サウジアラビア王国

平成28年9月1日
ムハンマド・サウジアラビア副皇太子を
出迎える安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
(写真提供:内閣広報室)
ムハンマド・サウジアラビア副皇太子と
握手を交わす安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)

 9月1日(木曜日)午後3時10分から約45分間,安倍晋三内閣総理大臣は,公式実務訪問賓客として来日中のムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード・サウジアラビア副皇太子兼国防大臣(H.R.H. Prince Mohammed bin Salman bin Abdulaziz Al Saud, Deputy Crown Prince and Minister of Defense of the Kingdom of Saudi Arabia)と会談を行ったところ,概要以下のとおり。会談後,安倍総理とムハンマド副皇太子は,文化交流,中小企業,模造品対策,エネルギー,産業協力等の分野での当局間協力覚書及び通信社間の覚書等の交換(交換文書リスト(PDF)別ウィンドウで開く)に立ち会い,その後,安倍総理大臣は,同副皇太子を招いて晩餐会を開催した。

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    ムハンマド・サウジアラビア副皇太子と会談する安倍総理
    (写真提供:内閣広報室)
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    署名文書交換式(岸田外務大臣)
    (写真提供:内閣広報室)
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    署名文書交換式(世耕経済産業大臣)
    (写真提供:内閣広報室)

1 冒頭

 安倍総理から,エネルギーだけでなく,中東の安定確保や大きなビジネスチャンスの観点からサウジアラビアを重視している,次世代を担う同副皇太子は「ビジョン2030」の策定等によってサウジアラビアの経済・社会を大きく変えようとされており,日本としてもその方向性を支持し,実現に協力したい,今回の訪日を契機に,殿下と共に日サウジ二国間関係を飛躍的に発展させたい旨述べた。これに対し,ムハンマド副皇太子は,熱烈な歓迎及びビジョン2030への支援に感謝,日本とは様々な分野で協力したい旨述べた。

2 ビジョン2030への協力

 安倍総理から,製造業を軸とした投資,中小企業振興,人材開発,文化・娯楽・スポーツ振興等協力分野は多く,同副皇太子の牽引するビジョン2030の実現に向け,日本の英知を結集し協力したい旨述べた。
 安倍総理と同副皇太子は,ビジョン2030と日本の成長戦略の実施に向け具体的協力を集中的に議論すべく,閣僚級の「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」を立ち上げ,10月に第一回会合を行うことで一致した。また,安倍総理は,サウジ公共投資基金,JBIC,産業革新機構等も交え,出融資に関する協調の検討を開始したい旨表明した。
 また,安倍総理と同副皇太子は,ビジョン2030の実施においてエネルギー分野でも協力することで一致した。さらに,安倍総理と同副皇太子は,2007年の安倍総理のサウジアラビア訪問時に提案し,開始されたサウジアラムコとの共同備蓄について,その拡充が決定されたことを歓迎した。
 安倍総理は,同副皇太子が重視する文化・娯楽・スポーツ分野において,日本のアニメ等ポップカルチャー紹介,サウジ初のオーケストラへの協力,東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ交流促進やアスリート育成等への協力等を実施する旨表明した。
 これらの発言に対し,ムハンマド副皇太子から,提案を歓迎するとともに,湾岸地域,アラブ世界及びイスラム世界におけるサウジアラビアの経済的なプレゼンスは大きく,製造業やサービス業をはじめ数多くの機会がある,日本企業から是非多くの投資を得て,経済的なパートナーシップを一層強化したい,サウジアラビアも日本に投資したいとの発言があった。また,農業分野での協力も重要との発言があった。

3 安全保障分野の協力

 安倍総理から,日本は,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」及びその具体的実践のための「平和安全法制」の下,国際社会の平和と安定に一層貢献していく旨述べた。
 安倍総理は,明日同副皇太子に署名頂く防衛交流に関する覚書は防衛協力強化の要であり,今般の署名を大変喜ばしく思う旨述べた。
 安倍総理と同副皇太子は,テロ対策についても議論し,安倍総理は,日本は難民への人道支援等,非軍事的分野で積極的に貢献している旨述べた。
 これに対し,ムハンマド副皇太子から,日本とは政治,経済,安全保障とあらゆる面で協力を強化したい,サウジアラビアもテロの影響を深刻にとらえている,対テロ・イスラム軍事同盟を設立したが,テロとの戦いでは軍事,政治,イデオロギーの面で取り組まなければならないとの発言があった。

4 地域情勢

総理主催晩餐会で挨拶する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
総理主催晩餐会
(写真提供:内閣広報室)
 安倍総理とムハンマド副皇太子は,アジア地域情勢,中東地域情勢,国際社会の諸問題について意見交換を行った。安倍総理から,北朝鮮による拉致等の人権・人道問題,核実験,ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け,安保理決議の厳格な履行等を通じ,圧力を強化すべきと述べ,ムハンマド副皇太子からは支持するとの発言があった。
 また,東アジア情勢について議論する中で中国についても話が及んだ。安倍総理からは,最近の日中関係や東アジア情勢について説明した。ムハンマド副皇太子からは,日本は重要であるとしてその立場に理解を示す発言があった。
 安倍総理から,中東情勢は更に混迷しており,ISIL等の暴力的過激主義によるテロ,イエメン・シリア等の紛争や政治プロセス停滞,人道状況の深刻な悪化を憂慮している旨述べた。
 また,安倍総理は,中東の安定には域内外の主要プレイヤーの協力,とりわけサウジアラビアとイランの関係が鍵である旨述べた。さらに,中長期的には,包摂的で寛容かつ安定した社会の構築が重要であり,日本も人材育成,格差是正等の支援を行う,同副皇太子と共に取り組んでいきたい旨伝えた。これに対し,ムハンマド副皇太子からは地域の要であるサウジとして地域の平和と安定に貢献していきたい旨の発言があった。


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