
 その後は、福島を代表する桃の品種「あかつき」などを収穫するとともに試食を行いました。新鮮で甘く高品質な桃に、駐日外交団から賞賛の声が上がりました。

12 福島県観光物産館

 ツアーの締めくくりとして、駐日外交団は最後に福島県観光物産館を訪れました。福島県担当者から県土産の説明を受け買い物を楽しみました。駐日外交団にとって、福島県産品の魅力についてさらに見識を深める機会になったようです。

13 おわりに

 福島県では、震災から12年以上が経過してもなお、風評の払拭と震災の記憶の風化防止に向けて、様々な挑戦を続けております。
 今回の視察ツアーを終えて、参加した駐日外交団からは、「悲惨なイメージから、活気に溢れているイメージへと変わった」、「震災後の課題に対処し続け、さらに美しい県であることが分かった」、「県民の強靱な姿に感銘した」といった感想が寄せられました。
 母国等で強い発信力を持つ大使等の駐日外交団に福島県の正確な情報と食などの魅力を伝えることを通じて、さらに多くの方に福島県に対する理解を深めていただくとともに、福島県と参加国との交流の拡大が図られていくことを期待しています。

プログラム・訪問先  

8月2日(水曜日)
ホテルハマツ(福島県主催交流会)
福島県環境創造センター 交流棟(コミュタン福島)
福島県立ふたば未来学園
ワンダーファーム
いわき新舞子ハイツ(外務省主催夕食会)
8月3日(木曜日)
福島県水産海洋研究センター
浅野撚糸株式会社双葉事業所 フタバスーパーゼロミル・エアーかおる双葉丸
道の駅なみえ(昼食)
福島水素エネルギー研究フィールド
まるせい果樹園
福島県観光物産館
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