外交史料館

外交史料謎解きトラベル

平成30年12月25日
(画像1)外交史料謎解きトラベル ポスター

 外交史料館には,外交史料に関するご質問が国内外から数多く寄せられます。その対象時期は幕末期から昭和戦後期におよび,内容も政治・外交,経済,文化交流など,多岐にわたります。
 今回の企画展示では,当館に寄せられたご質問の中から,8問を選び,関連史料を展示して,日本外交における様々な興味深い事柄をご紹介します。
 展示を通して,外交史料に触れ,謎を解きながら,諸外国との交流を中心とした過去へのタイムトラベルをお楽しみください。
 また,あわせて外交史料館の所蔵史料や活動の一端をお伝えし,今後一層外交史料館をご利用いただくための参考となれば幸いです。

  • 場所:外務省外交史料館別館展示室(地図
  • 開催期間:平成30年10月23日(火曜日)~平成31年2月28日(木曜日)
  • 開館時間:10時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
  • 入場無料

展示項目一覧

主な展示史料

Q1 外交史料館に所蔵されている史料で最も古い史料は何ですか。

  • (写真1)1811(文化8)年 朝鮮国王純祖から将軍徳川家斉宛国書
    1811(文化8)年
    朝鮮国王純祖から将軍徳川家斉宛国書

 朝鮮通信使より対馬(長崎県)にて奉呈されたもので,家斉の将軍就任を祝う内容です。

Q3 幕末にパリで開催された万博に,幕府とは別に薩摩藩が出展していたというのは本当ですか。

  • (写真2)1867(慶応3)年 薩摩藩が配布した勲章の図(重要文化財)
    1867(慶応3)年
    薩摩藩が配布した勲章の図(重要文化財)
  • (写真3)1867(慶応3)年 パリ万国博覧会 博覧会場全図(重要文化財)
    1867(慶応3)年
    パリ万国博覧会 博覧会場全図(重要文化財)

 本当です。1867年にパリで開催された万国博覧会に日本は初めて公式に参加しました。幕府は各藩にもパリ万博への参加を奨励しており,幕府以外に,薩摩藩,佐賀藩も出展しました。薩摩藩は「薩州侯兼琉球王の使節」と称し,独自の勲章を作成して配布するなど,同藩が独立政府であるとアピールしたため,幕府の使節団との間で摩擦が起こりました。大政奉還によって徳川の時代が終わるのは,同年11月のことでした。

Q4 条約書に付属している金属の缶は何ですか。

  • (写真4)1870(明治3)年 大日本国西班牙国条約書(修好通商航海条約) スペイン側批准書
  • (写真5)1870(明治3)年 大日本国西班牙国条約書(修好通商航海条約) スペイン側批准書
1870(明治3)年 大日本国西班牙国条約書(修好通商航海条約)
スペイン側批准書

 条約書批准書につながっている金属の缶を蝋缶(ろうかん)といいます。蝋缶には蜜蝋(みつろう)(ミツバチの巣から搾取した蝋)が入っており,その上に国璽(こくじ)(国家の表彰として押す官印)が押されています。この国璽によって当該国家が同条約を認証したことが示されています。金属の缶は蝋に押された国璽を保存するためのもので,その蓋には国璽と同文様が付されていることが多く,条約書からつながる紐は蝋缶を貫通して,その先端が房状の飾りになっています。本史料は,日本とスペインが国交を樹立した際の条約の批准書です。

Q5 昭和天皇の婚礼の際に外国から送られた祝い状はありますか。

 ローマ法王ピウス11世は,特命全権大使ジアルディニを派遣して,裕仁皇太子殿下に対し,祝意を表しました。本史料は,ピウス11世から裕仁皇太子殿下に送られた特命全権大使信任状です。

(注)史料の画像をクリックするとより詳細な画像をご覧いただけます。

Q7 日本国憲法の制定に関する史料はありますか。

  • (写真7)1946(昭和21)年2月15日 白洲次郎からGHQ民政局長宛の書簡(「ジープウェイ・レター」)
    1946(昭和21)年2月15日
    白洲次郎からGHQ民政局長宛の書簡(「ジープウェイ・レター」)

 GHQから憲法草案が提示されると,終戦連絡中央事務局参与としてGHQとの折衝にあたっていた白洲次郎は,一直線に進む航空路とでこぼこ道の図入りの書簡をホイットニー民政局長宛に記し,米国側と日本側は選ぶ道が違っても目指す目的(=民主化)は同一であることを伝え,GHQに再考を求めました。


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