外交史料館

平成30年3月30日
(写真1)平成29年度外交史料館講演会の様子
(写真2)平成29年度外交史料館講演会の様子

 平成29年度の講演会は,平成30年3月30日,日本の外交記録を駆使し,実証的な歴史研究を行ってきた井上正也・成蹊大学教授と,中国外交について幅広い考察を行ってきた川島真・東京大学教授のお二人を講師にお招きし,「外交記録から見る1970~80年代の日中関係」と題して開催しました。

 井上教授は,「日中平和友好条約交渉 『全方位平和外交』の再検討」と題した報告の中で,1978年の日中平和友好条約締結に至る日本政府の対応を紹介し,条約締結を実現した福田赳夫政権が,「全方位平和外交」というビジョンを掲げつつ,日ソ関係・日中関係のバランスや,国内政治の動向も見据えながら慎重に外交交渉を進めたこと,その一連の交渉がその後の日中関係にもたらした影響などを多角的に論じられました。
 川島教授は,「公開された外交記録における中国首脳 中曽根政権期の日中首脳外交から見る」と題した報告の中で,近年公開された中曽根康弘政権期の日本の外交記録を活用し,中曽根総理と胡耀邦総書記の親密な関係に代表される80年代日中関係の緊密さを紹介するとともに,従来中国側が公表してきた記録にはない詳細な中国政権首脳の認識が把握できることなど,外交記録が公開されることの意義を論じられました。

 本講演会の内容については,『外交史料館報』第32号に掲載される予定です。


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