世界の医療事情
マルタ
1 国名・都市名(国際電話番号)
マルタ共和国(国際電話番号356)
2 公館の住所・電話番号
- 在マルタ日本国大使館(毎週土曜日、日曜日は休館)
- 35-37, Ground Floor, Tigne Place Building, Tigne Street, Sliema SLM, The Republic of Malta
- 代表電話:27324491
- ホームページ:在マルタ日本国大使館
3 医務官駐在公館ではありません。
在イタリア日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
マルタはシチリア島(イタリア)の南の地中海に浮かぶ島国です。面積は約300平方キロメートルで、東京23区の面積の半分ほどの大きさです。地中海性気候で、冬は温暖で雨が多く、夏は暑く乾燥します。人口は約54万人で、首都はバレッタです。
欧州連合(EU)、英連邦、シェンゲン協定の加盟国です。公用語は英語とマルタ語で、統一通貨のユーロが使用されています。
水道水を飲むことはできますが、住人の多くが水道水ではなく、ボトル入りウォーターを飲みます。水道水はカルシウムなどの濃度が高い硬水なので、特に、下痢をしやすい方や乳幼児には、ミネラル分の少ないボトル入りウォーターを勧めます。
マルタには英国から絶えず先進医療技術が導入されており、他の西欧先進国同様の高い医療レベルです。また多くの医師が英国の卒後専門医資格を保持しており、医療スタッフのほとんどが母語レベルの英語(およびマルタ語)を話します。病院内の標記も全て英語で、迷うことはありません。日本語の通じる医療機関はありません。国立大学病院のレベルは非常に高く、一般医療機関や私立の医療機関の質も良好で、公的医療機関については、国民は無料で受診することができます。公立の救急搬送サービスも質が高く、マルタ島内のどこからでも概ね30分以内に大きな病院に搬送することが可能です。
多くの薬局は、月曜日から土曜日の9時から19時まで営業し、日曜日も交代制で営業しており、そのスケジュールはインターネットや新聞等に掲載されます。
5 かかり易い病気・怪我
当地特有のかかりやすい疾病はありません。
狂犬病が報告されたことはありませんが、コウモリから感染する狂犬病類似のリッサウイルス感染症が存在する可能性があるので、コウモリには注意しましょう。
6 健康上心がけること
- 夏期は日照時間が長く、雨もほとんど降らないため乾燥します。熱中症、脱水や予想以上の体力の消耗に陥らないよう、長時間の外出などの際には、余裕をもった計画を立てましょう。
- また、夏期は日差しが強いため、サングラス等を着用し、目を守ることをお勧めします。
- 現地で購入できる医薬品は、日本と用量の設定が異なっている場合も多いので、常備薬を日本から携行しましょう。
- マリンスポーツをする際は、天気予報を確認し、安全を確保した上で楽しみましょう。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
成人・小児とも、本邦からの入国に際して必要な予防接種はありません。
- 成人:(推奨)破傷風(A型肝炎、B型肝炎)
- 小児:(推奨)日本の定期予防接種(A型肝炎、B型肝炎)
(2)現地の小児定期予防接種一覧(2023年 マルタ保健省)
8週から | 3か月 | 4か月 | 1歳 | 13か月 | 18か月 | 3歳から4歳 | 12歳から | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
BCG(注) | 〇 | |||||||
6種混合 DTaP、Hib、HepB、IPV |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
肺炎球菌結合型PVC | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
髄膜炎菌B型 Men B |
〇 | 〇 | 〇 | |||||
髄膜炎菌ACWY型 Men ACWY |
〇 | 〇 | 〇(14歳から16歳) | |||||
B型肝炎 HepB |
〇 | |||||||
MMR 麻疹(はしか)、風疹、おたふくかぜ | 〇 | 〇 | ||||||
HPV感染症 HPV |
〇(12歳) | |||||||
dT-IPV ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ |
○(14歳から16歳) |
DTaP:ジフテリア、破傷風、百日咳、Hib:インフルエンザ菌b型、IPV:不活化ポリオ
- 参照:Immunisation - The Department (gov.mt)(英語)
(2020年6月から、5種混合が6種混合となりました。)
(注)高リスク国の両親からの出生児、BCGワクチンが定期接種とされる国の小児、高リスクの国へ渡航し一か月以上滞在する小児が対象で、ヘルス・スクリーニング・ユニットで事前予約の上接種可能。
(Health Screening Unit | HPDP (gov.mt)、予約連絡先:21335448)
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
現地校に入学・入園する際は、以下の予防接種が必須です。
- ジフテリア、破傷、ポリオ(生後2か月、3か月、4か月、15歳)
- 風疹(女児のみ、12歳までに要接種)
上記表(2)に記載のその他予防接種は必須ではありませんが、強く推奨されています。入園・入学時には、ワクチン接種履歴の提出が必要です。
8 病気になった場合(医療機関)
救命救急指令センターは、マター・デイ病院救急部門内にあります。
救急連絡番号:112(救急車、警察、消防)
- (1)Mater Dei Hospital(マター・デイ病院)
- 所在地:Msida, MSD 2090
- 代表電話:25450000
- Mater Dei Hospital(英語)
- 概要:2007年開設。マルタ唯一の公立急性期病院で名実ともにマルタの基幹病院です。マルタ大学医学部と公立腫瘍科専門病院(Sir Anthony Mamo Oncology Centre)に隣接しています。入院病床数は1,238床、ICU20床、MPICU(Maternity Pediatric Intensive Care Unit)、CCU、CICU、脳卒中ユニット、手術室31室(2室は外部提携病院)があり、最新のMRI3室、CT3室、PETCT1室及び心臓カテーテル室2室が稼働しています。他にも、シンチグラム、SPECT-CT、IVR装置(Interventional Radiology)など重要な医療機器はほぼ備っています。日本語での電話通訳サービスも提供しています(事前予約推奨)。
- (注)マルタ国内のほとんどの場所から救急車で30分以内に搬送可能であるため、初期救急から高度医療までのすべての医療サービスを担っています。大病院でありながら機能的な構造で、清潔感があります。また、レセプション付近には大きなカフェテリアやコンビニもあります。
- (2)Saint James Hospital - Sliema
- 所在地:George Borg Olivier Street, Sliema SLM1807
- 代表電話:23291903、99484029
- 救急車:23291112
- Saint James Hospital - Sliema(英語)
- 概要:マルタの私立医療機関では随一のレベルを誇る病院です。入院病床は75床(個室)です。手術室4室、CT、PETCT、内視鏡、ほか各種検査機器を持っています。救急車や24時間対応の初期救急外来があり、常に3から4名の医師が常駐しています。外部の歯科クリニックも併設されています。
- (注)院内は明るく清潔感に満ちた環境で、機能や設備に問題ありません。重症以外の疾患であれば、迅速で快適なサービスが期待できます。
- (3)DaVinci Health
- 所在地:Kan Karmenu Pirotta Road, Birkirkara BKR 1111
- 電話:2149 1200
- DaVinci Health(英語)
- 概要:外来診療患者が9割を占める私立医療機関で、術後患者用の入院病床6床(全個室)、手術室2室、1.5TMRI、64列CT、マンモグラフィー、超音波検査装置を備え、あらゆる内視鏡検査(胃カメラ、大腸内視鏡、膀胱鏡、子宮鏡、関節鏡等)も可能です。各種血液検査・ワクチン接種のほか、結核の迅速(QFT-3G)検査ができる数少ない施設でもあります。眼科、耳鼻科、歯科、婦人科、理学療法やスポーツ・リハビリに特化した施設がある他、健康診断のプログラムが充実しています。
- (注)清潔感のある小規模の私立病院です。主にマター・デイ病院の専門医がプライベートの診療を行っており、受診には予約が必要ですが、予約不要の救急外来もあります。邦人も健康診断で利用しています。
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ(もしもの時の医療英語)
世界の医療事情の冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照ください。